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最終更新日:2020.12.09 公開日:2020.12.09

青、黄、赤? 色違いの消防車、白バイたち

警察車両は白/黒、消防は赤、救急車は白というイメージが定着しているが、黄色の消防車や、青・赤・黄の緊急車両指定を受けたバイクが存在するのを知っているだろうか? ちょっと変わったボディカラーの警察・消防などの車両を紹介しよう。

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消防車や警察の緊急自動車の色は保安基準で決まっているが……

パトカーは白/黒、救急車は白、消防車は赤のはず…… © mapo – stock.adobe.com

 道路運送車両法の保安基準で「緊急自動車の車体の塗色は、消防自動車は朱色とし、そのほかの緊急自動車にあっては白色とする」と定められている。これにより消防車や救急車、パトカー、白バイなどは車体の塗色(サイレンの色・音も)が定められている。しかし消防や警察には緊急自動車以外の車両もある。それらはこの塗色に関する保安基準に適合しなくてもよいので、一風変わったボディカラーの車両も存在する。また任務の性質から緊急自動車であっても、いつもと違った塗色となるケースもある。そんなケースの消防車や警察の車両を詳解しよう。

関西国際空港の黄色い化学消防車

関西国際空港には数台の黄色い消防車がある。写真:関西国際空港エアポート

 関西国際空港には黄色い化学消防車が存在する。黄色となっている理由を関西国際空港に取材すると、同車は空港内だけで運用する消防車であり、公道を走るための緊急自動車の指定を受けていない。そのため、朱色以外の塗色が使えることとなった。また24時間運用の関西国際空港は、夜間の離着陸がある。その夜間でも目立つよう、このような塗色を採用したという。その色味も蛍光色のような鮮やかなものだ。ちなみに同空港は黄色い化学消防車とともに赤いものも配備されている。

 この黄色い化学消防車には、飛行機の機体に貫通させて消火する「穿孔ノズル」が装備されている。これは機体の一部に穴を開けて、そこにノズルを差し込んで消火するものだ。これで消防隊員を機内に突入させずに消火作業ができる。

関西国際空港の黄色の化学消防車

車種:ローゼンバウアー社製 HRET型空港用化学消防車など
任務:関西国際空港での消防。航空機の新規就航イベントなどで、対象機をお出迎えする放水アーチを作るなど。
装備:1分間当たりの水・薬剤放出量6000リットル。水タンク容量12500リットル、薬液タンク容量800リットル。空港内のいかなる場所へも2分以内で到着可能。穿孔ノズルなど。

全国ワースト1返上のために誕生した「青バイ」。

現在の青バイは、排気量400ccのバイクが採用されている。写真:大阪府警察

 1980年代から20年間以上、大阪府はひったくり事件の発生が全国ワースト1だった。その対策として大阪府警は、ひったくり犯を取り締まるバイクの専門部隊「大阪スカイブルー隊」を1997年に発足させた。そのバイクは鮮やかなブルーで塗色されていたため、「青バイ」と呼ばれるようになった。白バイなどは排気量が750cc以上の大型バイクが多いが、青バイは路地裏などでの任務を想定して当初は250ccの中型バイクが採用された。この機動力を生かして、ひったくり犯の現行犯逮捕で実績を上げた。青バイによる該当犯罪への警戒・検挙の強化もあって、ついに2010年、ひったくり事件発生の全国ワースト1を脱した。ちなみに青バイは、街頭犯罪の警戒・検挙の活動だけではなく、交通違反者の検挙にも従事している。

大阪府警察、大阪ブルースカイ隊の青バイ

車種:ホンダCB400(排気量400ccの中型バイク)
任務: 街頭犯罪の警備・取締り、交通違反の取締り、道案内など
装備:非公開 

「黄バイ」首都高、山手トンネルに急行せよ。

山手トンネルを受け持つ首都高パトロールのバイク隊。写真:首都高速道路株式会社

 東京の首都高速道路の交通管理業務を担っている首都高パトロールには、渋滞中でも迅速に現場へ急行するためのバイク隊がある。その塗色はパトロール車と同様の黄色で通称は「黄バイ」。正式名称は「パトロールバイク」だ。主な任務は、首都高速道路のC2中央環状線にある全長18.2kmの山手トンネル内において火災などの重大事故が発生した際は、現場に急行してドライバーたちの避難誘導とともに、通行止め措置などの対応を行うこと。このような緊急を要する任務が想定されるため、黄バイには取り回しが軽快な排気量400ccの中型バイクが採用されている。

首都高パトロール、パトロールバイクの黄バイ

車種:ホンダCB400SB(排気量400ccの中型バイク)
任務:山手トンネル内の重大事故への対応など
装備:緊急車両指定の許可を受けLED式の赤色回転灯、広報手段としてのスピーカーなど。

「赤バイ」重い装備を背負って火災現場へ。

重装備を載せて悪路を走行するクイックアタッカー。写真:東京消防庁

 消防車のバイク版である「赤バイ」の歴史は古く、1960年代後半に東京や大阪などの一部の消防署で、赤色灯と消火器を積んだ中型バイクで暫定運用が始まった。このころは都市部の交通渋滞が激しくなり、消防車の火災現場への到着の遅れが問題となっていた。そこで交通渋滞の影響が少ないバイクで火災現場への到着を早めようとしたわけだ。その後、東京消防庁は赤バイを1966121日から正式に配備し、火災現場に一番乗りして救助活動を行うなどの実績を残したが、1976520日でいったん廃止となった。

 ところが1995117日の阪神・淡路大震災で建物の倒壊によって消防車の現場到着が遅れる教訓を得て、同年に東京消防庁は再び赤バイを「クイックアタッカー」という名称で、数か所の消防署に配備した。

 現代の赤バイ「クイックアタッカー」は、250ccのオフロードバイクで、任務には21組であたる。2台はそれぞれで装備が異なっており、I型、II型の区別がある。I型の装備が可搬式消火器具(圧搾空気で放水する消火器で背負うことが可能)、II型が簡易救助器具(クルマのドアをこじ開ける油圧カッター・油圧スプレッダー)、消火器、応急救護資器材など。このような重量のある装備をリアボックスやサイドケースに収納しているため、その運転は容易ではない。さらに青梅や八王子など、山林に近い消防署にも配備されており、火災現場に向かう際に未舗装の林道を走行する可能性もある。そのためクイックアタッカーに乗車する消防隊員は、運転技能の審査が課せられ、訓練にも余念がない。

東京消防庁、クイックアタッカーの赤バイ

車種:ヤマハSEROW250(排気量250ccの中型バイク)
任務: 消火・救助活動など
装備:可搬式消火器具、簡易救助器具、消火器、応急救護資器材、右側サイドスタンド、セル始動用のバックアップ電源装置など


黄色い消防車、青バイ、黄バイ、赤バイの雄姿を見るなら、下の「この記事の写真を見る」をクリック。

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