クルマのある暮らしをもっと豊かに、もっと楽しく

Traffic

最終更新日:2019.12.13 公開日:2019.12.13

ヘルメット交換「3年」をメーカーが推奨する理由

バイク用品店が実施した意識調査で、バイク用ヘルメットを5年以上使っているライダーが約5割も存在することがわかった。一方でヘルメットメーカーは「3年」での交換を推奨している。その理由をメーカーに取材した。

記事の画像ギャラリーを見る

ヘルメットの交換目安が3年って知っていました? © lassedesignen – stock.adobe.com

8割が「5年以内」にヘルメットを交換

 バイク用品の小売・開発を行う株式会社ナップスのアンケート調査によると、バイク用ヘルメットを5年以上使用しているライダーは、全体の49%にも上ることが分かった。最も多かった回答は5年の29.0%、次に3年の24.2%だった。なかには、10年以上同じヘルメットを使用するライダーも、12.7%も存在していた。

あなたはどのくらいの期間でヘルメットを交換していますか?(n=534・単一回答方式)

※調査主体者の公表するデータをもとに編集部でグラフを作成

調査主体 株式会社ナップス
調査名  【バイク用品】に関しての意識調査

調査期間 2019年11月21日~2019年11月25日
調査対象 現在普通自動二輪免許を保有し、125cc以上のバイクを所有しており、かつ過去1年以内にバイクを運転したと回答した20歳代~50歳代の全国の男女630名
調査方法 インターネットリサーチ

メーカーは3年を目安に交換を推奨

 ヘルメットの交換時期について、国内複数のヘルメットメーカーのウェブサイトを調べると、「使用開始から3年を目安に交換」を推奨しているところが多い。上記のアンケートで3年以内に交換しているのは、43.4%と半数に満たない割合だ。

 近年のヘルメットは、転倒や、どこかにぶつけたりしなければ、もう少し使えるようにも思える。なぜ3年を推奨するのだろうか? ヘルメットメーカーに取材してみた。

ヘルメットは安全性を維持する必要がある

 国内ヘルメットメーカー数社に「3年が目安」の理由を取材したところ、制度面からの理由として、SGマーク制度の使用期限が3年であることを挙げた。

 SGマーク制度とは、消費生活用製品の安全基準・製品認証・事故賠償が一体となった制度だ。同制度の安全基準を満たしたことを認証された製品に、マークが表示されている。消費生活用製品とは、「主として一般消費者の生活の用に供される製品」のことで、要するに我々が生活の中で使用しているさまざまな工業製品のことだ。

 もともとは、1973年の消費生活用品安全法に基づき設立された法律を受けて設立された制度で、消費者を守るという観点から安全基準が定められた。その後、SGマーク制度を定めた消費生活用品安全法は、数度の改正を経て、SGマークからPSCマークとなった。現在、SGマークは、法律による制度ではなく、民間の自主的な取り組みとして残っている。

 PSCマークに代わった後もSGマーク制度が残ったのは、安全基準・製品認証・事故賠償が一体となっていたからだ。認証されている製品に万が一欠陥があり、それによって人身事故が発生した場合には、円滑な賠償措置が講じられるようになっている。その事故賠償の期限が、ヘルメットは3年とされているのだ。

 また、メーカーでは、3年以内であっても装着前にヘルメットの点検を忘れないようにと喚起している。点検することで安全性の低下に気付けるそうだ。そこで、ヘルメットメーカーから教えてもらった目視による点検ポイントを紹介しよう。

→次ページ:

ヘルメットの点検ポイント

ヘルメットの経年劣化を目視するには

 点検の前にヘルメットの構造と仕組みを理解しておこう。ヘルメットは外側のFRP(繊維強化プラスチック)などによるシェルの中に、衝撃を吸収する発泡スチロールなどによるライナーと、頭や顔に触れる内装がある。

 

ヘルメットの断面図。外側の紫の部分がシェル、赤い部分がライナー、緑の部分が内装。
写真協力:アライヘルメット

 転倒によって外側のシェルが路面などと衝突し、衝撃が発生する。その衝撃がライナーに伝わる。ライナーは変形や内部構造の破壊で衝撃を吸収し、頭を守る。ヘルメットと頭をフィットさせる内装が衝撃を吸収する。というのがヘルメットの仕組みだ。

 目視点検では、まずシェルの状態を確認する。塗装はがれ等のキズがあれば過去に衝撃が加わっている可能性があるので、メーカーに点検を依頼しよう。

 次は、衝撃を吸収する役割を果たすライナーの点検。内装をめくって、ライナー表面が見えるようにして状態を確認する。発泡スチロールの表面にヒビや、泡立ったような凹凸があると経年劣化が始まっているのでヘルメットの交換となる。

 内装の中にはスポンジが収められており、その弾力によって、頭にヘルメットをフィットさせている。その弾力は、着用の繰り返しや、汗、皮脂、髪の整髪料、化粧などにより徐々に硬化してくる。点検方法は、内装を指で押したときの復元具合や、使用開始時より緩くなったなどのフィット感を確認。汗などで汚れているようなら布でふき取っておこう。

 また内装だけを交換できるヘルメットもある。このタイプでライナーが劣化していなければ、内装の交換だけで済むケースもある。内装が洗濯可能なものもある。

 ヘルメットは頭部を守ってくれる大切な安全装具だ。クルマやバイクを運転前に点検するように、ヘルメットも着用前に点検しよう。

記事の画像ギャラリーを見る

この記事をシェア

  

Campaign

応募はこちら!(1月5日まで)
応募はこちら!(1月5日まで)