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最終更新日:2021.06.30 公開日:2021.06.30

「ウォーキングサファリ」|第30回アニマル”しっかり”みるみる

世界中から集まったさまざまな動物たちを、間近で見て・感じられる施設がサファリパーク。そんなサファリパークで動物たちの世話をする飼育員さんに、知っておくとちょっぴり動物通になれるポイントを、 "しっかり" ご指導いただきました。今回は、森の中をハイキングしながら動物観察が楽しめる施設「ウォーキングサファリ」について、富士サファリパークの動物展示課ウォーキングサファリ担当尾﨑さんに、解説してもらいました。

文・上條 謙二

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車を使わずサファリゾーンを観察

「ウォーキングサファリ」は、富士山麓の自然あふれる森の中を歩きながら、途中に設置されたポイントでサファリゾーンの動物を観察できる約2.5㎞のコース。

 「サファリゾーン」は、ライオンやゾウ、キリンなどの動物が展示される区域に、マイカーやジャングルバスなどの車で乗り入れて、至近距離から観察できる施設です。このサファリゾーンを、車を使わずにハイキングしながら動物の観察が楽しめるのが「ウォーキングサファリ」です。サファリゾーン外側のフェンス沿いに設けられたコースの所要時間は90~120分ほど。富士山麓の森の中を歩きながら、コース途中に設置された施設でサファリゾーンの動物たちを観察したり、ライオンや草食動物へのエサあげ体験もできます。またこの約2.5㎞のコースは、森の中にあって、富士山周辺に生息するさまざまな野生動物や野鳥の姿が見かけられ、四季折々に花を咲かせる植物も観賞できます。時間を気にせずじっくりとサファリゾーンの動物を観察したり、自然や風景を満喫したい人には、うってつけのハイキングコースとなっています。

匂いや息遣いまで感じる「ライオンのエサあげ体験」

「ベアテラス」からは、クマが木登りする姿や水浴びする様子が観察できる。

「ライオンロック」では、「ライオンのエサあげ体験」ができる。ライオンまでの距離は80㎝ほどで、匂いや息遣いまで感じることができる。

 この「ウォーキングサファリ」のコースにはどんな施設があって、そこではどんな動物の様子が見られるのでしょうか? 主な観察ポイントを紹介します。

 「ベアテラス」は、木製のテラスからクマを見下ろす形で観察するポイントです。クマの種類としては、アメリカグマと、離れたところにいるヒグマも観察できます。ここではクマたちが木登りする姿や水浴びする姿に注目です。「若いアメリカグマの個体がいれば、クマの木登りが見られる確率が高くなる」(※尾﨑さん以下同)そうです。

 「ライオンテラス」は、木製のテラスからライオンを見下ろすように観察できるポイントです。ここではライオンが岩山に登る姿や木の上で寝そべって休む姿などが観察できます。「野生下でも、岩山に横たわっていることが多いライオンですが、その理由は、岩山のような高い場所では周囲をよく見渡すことができ、風通しがよく、病気を媒介する虫が少ないからと言われています」。また岩山には大きな骨(牛骨)が設置してあるので、ときには骨を夢中でかじる様子も観察できます。

 ライオンゾーンの中央には「ライオンロック」と呼ばれる観察ポイントがあります。ここは通路が地下トンネルになっているので、動き回るライオンを下から観察することになります。「ライオンの体を滅多に見られない下からのアングルで観察できます。運が良ければ足裏の肉球まで観察できることもある」そうです。

 この観察ポイントでは「ライオンのエサあげ体験」ができます。このエサあげは、長い棒の先端に生肉を刺して与えます。二重の金網フェンス越しながら、ライオンまでの距離はわずか80㎝ほど。エサを見せると瞳孔が開く様子、エサの生肉(骨付き肉)を噛み砕く音や裂肉歯で肉をどのように噛むのかなど、至近距離で細かいところまでじっくり観察してください。ライオンは意外とひげが短いことなんかまで分かります。

 近づいてくるときのライオンの様子にも注目してください。ライオンは狩りのとき自分の存在を気づかせないため、足音を立てずに気配を殺して忍び寄ります。ライオンから目を離していると「檻越しではありますが、いつのまにかそばにいたりしてビックリすることがよくある」そうです。

 またここでの観察時にはライオンにおしっこをかけられないように注意してください。オスライオンはマーキングのためおしっこをすることがたまにあります。「お尻を向け、しっぽをあげたら注意!!」だそうです。

おおらかな性格のアメリカバイソン

「ゾウテラス」は、アジアゾウを一望することができる観察ポイント。

「ゾウテラス」からは、水路をダイナミックに泳ぐアジアゾウの姿を見ることができる(夏期限定)。

「シカポイント」では、エサあげ体験もできる。

 「ゾウテラス」は、高さのある鉄筋の施設で、アジアゾウを一望することができる観察ポイント。また夏期限定となりますが、長さ60m、深さ3mの水路をダイナミックに泳ぐアジアゾウの姿を見ることができます。

 「キリンテラス」では、一般草食エリアの半分を一望することができ、たくさんの動物(主にキリン、シマウマ、ラマ、エランド、ブラックバック。遠目にはシタツンガやラクダ)が一度に見られます。

 「シカポイント」では、山岳草食動物をフェンス越しに観察できます。ここでは「エサあげ体験」もできます。この他に動物へのエサあげ体験は、一般草食動物の「シマウマポイント」や「ラマポイント」、シカ科のキョンのポイントなどでも行っています。

 「バイソンテラス」では、アメリカバイソン、ダマジカ、ムフロンなどを見下ろすように観察できます。ここでは、アメリカバイソンのオスとメスの体の大きさに注目してみてください。アメリカバイソンはオスと比べてメスの体が小さく、子供かなと思った個体がメスの成獣だったりします。6月頃ならメスの成獣よりさらに小さい子供のバイソンの姿が見られるかもしれません。そんなアメリカバイソンが集まるスペースにダマジカなどもズカズカと入り込んできますが、アメリカバイソンは一向に気にせず、怒りもせずに一緒になってエサを食べます。⼀度興奮すると⾛り回って⼿が付けられなくなる面もあるアメリカバイソンですが、ふだんはとっても温厚です。

シカがコース内にいる!?

ウォーキングサファリのコースは、富士山の1合目の高さの同じ、標高750~800mのところにあり、ときには富士山周辺に生息する野生動物と遭遇することがある。

 最後に「ウォーキングサファリあるある」についても伺ってみました。 「コース内では、富士山周辺に生息する野生動物と遭遇することがあります。特にシカは結構頻繁に見られます。『サファリゾーンからシカが逃げ出しています!』とお客様から連絡をいただくことがよくある」そうです。

 シカ以外にも、リス、イタチ、タヌキ、アナグマなどの野生動物も見かけることがあります。また野鳥の種類や数も多く、季節ごとにさまざまな鳴き声を聞くことができ、楽しめます。

「ウォーキングサファリに参加するときは、起伏のある未舗装のコースを歩くので、歩きやすい運動靴はもちろん、山歩きに適した服装がおすすめ。また虫除けスプレーや双眼鏡、草食動物のエサあげの際には小銭として必要になるので100円硬貨も多めにご用意ください」と飼育担当の尾﨑さん。

※「ウォーキングサファリ」や「各種エサあげ体験」は、入園料と別途に料金が必要です。

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