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最終更新日:2022.04.15 公開日:2022.04.15

【再掲記事】緒に就いた復興。加速なるか/仙台(1)|東日本大震災、震災後の記事を振り返る

東日本大震災から11年。次の大震災に備えて、この経験をしっかり覚えておくために、「くるくら」では震災3年後の被災地の状況を伝えた記事を再掲することにしました。6回目は「緒に就いた復興。加速なるか/仙台(1)」です。

文・写真=伊東真一

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本記事は2014年2月に「メイトパーク」(「くるくら」の元サイト)に掲載した内容の再掲です。現状を伝える記事ではありませんのでご注意ください。


市中心部はまばゆいばかりのイルミネーションで彩られ、多くの人が足を止めて見上げていた。

半径数キロ圏内のコントラスト

東北の中核都市宮城県・仙台市。市中心部の復旧は比較的早かった。復興需要もあり人、物、金が流れ込んでいる。それを象徴するかのように、年末の中心部は華やかなイルミネーションが輝き、多くの人で賑わっていた。プロ野球の楽天球団優勝の旗や横断幕があちこちに残っていて、優勝時の歓喜の様子を物語っていた。

仙台駅至近の仙台朝市にも多数の買い物客が年末の買出しに訪れていた。この仙台朝市は、震災3日後には一部店舗が営業を再開した。仙台朝市商店街振興組合によると「仙台中央市場がすぐに再開したのが大きかった」という。震災直後は食料や日用品を求めて客が殺到したそうだ。

師走の冷たい風が吹く中、たくさんの買い物客で賑わう仙台朝市。

今の賑わいについて話を聞くと意外な答えが返ってきた。「年末の客足は伸びますが、それは震災以前からのこと。平常時は震災前よりも減ってきているという店舗が多い。震災以降、自宅近くで買い物を済ませる人が多くなったのでは」と話す。集客力のある商店街を目指して、加盟店と知恵を出し合っているところだという。

市中心部から少し車を走らせると、いまだ復興が遅れている地域を目にするようになる。

仙台市の南方にある名取市・閖上地区は、津波によって甚大な被害を受けた。住宅が立ち並んでいた地域は、瓦礫こそ撤去されていたが、荒涼とした土地が広がり復興とは程遠い現状に見えた。仙台市中心部からわずか十数キロしか離れていない地域だけに、そのコントラストが際立つ。

住宅があったと思われる場所に花が植えられていた。寂しそうに咲いていた。

津波の被害を受けた付近の農地は、瓦礫の撤去や除塩が行われていた。

この付近に住まいがあったという前田武さん・のぞみさん夫妻(仮名)に、復興が進んでいないように見える理由を尋ねた。「住民の意思と、行政の方針が乖離しているのが理由の一つ」と武さんは話す。また、復興の方針をめぐっては住民の合意形成に時間がかかったことも大きかったという。それもあり、様々な審議や手続き、復興のための交付金申請などが遅れ、必要な土地区画整理事業が進んでいないのだそうだ。するとのぞみさんが言った。「いつまでに何がどうなるのか分からない。けれども、愚痴ばっかり言っていてもしょうがない。それに、このあたりがやっぱり好きだから、今度近くの高台に家を建てるんです。だから今までよりもっともっと頑張らないと。ね、お父さん」

「進む復興 浮き彫りになる問題点/仙台(2)」に続く(近日公開)

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