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クルマ2022.03.31

日産「e-4ORCE」をラジコンで体感。外に膨らまず、思いのままに曲がれる

2022年3月17日に日産自動車は、BEVのアリアに搭載される電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」を転用したラジコンカーを公開した。このラジコンカーは、4つのタイヤを個別に制御するe-4ORCEで、外に膨らまずドライバーの意のままにコーナリングできることを体感するために開発された。これをくるくらスタッフが体験してきた。

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4つの電気モーターで4輪を個別に制御

電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」を搭載したラジコンカー

電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」を搭載したラジコンカー 写真=小林祐史

 日産自動車は、BEV(電池式電気自動車)のアリアに搭載される電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE(イーフォース)」を誰でも気軽に体感できるようにと「e-4ORCEラジコンカー」を開発した。そのラジコンカーの運転をくるくらスタッフが体験してきた。

 アリアに搭載されるe-4ORCEは、前後輪に1つずつで計2つの電気モーターを搭載している。その電気モーターが4輪へ伝えるトルクと、4つのブレーキを協調制御することで、加・減速時に車体が前後に揺れるや、コーナリング中に車体が外に膨らむなどを抑制するという技術だ。

 今回のe-4ORCEラジコンカーは、そのコーナリング中に車体が外に膨らまないようにする制御技術を体感してもらうために開発された。もし実際の車で、それを体感しようとするなら危険を伴う可能性がある。しかしラジコンカーなら安全に体感できるというのが開発した理由の1つでもある。

ラジコンで、どうやって体感するの?

 体感の前にこのe-4ORCEラジコンカーの構造を説明する。ラジコンカーとアリアでは大きく異なる点がいくつかある。まずラジコンカーには電気モーターが4輪に1つずつ合計4つが備わる。ブレーキがなく電気モーターだけで制御するため、このような構造となった。一方で一般的なラジコンカーにない装備もe-4ORCEラジコンカーには多く装備されている。車体の揺れ、傾き、各タイヤの速度(滑り具合)などを検知する各種センサー。また、それらセンサーが検知した情報をe-4ORCEのプログラムで処理するための機器、車載カメラとその映像を送信する機器、そして車体の揺れや傾きの情報を送信する機器だ。

 そして運転方法だが、ゲームのドライビングシミュレーターのようなモニターとシートを備えた筐体に座り、実際の車を運転するのと同じようにハンドルとアクセル操作を行う。モニターには、ラジコンに搭載されたカメラからの映像が映し出される。そしてラジコンの揺れや傾きのデータを受信して、筐体が同じように揺れ、傾くという仕組みとなっている。

e-4ORCEラジコンカーの運転システム。ドライビングシミュレーターのような筐体が用いられる

e-4ORCEラジコンカーの運転システム。ドライビングシミュレーターのような筐体が用いられる 写真=日産

【動画で見る】e-4oRCEラジコンカー


くるくらスタッフは試乗で
何を感じた?

くるくらスタッフが試乗

e-4ORCEラジコンカーを試乗するくるくらスタッフ

e-4ORCEラジコンカーを試乗するくるくらスタッフ 写真=海野亜矢子

 今回のe-4ORCEラジコンカー試乗では、e-4ORCE制御の「あり」と「なし」が体感しやすいプログラムが組まれていた。その内容は、1番目はアクセル固定で車速を控えた状態で、e-4ORCE制御なしでハンドル操作する運転。2番目にアクセル固定で、制御ありでハンドル操作する運転。3番目にアクセル、ハンドルとも自分で操作し制御なしの運転。最後にアクセル、ハンドルとも自分で操作して制御ありの運転というもの。

 試乗コースは8の字なので、運転はコーナーで綺麗な弧を描きつつ、切り返しが必要となるため、ハンドル・アクセル操作をスムーズに連動させることが肝となる。

 これをくるくらスタッフ2名が体験。1番目の走行でラジコンカーの運転感覚を掴み、2番目でe-4ORCEを体感、3番目は外に膨らもうとするラジコンカーを、自分のアクセルとハンドル操作で補正する。この3番目がせわしい運転となり、コーナーで描く弧が乱れがちとなる。

 最後にe-4ORCEがオンとなった4番目は、ハンドルを切ると車体がスーッとイン側へと向き、ハンドル、アクセル操作の補正をほとんどせずに安定した弧が描ける。つまり余裕ある運転ができるのだ。

 この試乗では体感だけでなく、タイム計測も行っていた。その3回目と4回目のタイムを比較すると、くるくらスタッフは両名とも制御ありの4回目のほうが1秒から0.5秒もタイムが上がっていた。楽な操作でタイム向上したので、両名とも感心しきりだった。

e-4ORCEラジコンカーの走行動画

4輪が青く光っている時はe-4ORCEの制御がオンの状態を示す、光っていない時は制御オフ。赤く光っている時は、ドライバーの運転操作とは別にe-4ORCEが電気モーターへのトルク制御を行っていることを示す。8の字の切り返ししなどでは頻繁に制御が入っており、赤、青、赤と激しく点滅が切り替わる 動画=小林祐史

e-4ORCEラジコンカー、制御オン、オフのハンドル操作

制御のオン、オフでハンドルを切る量の違いに注目! 動画=海野亜矢子

どんな部品で作られているの?

e-4ORCEラジコンカーの内部。左が車体前側。タイヤやシャシーは特製で、電気モーターとそのギアボックス、バッテリーは市販のラジコンパーツ。車載カメラも市販品

e-4ORCEラジコンカーの内部。左が車体前側。タイヤやシャシーは特製で、電気モーターとそのギアボックス、バッテリーは市販のラジコンパーツ。車載カメラも市販品 写真=小林祐史

 e-4ORCEラジコンカーは、日産自動車の電動化技術や車体制御などを開発するスタッフが作ったものだ。今回の試乗には、その開発スタッフも出席。そこでラジコンカーの構造や制御システムなどについて取材した。

 まず車重は78kgくらいあるとのこと、通常のラジコンより重いのは電気モーターが4つあることやバッテリーを2個積んでいるなど(一般的な市販ラジコンカーの電気モーター、バッテリーは1つ)。さらに車体の前後、左右、上下などの揺れや傾きを計測するジャイロセンサー、車体の傾きデータを筐体へ送信する機器、4輪の滑り具合を計測するセンサー、車載カメラとその画像を送信する機器などを搭載しているためだ。そのため重さだけでなく大きさもかなりある。

 最初に出来上がったラジコンカーでは、モーターだけで4輪を制御することの難しさや、車載カメラの映像送信に遅延があり運転しにくいなどの問題がいろいろと出たそうだ。それらを1つずつ改良し、今回の公開となったわけだ。

 そして、このラジコンカーの肝が特製タイヤだ。素材はABS樹脂で、それを削り出しで製作した(一般的なラジコンカーのタイヤはゴム製で金型成型)。素材に関してはタイヤだけでなく8の字コースの路面にも及んだ。さまざまな素材の組み合わせを幾通りもテストしたそうだ。

 さらにタイヤ形状もさまざまなものをテストした。そのテストから前輪はトレッドとサイドウォールの境のショルダー部が角張ったもの(通常のタイヤは丸みを帯びている)で、トレッド面(路面に接地している部分)はスリックタイヤのようにツルツルに仕上げた。後輪のショルダー部は丸みを帯びているが、トレッド面の外側はザラつきがあり、内側はツルツルという仕上げを採用した。これらのタイヤ素材・形状、8の字コースの路面素材の組み合わせにより、ラジコンカーでe-4ORCEが体感できるようになったのだ。

 なぜ、このようなタイヤと路面の素材を採用したかというとe-4ORCEがオフでは外に膨らみやすく、オンでは意のままに運転できることを体感しやすくするためだったそうだ。

 さらに踏み込んで開発陣に、e-4ORCEラジコンカーの制御プログラムについて質問してみた。制御プログラムは、タイヤが滑って車体が外に膨らんでから制御するのではなく、常に先読みをしながら制御しているそうだ。つまり、これ以上タイヤが滑ると外に膨らみ始めるので、その前に制御を入れるというかたちだ。なお先読みの制御を入れても外に膨らむ場合は、さらに制御を入れるという2段構えになっている。

 この先読みの制御の試乗インプレッションは、昔のABSのように「制御が介入している」というはっきりとした感覚はなく、ハンドルを切ると車の鼻先がドライバーの意図した方向へスーッと向き、介入されていることに気が付かないくらいだった。そのおかげで気負わずにコーナリングができるのだ。このラジコンカーを運転したら、e-4ORCEを搭載するアリアにも試乗してみたくなった。 


e-4ORCEラジコンカーの詳細な写真は
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