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最終更新日:2019.11.07 公開日:2019.11.07

【東京モーターショー2019】国内メーカー大型商用車・いすゞ/三菱ふそう編

東京モーターショー2019の青海展示棟Aホールに出展した、国内大型商用車メーカー4社から、いすゞと三菱ふそうのコンセプトカーや市販車の最新2019年モデルを取り上げる。

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いすゞは未来のトラックや現行車種の改良型など計5車種を展示

 いすゞは今回のブースコンセプトを「Creative with you. これからも『運ぶ』を支えるために」とし、コンセプトモデルや市販間近の現行車種の改良モデルなどを出展した。

未来の物流を支えるインテリジェントトラック「FL-IR」

いすゞがショーモデルとして参考出展した「FL-IR」。「安心・安全で生き生きとした長距離ドライバーの新しい働き方」をコンセプトとした、未来の物流用インテリジェント・トラック(トレーラーヘッド)だ。

 「FL-IR」は、Future Logistics Intelligent Reallyの略で、未来の物流を自動運転などのインテリジェントな機能でもって支えるトラックという意味合いだ。トラックのコネクテッドや隊列走行などが魚類の行動と類似していることに着目し、外見はサメをモチーフとし、効率的なロボットのイメージが付与されたバイオデザインが採用されている。風を切り裂くような有機的な形状の前絞り型のキャビンと、その周囲を覆う硬質なエアロデバイスの対比もデザイン面の特徴だという。

 インテリアは、手動・自動の運転モードの切り替えでダッシュボードが入れ替わるレイヤーデザインを採用。運転席は車両のセンターに配置され、操作性と居住性を兼ね備えた設計となっている。

国産初の路線バス向けハイブリッド連節バス「エルガデュオ」

いすゞと日野が共同開発した、国産初の路線バス向けハイブリッド連節バス「エルガデュオ」(参考出展)。全長は17.99mで通常の路線バスの約1.5倍。乗車定員は通常より約30名増しの119名となっている。

 「エルガデュオ」は、いすゞが日野と組んで2017年から共同開発してきた、国産初の路線バス用ハイブリッド連節バス。また路線バスとして世界初となる「ドライバー異常時対応システム(EDSS)」を搭載している点も特徴のひとつだ。EDSSはドライバーが意識を失うなどの異常時に緊急使用するもので、乗客や乗務員などが非常ブレーキスイッチを押せばバスを安全に停車させることが可能だ。

 さらに、両社で開発した「次世代都市交通システム(ART)」用の機能を複数備えている点も特徴となっている。自動でバス停へ誘導する「プラットフォーム正着制御」、前走車との車車間通信により自動で加減速を行う「協調型車間距離維持支援システム(CACC)」、車外の移動物を検知する「視覚支援システム」などが、ドライバーの安全運行を支援する。

“エンジンがない”構造を利用した「エルフEVウォークスルーバン」

いすゞが次世代の小型配送車として参考出展した「エルフEVウォークスルーバン」。運転席と荷台の間を車内を通って行き来することが可能だ。

 「エルフEVウォークスルーバン」の最大の特徴は、キャビンと荷台が一体化し、ウォークスルー構造となっていること。従来のトラックは、キャビンと荷台の間にエンジンが配置されているため、キャビンと荷台はそれぞれ独立しているのが一般的だった。しかし、「エルフEVウォークスルーバン」は集配作業の高効率化やドライバーの労働環境への配慮を行い、キャビンと荷台を一体化。運転席と荷台を車内で往来できるようにしたのだ。さらに、運転席は荷台に向かいやすいよう回転シートが採用されている。

 また安全面では、ドアミラーの代わりに電子ミラーシステム(デジタル・アウターミラー)を装備して後方の視認性を向上。さらに、車両の周囲すべてを確認できる3Dサラウンドマルチビュー(全方位モニター)も搭載しており、死角の大きい大型車の駐車をサポートする。

こちらは現行の「エルフ」。現在のトラックは、このようにキャビンと荷台が独立している構造となっているのが一般的だ。

フラッグシップモデル「ギガ」の安全性能と疲労軽減強化版を出展

いすゞの主力大型トラック「ギガ」の改良版も参考出展された。

 いすゞの主力大型トラック「ギガ」の、安全性能とドライバーの疲労軽減の2点を強化した改良版も参考出展された。まず安全面では、衝突被害軽減ブレーキが歩行者と自転車にも対応。そして、右左折時の巻き込み事故抑制と車線変更支援のため、死角を監視するブラインドスポットモニターや高機能型(可変配光型LED)ヘッドランプなどが装備された。

 ドライバーの疲労軽減機能としては、全車速域で前走車に追従する「全車速ミリ波車間クルーズ」を搭載したほか、新型のハイルーフキャビンを装備して居住性も高められている。そしてクラウド型車両運行・動態管理システム「MIMAMORI」も加えられた。車両のコンディションや安全装置の作動状況などが逐次モニタリングされる仕組みだ。

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続いては三菱ふそうのトラックやバスを紹介!

三菱ふそうは燃料電池小型トラックなど、世界初公開2台を含む計5台を展示

 三菱ふそうは青海展示棟Aホールの正面入口の正面という1等席にブースを構えた。燃料電池小型トラックのコンセプトモデルと、同社の主力大型トラック「スーパーグレート」の2019年モデルを世界初公開した。

燃料電池小型トラックのコンセプトモデル「Vision F-CELL」を世界初公開

燃料電池小型トラックのコンセプトモデル「Vision F-CELL」。東京モーターショー2019で世界初公開された。

 三菱ふそうの小型EVトラック「eCanter(イー・キャンター)」、世界各国で現在140台以上が稼働中だ。今回は、それにより培われたEV技術に燃料電池システムを加え、EVトラックの将来の展望を表すコンセプトモデルとして、「Vision F-CELL」を世界初公開した。

 「Vision F-CELL」で燃料電池システムが選ばれた理由は、EVの航続距離の制限を取り払うことが目的であるという。今後も、三菱ふそうは「eCanter」のようなバッテリー式EVトラックの販売を継続しながら、「Vision F-CELL」のような燃料電池式と新たな(EV)技術の開発も並行して進めていくとした。

高度運転支援技術を搭載した「スーパーグレート」2019年モデルも世界初公開

全長約12m×全幅約2.5m×全高約3.6mの巨体がシルバーに塗装されてまばゆかった「スーパーグレート」2019年モデル。最大出力394馬力、最大トルク2000N・mを絞り出す排気量10.7Lのエンジン「6R20(T2)型」を搭載する。

 三菱ふそうブースで世界初公開されたもう1台が、東京モーターショーのプレスデー初日である10月23日に発売開始となった大型トラック「スーパーグレート」の2019年モデル。最大の特徴は、国産の大型トラックでは初となるSAE(※2) レベル2相当の高度運転支援機能を搭載したことだ。

 停止・発進機能を備える車間距離保持機能付きオートクルーズに、レーンキープや車線逸脱防止などの機能を追加した「アクティブ・ドライブ・アシスト」、従来よりもさらに高い速度域からでも衝突リスクを軽減させられるようになった「アクティブ・ブレーキ・アシスト5」などを搭載。また、左折時に歩行者や自転車の巻き込み事故を回避するための「アクティブ・サイドガード・アシスト」なども備えている。

※2 SAE:Society of Automotive Engineers Internationalの略で、米国自動車技術会のこと。クルマの自動運転のレベルなどを定めており、その基準がほぼ世界の基準となっている。ただしSAEレベル2は運転支援の範疇であり、自動運転の範疇に入るのはレベル3から。

グッドデザイン賞を受賞した大型観光バス「エアロクィーン」2019年モデル

2019年4月から発売が始まった大型観光バス「エアロクィーン」2019年モデル。全長約12m×全幅×約2.5m×全高×約3.5m。乗車定員は夜行線用途の30名から観光・貸切用途12列仕様62名まで、室内レイアウトは多数。

 10月9日に、2019年のグッドデザイン賞を受賞したばかりの大型観光バス「エアロクィーン」2019年モデルは、優れたデザインだけでなく、予防安全装備が充実していることも大きな特徴だ。国内大型観光バスでは初となる機能として、左折巻き込み事故を回避するための「アクティブ・サイドガード・アシスト」、ドライバーに異常が発生した場合に車両を自動停車する「ドライバー異常時対応システム」、歩行者検知機能も追加された衝突被害軽減ブレーキ「アクティブ・ブレーキ・アシスト4(ABA4)」などを備える。

 また三菱ふそうのコネクト技術「バスコネクト」を装備しており、稼働中のバスの車両位置や軌跡、燃費、安全運転の度合いといったリアルタイム情報を遠隔で管理できるようになっている。またドライバー異常時対応システムやABA4が作動した際には、管理者へ緊急連絡が入る仕組みだ。

予防安全技術を装備した小型バス「ローザ」2019年モデル

小型バス「ローザ」。2019年モデルは2019年8月に発表され、10月から販売を開始した。展示車両は観光仕様で、乗車定員は16名。乗車定員29名のロングボディタイプなどもある。

 送迎や観光などに利用されている小型バス「ローザ」。2019年モデルは、衝突被害軽減ブレーキ、車両安定制御装置、車両車線逸脱警報装置といった複数の予防安全装備を搭載。これらにより、予防安全性能が大幅に向上した。

 衝突被害軽減ブレーキはミリ波レーダーを使用している。クルマだけでなく、横断中の歩行者も検知可能だ。車両安定制御装置は滑りやすい路面状態においてコーナリングする際に活躍する。車両姿勢を常時センサーで感知しており、横滑りや横転などを未然に防いでくれる。車両車線逸脱警報装置は、高速道路などでウインカー操作なしに車両が車線を逸脱した場合に作動。ドライバーの意図しない車線逸脱であると車両が判断し、ブザーを鳴らすなどして、安全走行を促す装置である。

国士舘大の防災・救急救助総合研究と共同開発した小型救助用トラック「アテナ」

小型救助用トラック「アテナ」。東京モーターショー2019の無料屋外展示コーナー”OPEN ROAD”で展示された。青海エリアから有明エリアまで続くシンボルプロムナード公園が会場だ。

 小型救助用トラック「アテナ」は三菱ふそうの小型トラック「キャンター」の4輪駆動モデルをベースに、国士舘大学の防災・救急救助総合研究と共に、災害時の悪路で活躍する救助車というコンセプトで開発された。今回の開発では「キャンター」のプラットフォームの汎用性を実証する狙いもある。リアにはレスキュー時に使用するオフロードバイクも搭載されている。


 大型車は、乗用車にはない迫力があり、実際に触れられる機会も少ないだけに、こうした展示会では常に人気だ。いすゞも三菱ふそうも展示車両の多くを運転席や車内への体験乗車を可能にしていたが、どれも順番待ちの来場者の列が長く伸びていた。

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