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最終更新日:2024.02.26 公開日:2024.02.27

高速道路に輸送専用レーンができる?「自動物流道路」で日本の輸送はどう変わる?

国土交通省は「物流の2024年問題」をはじめとした物流の危機に立ち向かうため、道路空間をフルに活用する「自動物流道路」の構築に向けた検討をはじめた。実現すれば高速道路上の中央帯や路肩、はたまた地下の空間の専用レーンを自動輸送カートが走行するかもしれない。逼迫していく物流需要に、日本の輸送はどのように変わるのか。

文=KURU KURA編集部

資料=国土交通省

自動物流道路ってどんな道路?

(画像:(c) metamorworks - stock.adobe.com)

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日本の経済や生活を支えるうえで欠かせない「物流」だが、需要の拡大に対して、輸送能力は不足している。2024年4月には、トラックドライバーの労務管理の厳格化で、人手不足は加速するとみられている。いわゆる「物流の2024年問題」だ。

国土交通省によると、具体的な対応を行わなかった場合、2024年には輸送能力が約14%(4億トン相当)、その後も対応を行わなかった場合、2030年には輸送能力が約34%(9億トン相当)不足する可能性があるという。

そこで、国土交通省は、物流の2024年問題をはじめとした物流の危機に「自動物流道路」の検討をはじめた。

自動物流道路のイメージ。(画像:国土交通省)

自動物流道路(オートフロー・ロード/Autoflow Road)とは、道路空間を活用した新たな物流システムのことである。国道交通省の構想では、高速道路上の中央分離帯や路肩、あるいは地下の空間に、輸送専用のレーンを設置し、そこにコンパクトなサイズの自動輸送カートを走行させるという。

道路空間をフル活用した自動物流道路のイメージ。(画像:国土交通省)

2023年(令和5年)10月24日に実施された国土幹線道路部会にて、逼迫する物流需要を踏まえたうえ、高速道路空間を最大限に活用した自動物流道路を今後10年での実現を目指すとして、中間とりまとめに盛り込まれた。

そして、2024年(令和6年)2月21日には、自動物流道路の実現に向け「第1回 自動物流道路に関する検討会」を実施。今夏には、自動物流道路の想定ルートを含めて中間とりまとめを行う。

国土交通省は、10年後の2033年頃には、一部の区間で運用を開始するなど、何かしらのかたちで実用化にこぎつけたいとしている。

世界の自動物流道路

日本人にとって自動物流道路は「まるでSFの世界のような……」と、あまり現実のものとして捉えられないかもしれないが、すでに欧米諸国では、具体的な取り組みを進めており、実現に向かっている。

スイスの「CST」。運転カートの見た目もコンパクトなボックスでスタイリッシュだ。(画像:国土交通省)

スイスの地下物流システム「CST」は、主要都市間を結ぶ貨物専用の地下トンネル(総延長500km)を建設し、そこに自動運転カートを時速30kmで走行させる物流システムである。地下から地上までのラストワンマイルは、自動配送ロボットを活用することも想定している。

2031年までにチューリッヒ-ヘルキンゲン間の約70kmの区間で運用を開始、2045年までに、全線を開通する予定。

イギリスの「MAGWAY」。自動運転のリニアモーターで荷物を輸送する。(画像:国土交通省)

イギリスの「MAGWAY」は、物流輸送用に開発した低コストのリニアモーターを完全自動運転する物流システムである。イギリスの西ロンドン地区にて、既存の鉄道敷地内(鉄道のレール横やホーム下など)に全長16kmのMAGWAY専用線を敷設することを想定している。直接、既存の物流施設内に乗り入れ、自動で荷物の積み下ろしをできるようにするという。なお、運用開始時期の詳細は未定だ。

このような先進的な諸外国の取り組みを踏まえて、日本国内に自動物流道路を増やしていけば、物流量の増加やトラックドライバーの不足といった課題の解決につながり、経済や生活を支えていけるのではないだろうか。

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