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クルマ最終更新日:2023.07.31 公開日:2023.07.24

ロールス・ロイスのクルマには、どうしてオバケの名前ばかり付いている?

ゴースト、シャドウ、レイス、ファントムにスペクター。ロールス・ロイスは英国王室も御用達の優雅なクルマにも関わらず、どうして車名はオバケばかりなのだろうか?

文=岩井リョースケ(KURU KURA)

幻のように存在に気付けず、幽霊のように不死?

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ロールス・ロイスがオバケの名前をクルマに付ける理由は、ブランド伝統の静粛性と、高い耐久性が由来となっている。まず静粛性については、ロールス・ロイスのどの車種も、いつエンジンが始動したのか分からないほど静かで、まるで幽霊のようだという。例えばロールス・ロイスを代表する高級車「ファントム」に搭載されたV型12気筒 6.8リッターエンジンは車内でも車外でもほとんどエンジン音が聞こえず、振動も少ない。

次に、耐久性については幽霊=永遠に存在するもの=永遠に近いほど故障しないクルマという意味が込められている。この理念は既存モデルはもちろん、最新型モデルにも受け継がれている。例えばロールス・ロイス初の電気自動車「スペクター」では400年以上の使用を想定し、-40℃~50℃までの温度環境や、250万kmに及ぶテストプログラムを実施したという。このような高耐久仕様を謳っていることからも、同社の”永遠”へのこだわりを窺い知ることができる。

エンジン音に気が付かないほど静かで、いつまでも乗り続けられる幻のようなクルマ。それがロールス・ロイスなのだ。

「ファントム」は、ロールス・ロイスのフラッグシップモデルであり、ショーファードリブンで運用されることを前提にして作られたラグジュアリーカー。写真=Rolls-Royce

「ロールス・ロイス ゴースト エクステンデッド」は、新型ゴーストのロングホイールベース版。まるで地上を飛んでいるような乗り心地を実現している。

新型SUV「ブラックバッジ・カリナン」のブルー・シャドウカラーは宇宙の美しさと神秘を探求したもの。車両販売台数は世界で62台。

誰もが憧れるエンブレムやブランドロゴの意味

ロールス・ロイス(Rolls-Royce)の社名は、創業者であるチャールズ・スチュワート・ロールズのRollsと、フレデリック・ヘンリー・ロイスのRoyceに由来している。その両者の頭文字を合わせたものが、ブランドロゴの「RR」だ。

そしてボンネットの先端にある精霊のような形のマスコットエンブレムは「スピリット・オブ・エクスタシー」、または「フライングレディ」と呼ばれ、モチーフはギリシャ神話に登場する勝利の女神「ニケ」に由来している。ちなみに2004年頃からこの純銀の女神像に触れると一瞬でボンネットの内側に引っ込む盗難防止機能が追加されている。

ロールス・ロイスのエンブレム「スピリット・オブ・エクスタシー」とブランドロゴ。(c)MAXSHOT_PL - stock.adobe.com

ちなみに英国発祥の高級自動車メーカーには「ベントレー」があるが、ベントレーは1931年から1998年までロールス・ロイスの傘下にあったため、両社が製造する車は設計を共有する関係にあったが、現在は別会社となっている。ロールス・ロイスはショーファードリブン(VIPや要人を乗せて専属運転手が運転する)の用途が多く、ベントレーはオーナーが自らが運転する傾向にあるようだ。

ロールス・ロイス初の電気自動車「スペクター」が発表され、日本でも2023年の第4四半期から納車が予定されている。同社もこれからさらに電気自動車モデルを拡充していくと思われるが、それらのモデルにも静粛性と耐久性の伝統を引き継がせ、世界が憧れる高級車づくりを続けることだろう。

世界初の高級電気スーパークーペ「スペクター」

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