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ライフスタイル最終更新日:2024.01.17 公開日:2023.12.27

【座談会】若者だってクルマ好き! 僕たちのリアル・カーライフ:お金とSNS篇──YOUNG CAR NUTS <Vol.03>

クルマ好きな若者なんてもういない? 免許がなくても問題ない? その答えが知りたくて、愛車と暮らす20代の男女3人に集まっていただき座談会を開催。自分たちのリアルなカーライフについて語ってもらった。第3回は「クルマとお金とSNS」について(全4回)。

文=今尾直樹

写真=河野マルオ

若者とクルマを離すもの

映像監督のアキラ・ランボーさん(23歳)。愛車はホンダの初代NSXとトヨタの初代セルシオ。

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──最近は趣味に「クルマ」とある男性は、女性の婚活リストから外される、という話をよく聞くんですけど、女性目線でクルマ好きの男性はどうですか?

アキラ クルマはお金がかかるから。

坂本 私は好きだから、こんなに熱意を持って話せるのはいいなって思うし、でも確かにお金がかかる。お金がかかる趣味を敬遠する気持ちはわかりますけど、私はぜんぜん平気です。逆に休日とか、クルマとかいじったりするのはいいと思います。

アキラ こういう女性が増えるといいですね。

西坂 ホントにそうですね。

──アキラさんはどこに住んでいるの?

アキラ 僕はいま世田谷に住んでいます。

──駐車場はどうしているんですか?

アキラ 1台は神奈川の綾瀬に置いていて、そうでもしないと高いので。で、入れ替えたりしているんですけど、いま、両方修理中です。

──え? 足じゃなかったの、セルシオは。

アキラ ……。これがクルマ好きです。リアルを伝えたい。

──どこが壊れているんですか?

アキラ セルシオは車検に出しています。メーターがちょっと調子悪いんで、先に見てもらおうと思って。

──どうしてるんですか、足は。

アキラ 電車です。へへへ。セルシオは来週ぐらいに帰ってくるんで、大丈夫です。

──こういうのはクルマに関心のない女性からしたら、とんでもないことですね。

アキラ なにやってるんだ、という話です。

──西坂さんは駐車場はどうしてるんですか?

西坂 港区に住んでいるので、高いんですよ、正直。古いクルマで小さいので、古い駐車場を借りていて、月に3(万円)です。そこがいちばん安い。

──屋根がないんですか?

西坂 古いタワーパーキングで、入るサイズが限られていて、86でギリ入るみたいなところです。ジュリアは余裕ですけど。86にはクーラーがあるから街乗りもできるとはいえ、競技車を維持するには向かない環境です……。

──でも夏はジュリアには乗らないでしょう。

西坂 エンジンはたまにかけたり、夜乗って歩いたりはしています。

──熱帯夜にジュリアに乗って走っている?

西坂 たまに。動かしてあげないとクルマは調子が悪くなっちゃうから、という意味で動かすんですけど、日中用事をつくってそのクルマで出かけるということは絶対にしないです。疲れちゃって、1日汗だくになるから。50年前といまの日本、いまのイタリアとは気候が違う。ヨーロッパだって超暑い、たぶん。だから乗れたものじゃないですよ。

──でも乗ってるんですね。

西坂 乗ってあげないとクルマがやっぱり……。

──愛としかいいようがない。

西坂 クルマの調子が違うじゃないですか。たまに高速に乗ってエンジンも回してあげないと。そういうことはしています。

アキラ 乗っていたほうがいいということはセルシオで思い知った。

C仕様のFパッケージというフルオプションのセルシオ(91年式)は、普段の足車として使っているという(写真=小塚大樹)

──若者のクルマ離れというのはアキラさんも自覚的だと思うんですけど、その理由はなんだと思いますか。

アキラ 税金だとか駐車場とか、特に保険代とかめちゃくちゃ高いですね。特に車両保険は高い。盗難とかされやすいクルマなんで、僕は車両も入ってます。二十歳から23歳まで、年齢によって20万円ぐらい年間保険料が違うんですよ。で、最初の月だけ、誕生日前だったんで、年間40万円の見積もりを出されて、それは無理なんで、1カ月たって誕生日過ぎてから契約してもらったんです。

西坂 26歳まで自動車保険は高い。そこに壁があります。僕もそこまでは車両保険はかけてなかった。もちろん対人対物は入ってますけど。

アキラ メーカーの部品離れもあるんじゃないですか。ホンダとかはそう思います。直そうとしても部品がないというケースはけっこうあって、それもきつい。ま、都内に住んでいるとクルマはいらないんじゃないですか。好きじゃないと乗らない。

西坂 このクルマに乗ろう、とならないと、シミュレートすらしないかもしれないですよね。クルマを持つことが選択肢にない。世代としてクルマが好きな世代じゃないんじゃないですかね。20代前半の子たちは特に。かっこいい男性像も、テレビの世界でもCMでもそうだけど、クルマとは関係がなくなってきてるじゃないですか。いろんな遊び方が出てきているし、クルマは乗るんだけど、借りればいいや、みたいなことにもなっている。カーシェアもすごく多い。だから、乗ってる若いひとは前より増えてるかもしれない。マニュアル車の運転ができないひとは多いだろうけど、カーシェアとかで気軽に乗れる時代になってきているから。

それと、それこそ僕は学生の時に思ったけど、SNSでのつながりとかすごく大きいと思う。Twitter(現X)とかインスタとかでのつながりって、強くないですか?

アキラ そう。乗ってるクルマだけでつながったりもします。映像の仕事をしてるうえでプラスにもなっている。クルマ好きで、まず会ってから、同じ業界と知ることもある。キャリアにもプラスになっている気がします。

クルマと若者を繋ぐもの

──SNSはなんですか?

西坂 インスタがいちばん多い。Twitterだともうちょっとオタクっぽい人たちが多い。

アキラ そうですね。Twitterは僕、ぜんぜんやっていない。

──それはインスタで、どうつながるの?

西坂 タグがついていたりするから。

アキラ だれかとだれか一緒に遊んでいるところを見て、知り合いの知り合い、みたいにして知り合う。

──それで、今度遊びましょう。みたいな連絡を取ったりするの?

アキラ いや、どっちかというとクルマが集まるようなところに行ったりした時に、「SNSで繋がってますよね」みたいなことになって、あいさつがわりになるというか。

西坂 アキラさんの場合はクルマが珍しいのと、映像の作品で知られているから、「あのNSXの方なんですね」と。僕は少なくとも、そういう知り合い方をした。会いましょう、という連絡はしなくても、どこかで近々会う、ということが多いですね。

アキラ それこそ都内でクルマ好きで集まるというと代官山蔦屋とか。

西坂 休日の朝、神宮のイチョウ並木にクルマ好きのひとたちが集まったりとか。

アキラ 大黒PAまで行っちゃったら大黒ですけど、それぐらいしかない。そこに行ったときに、あ、このクルマ、見たことある。で、オーナーさんが来て、「はじめまして」になる。それこそミニだったら、3月2日、ミニの日の大黒はすごい。そういうのに行かれたりしないですか?

西坂 9月11日はすごかったらしいですね。

アキラ (ポルシェ)911。9月8日もすごかったみたい。クーパーの日。

坂本 いってないです。ホントに自分が好きなだけで。私なんて、という感じになっちゃうんで。行ったら楽しい……んですね。

アキラ 同じ車種で集まるって、どうですか。ジュリアとか。

西坂 集まるのが楽しい時もありますけど、ジュリアに乗っているのは年配の方が多いので、年齢差もある。

アキラ 若ければ若いほど、同じ車種で集まらないイメージはあります。先輩方は同じ車種で集まって楽しい、みたいなのがあるみたいですけど。

西坂 そうそう。昔、オーナーズクラブという発想があったじゃないですか。

アキラ オーナーズクラブというよりは、若いひとたちはだれだれが面白いから一緒にいる、という感じ。

西坂 パーソナリティを尊重しあっている。僕はNSXは欲しいとは思わないかもしれないけど、乗っているひとには興味があるし、それぞれいろんなクルマの趣味人とつながっているのが楽しい。そういうのってありますよね。
(次回につづく)

モータージャーナリストの今尾直樹さんは、1960年生まれの“新人類世代”。クルマ好きの大先輩も、若者たちの話に興味津々。

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