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連載最終更新日:2023.12.12 公開日:2023.12.13

『イタリア発 大矢アキオの今日もクルマでアンディアーモ!』第45回 EVよりもカッコいい!? なつかしルノー&シトロエンが大集合。

イタリア・シエナ在住の人気コラムニスト、大矢アキオがヨーロッパのクルマ事情をお届けする連載企画。第45回は、若者ファンも増加中!? イタリアにおけるルノーとシトロエンのファン・ミーティングの模様をお届けしよう。

文=大矢アキオ(Akio Lorenzo OYA)

写真・動画=大矢麻里(Mari OYA/Akio Lorenzo OYA)

免許取得祝いの定番も

『イタリア発 大矢アキオの今日もクルマでアンディアーモ!』第45回 EVよりもカッコいい!? なつかしルノー&シトロエンが大集合。

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今回は、イタリアにおけるルノー4のファン・ミーティングの模様をお伝えしよう。

イベントを主催しているのはマッシモ・デマルコ氏である。高校を卒業後2005年から14年以上にわたりヒストリックカー専門パーツショップでセールスマネジャーとして勤務した。ちなみに筆者は当時からの知り合いである。2019年に独立。ルノーやシトロエンを中心にヒストリックモデルのパーツを扱う「デマルコ・パーツ」をフィレンツェから南に約30kmの街ポッジボンシに開業した。

オーガナイザーのマッシモ・デマルコ氏。普段はフランス車に強いパーツショップのオーナーである。

会期途中からの参加も可。朝オープンすると、次々と参加車が会場になだれ込んだ。

1963年式をピックアップ仕様に改造したクリスティアン・ポーツ氏は54歳。ナンバープレートはドイツだが、普段住んでいるフランスからやってきた。

ルノー4をベースにした上級仕様、ルノー6も。

イタリアでは、ルノー4やシトロエン2CVおよびその派生型であるディアーヌの人気が高い。ルノーに関していえば、イタリアとの古い縁だ。1959 年から64年まで同じく公営であったアルファ・ロメオと提携してイタリアでも4を生産していた事実や、戦後長年にわたり数少ない安価な外国ブランド車だったことがある。またシトロエン2CVは1960-70年代、イタリアでもヒッピーカルチャーに代表される自由のシンボルであった。さらにいえば、2CVの上級仕様であるディアーヌは免許の取得祝いに親から買ってもらうクルマの定番だった。

マッシモ氏に話を戻せば、古い倉庫を改造した彼の店は順風満帆のスタートだった。ところが翌年いきなり、想定外の事態に見舞われた。いうまでもなく、新型コロナである。イタリア政府による行動制限は、反則金をともなった厳しいものだった。しかしマッシモ氏のビジネスにとって、それは意外にも好機に転じた。「自宅待機やスマートワーキング中に、こつこつとレストア作業に励む世界中の人々から、多くのオーダーが寄せられたのです」。スペースはたちまち手狭になり、隣に確保していたガレージを潰して対応した。

そうした本業のかたわらでマッシモ氏が実践してきたのが、参加費無料のファンイベント「イタリアン・ルノー4フェスティバル」である。

若者ファンも増加中

ルノーの商用車エスタフェットで現れたのは、1968年生まれでヴィテルボ在住のルカさん。フランスで入手したという。

第3回である今回は、2023年9月15日から17日にかけて、中部トスカーナ州シエナ県の小さな地区メンサネッロをベースに開催された。今回からOKとなったシトロエンのヒストリック・モデルも含め参加者は149を記録。欧州周辺国からの越境参加も過去最高に達した。

参考までに、かつて本国フランスで開催されていたオーナーズイベント「4Lアンテルナシォナル」は会場の都合で近年開催されていない。そうした意味で、ヴァカンスも兼ねてイタリアに押し寄せる隣国のフランス車ファンたちが増えているのだ。

イタリアのラティーナから400kmかけてやってきたルカさん(一番右)は、若き日の思い出・初代ルノー5の同型車を数年前に手に入れた。

会期中はキャンプを楽しむファンも多数。3回目の今回は初めてヒストリック・シトロエンの参加も許された。

会期中は、毎日ミニ・ツーリングが企画された。これはキャンティ・ワイナリーにて。

1993年生まれのフランチェスコさんとパートナーのヴァレンティーナさん、そして84年式ルノー4。彼が10歳近く年長の同車に魅せられたきっかけは?

近年は、若者のファンも着実に増えているとマッシモ氏は証言する。背景にあるのは、最新の自動車からすると逆行ともいえるプリミィティヴなメカニズムと、かつて祖父の世代が満喫したライフスタイルなど、自由なムードへの憧れだ。加えて、欧州ではドイツ系ヒストリック・モデルよりも車両価格が安い。メーカー本体による心細いパーツ供給を補完するように、数々の安価なサードパーティー製品があって、お財布に優しいのも人気の秘密だ。「だから若者たちは、電気自動車よりも、古いフランス車に関心が向くのです」とマッシモ氏は結んだ。

最も印象的だった参加者のひとりは1993年生まれでまもなく30歳を迎える若者だった。自身よりもほぼ10年“年上”の84年のルノー4に出会ったきっかけは? この小さく偉大なるフランス車への愛情の証とは?……ぜひ動画でご覧いただきたい。

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