クルマのある暮らしをもっと豊かに、もっと楽しく

Cars

最終更新日:2020.10.02 公開日:2020.10.02

自動運転の大型バス、遠隔監視・操作による日本初の営業運行を10月に実施

相鉄バスが群馬大学、日本モビリティ、横浜市と組んで、遠隔監視・操作による自動運転の大型バスを、日本で初めて10月に営業運行させる。ルートは、横浜市の人気スポット「よこはま動物園ズーラシア」と、併設されている「里山ガーデン」の間だ。

記事の画像ギャラリーを見る

相鉄バスが自社所有する自動運転大型バス。日野製「ブルーリボン ハイブリッド 2SG-HL2ANBP 改」。相鉄バスホームページより。

 相鉄バス、群馬大学、日本モビリティ、横浜市の4者は、10月5日(月)と14日(水)に、日本初となる大型バスの遠隔監視・操作による自動運転「レベル4」相当(※)の営業運行を実施する。

※1 自動運転レベル4:限定された条件内であれば、システムがすべての運転を実施し、ドライバーによる操作を必要としないと定義されている。ただし、今回は実証実験のため、安全性確保のために運転士ではなく保安者が搭乗する。また、運転士が離れた場所から遠隔監視を行い、必要な際には操作も行う。

 就労人口の減少による影響で、バス業界も運転士不足が大きな課題となっている。相鉄バスが、その課題解決のために積極的に推し進めているのが自動運転技術の導入だ。同社は、日本の大型バスを運行させている事業者として初めて大型バスの自動運転車両を自社所有し、2019年から実証実験をスタート。自動運転のサービス化を加速させている。

 そして、群馬大学および同大学の研究・産学連携推進機構次世代モビリティ社会実装研究センターは、大型バスの自動運転適用における課題解決や運行実務に即した技術の研究開発を進めている日本有数の大学であり、付属の研究機関だ。また日本モビリティは、同センター所属の小木津武樹准教授が設立した自動運転技術を扱った大学発ベンチャーである。

2019年に運行されたときの自動運転バスの外観。2020年仕様と比べて、遠隔監視・操作のためのカメラなどがルーフ前部などに設置されていない。横浜市プレスリリースより。

遠隔監視・操作による自動運転は10月5日と14日の2日間に実施

 遠隔監視・操作システムが設置されるのは、ズーラシアなどと同じ横浜市旭区にある旭営業所内だ。非常時に備えて運転士はそこで遠隔監視を行い、万が一の場合は遠隔操作を行う。また今回は安全性を考慮し、異常があった際に緊急停止スイッチを操作できるよう、保安者が搭乗することになっている。

 走行区間は、横浜市内の人気スポットである「よこはま動物園ズーラシア」の正門から、併設され「里山ガーデン」を結ぶ全長900mのルートだ。10月5日(月)と14日(水)に、1日4往復する。運行ダイヤは両日とも以下の通り。乗車定員は各便25人を予定しており、先着順となる。運賃は無料だ。

【里山ガーデン正面入口・発(10月5日・14日)】
14・15時台:01分、31分

【よこはま動物園正門・発(10月5日・14日)】
14・15時台:08分、38分

相鉄バスの自動運転バスのルート。

 また、10月6日(火)・7日(水)、12日(月)~14日(水)は、同じバスを利用するが、2019年秋と同様に運転席に運転士を配置した状態で営業運行が行われる。こちらの運行ダイヤは以下の通りで、運賃は無料。最終日の14日(水)だけは、遠隔監視・操作と、運転士を配した両方の運行が行われる。

【里山ガーデン正面入口・発】
●10月6日・7日・13日
10~12時台:
11分、41分
14~15時台:01分、31分

●10月12日
14~15時台:
01分、31分

●10月14日
10~12時台:
11分、41分

【よこはま動物園正門・発】
●10月6日・7日・13日
10~12時台:
18分、48分
14~15時台:
08分、38分

●10月12日
14~15時台:08分、38分

●10月14日
10~12時台:
18分、48分

車内外に遠隔監視用のカメラなども装備した相鉄バスの自動運転大型バス

 自動運転車両は、相鉄バスが所有する日野製の大型バス「ブルーリボン ハイブリッド 2SG-HL2ANBP 改」だ。センサーは、位置測定用および障害物認識用のレーザーセンサー、信号認識などに用いる全方位カメラ、位置測定用のGPS(GNSS)受信機などが備え付けられている。

 遠隔監視・操作する際に、運転士が運転席から運転する場合と同様の環境を得られるよう、車内外に一部マイク付きの遠隔監視カメラが追加され、また遠隔監視スピーカーも車外に装備された。車内外の安全確認や、乗客もしくはバス停の乗車待ちの人たちなどへの呼びかけを行えるようになっている。

車内外に設置された各種センサー。相鉄バスプレスリリースより。

 一方の遠隔監視・操作システムは、バスに装備された遠隔監視カメラからの映像を表示するモニター、遠隔操作用タッチパネル、そして必要が生じたときに運転するための遠隔操作用コントローラ、そして遠隔音声ヘッドセットの組み合わせとなっている。

相鉄バスが所有する自動運転バスの遠隔監視・操作システム。相鉄バスプレスリリースより。

 相鉄バス、群馬大学、日本モビリティ、横浜市経済局の4者は、今後もさまざまな実証実験を通じて自動運転に関する社会受容性を向上させると共に、公共交通機関網強化の可能性を検証し、自動運転レベル4による営業運転を目指すとしている。

記事の画像ギャラリーを見る

この記事をシェア

  

Campaign

応募はこちら!(1月5日まで)
応募はこちら!(1月5日まで)