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最終更新日:2019.09.06 公開日:2019.09.06

パナソニック製カーナビ新型ストラーダは10インチ大画面

大型画面で人気のパナソニック製SDカーナビ「ストラーダ」シリーズ。同社は9月4日、2019年の年末商戦用ニューモデルを発表した。目玉は、9インチと同じ筐体サイズのまま10インチの大画面を実現した「F1X PREMIUM10」だ。

10インチとなったパナソニック製カーナビの2019年モデル「ストラーダ」。10インチ液晶ディスプレイを搭載しながら、ディスプレイユニット自体は9インチモデルと同じ外寸というコンパクトさが特徴。

 パナソニックのカーナビ「ストラーダ」の2019年モデルの注目株は、10インチHD液晶タッチパネルディスプレイを採用した「F1X PREMIUM10」だ。ブルーレイ/DVDが再生可能な「CN-F1X10BD」とDVDのみの「CN-F1X10D」の2機種となる。10インチがどれほど表示面積があるかというと、一般的なダッシュボードへのビルトインタイプが7インチであり、それと比べると2倍強。それだけ見やすいのである。

パナソニック製の7インチカーナビと、「F1X PREMIUM10」との画面サイズの比較。7インチに対し、10インチの画面サイズは2倍以上。新製品発表会プレゼン画面より。

9インチ製品と同外寸ながら10インチ化に成功。そのカギはマグネシウム合金

 液晶ディスプレイを大型化すれば見やすいのは事実だが、それだとディスプレイユニットの外寸自体も大きくなり、インパネのスイッチ類やギアセレクター(シフトノブ)の操作を邪魔してしまう恐れが出てくる。「F1X PREMIUM10」は、ディスプレイユニット自体の外寸を、9インチモデルと同じ外寸(幅240×高さ141×奥行き19mm)に収めることに成功している。それを実現したのが、液晶を囲む外装フレームの狭額縁化だ。

左が「F1X PREMIUM10」で、右が9インチモデル。外寸は同じだが、外装フレームを狭額縁タイプにすることで、10インチ液晶ディスプレイを収めたことがわかりやすい。新製品発表会プレゼン画面より。

 狭額縁化には、技術的な壁もあったという。中でも一番大きな壁は、大画面化に伴うディスプレイユニットの重さが増えることが挙げられるだろう。フローティング画面のため、ディスプレイユニットを支えるアーム部分への負荷が高い。しかも車内は常に走行による振動にさらされるだけでなく、「ストラーダ」は大画面の首振りを売りにしているため可動部も多い。さらにタッチパネルだけでなく、上部に設けられたボタン類の操作に伴う負荷もある。そのため、大画面化に伴う軽量化と耐久性が課題だった。

 従来の樹脂製フレームのままだと細くすると、1インチアップした液晶ディスプレイの重量を支え、ボタン操作に伴う負荷に耐えるには強度が足りなくなってしまう。そこで、へこみにくさや耐振性、軽さと強度を備えた素材として、狭額縁フレームに採用されたのがマグネシウム合金である。マグネシウムは鉄の約21%の重さしかなく、アルミと比較しても約63%しかない。実用金属中で最も軽量なのがマグネシウムであり、それを主成分とした合金を用いることで強度を確保しつつ軽量化も実現できることから、狭額縁フレームの素材として採用されたのである。ディスプレイユニット部の重量は約2.6kg。9インチモデルの新製品「CN-F1D9D」が約2.3kgであり、その差は約300gしかないのだ。また、ボタン操作に伴う負荷も「十二分なテストをした」という。

 そして外装フレームを金属化したことは、高級感を持たせることにも役立った。金属ならではの電着塗装およびヘアライン処理が施されており、「F1X PREMIUM10」は最上位グレードらしい質感と外観をまとえたのである。

「HDブリリアントブラックビジョン」を採用した液晶ディスプレイ、表示解像度は従来の2.4倍に

HD解像度の10インチ液晶を備える「F1X PREMIUM10」。

 タッチパネル型液晶ディスプレイに採用されているのが、「HDプリリアントブラックビジョン」だ。2018年モデルのWVGA解像度から2.4倍のHD解像度となり、縦720×横1280×3=276万4800画素となった。また液晶は上下左右共に広視野角かつ高輝度を特徴としたIPSタイプが採用されている。

 さらに、外光の反射や液晶光の内部反射などによる映り込みを抑制するため、複数の工夫がなされた。まず、外光が強いとパネルと液晶の間の空気層で起きる乱反射が発生してパネル表面が全体的に白っぽく見えてしまう問題。それを防ぐため、ディスプレイ表面には低反射(AGAR)フィルムが貼られた。

 さらに、パネルと液晶の間をボンディング材で充填したエアレス構造とし、空気層での乱反射をなくしたのである。さらに、LEDの輝度も2018年モデルより100cd(カンデラ)アップして700cdとし、太陽光の差し込む車内でも見やすさがアップした。

助手席側に向けられた「F1X PREMIUM10」を、運転席側から見たところ。左右方向水平視野角、上下方向垂直視野角は共に170度あり、このように斜めからでも普通に見える。またユーザーインターフェースは従来はタッチパネルだけだったが、上部に操作ボタンがアイソレーション(独立)して設けられた。ボタンの手触りをひとつひとつ変えることで、ブラインドタッチにも配慮している。

HD画質をそのまま処理して表示する新システムを搭載し、サウンドもカスタムパワーアンプで強化

 また従来モデルでは、映像ソースがブルーレイや地デジなどのHD画質であっても、再生前に本体内で一度VGA画質に変換し、それをHD画質に引き延ばすという、本来のHD画質の美しさを活かしきれていない短所を抱えていた。それを、「F1X PREMIUM10」のブルーレイ/DVD再生可能モデル「CN-F1X10BD」は、HD画質のまま処理を行い、表示もそのままという新システムを搭載。HD画質がHD画質として表示されるようになったのである。

 サウンドにもこだわり、専用のカスタムパワーアンプを搭載。歪率従来比で約2.5倍、チャンネルセパレーションは約2倍に改善。低音域に締まりが出てクリアな音質で再生できるようにした上に、音の広がりや音像定位を向上させ、より臨場感のある音声でブルーレイ映像を楽しめるようになった。さらにFLACやWAVファイルにも対応し、ハイレゾ音源(192kHz/24bit)をそのまま圧縮することなく高音質で再生可能に。それに加えてCDなどの音源を高音質化して再生でき、サウンドのプロのチューニングを楽しめる「匠(TAKUMI)スタジオマスターサウンド」機能も搭載されている。

高速道路の逆走まで教えてくれる、充実した安全・安心サポート機能

従来製品に対し、逆走検知対象道路種別・道路が拡大した。

 高速道路や有料道路のSA/PAから出発する際に、音声と画面表示で注意喚起し、誤って逆走してしまうとそれを感知して即座に音声と画面表示で警告。新たな都市高速にも対応すると同時に、SA/PA入口部など、逆走の起こりやすい箇所に対応し、逆走検知できる地点が以下のように増やされている。※が今回の追加要素だ。

IC・JCT合流部:都市間高速、都市高速※
ランプ合流部:都市間高速※、都市高速※
平面Y交差部※:都市間高速※、都市高速※
高速道路出口部※:都市間高速以外かつ都市高速以外※
SA・PA本線合流部:都市間高速、都市高速※
SA・PA入口部※:都市間高速※、都市高速※、有料道路※
料金所手前:制限なし
連結路部:都市間高速※、都市高速※、有料道路※
本線部:都市間高速のみ

 また、旅先など不慣れな土地で見落としがちな、道路標識情報などを事前に音声と画面表示で知らせてくれるほか、生活道路区域であるゾーン30は色分け表示を行い、エリア内で速度超過すると警告してくれる機能も備えた。

地図情報はゼンリンのデータを採用。現在、日本では2020年に向けて道路名や交差点、交通標識などのローマ字表記併記、高速道路などのナンバリングなどが進む。そうした最新情報も反映されているほか、3DCGによる交差点ごとの景観もさらにリアルになっている。道路によっては、カラーレーン・ドットレーンなども描写される。

 さらには、高度化光ビーコンの情報を活用した「信号情報活用運転支援システム」にも対応。青信号での通過を知らせる「信号通過支援」、早めの減速を促す「赤信号減速支援」、赤から青への残り時間を知らせる「発進遅れ防止支援」など、スムーズな走行を支援する仕組みも備えている。

対応車種数は国内10インチ・カーナビ市場最多の約400車種

登録車、軽自動車合わせてここ数年販売台数1位をキープしているホンダ「N-BOX」に装備した「F1X PREMIUM10」のブルーレイ/DVD再生可能モデル「CN-F1X10BD」。左右15度ずつ傾けられるので、運転席側だけでなく、助手席側にも画面を向けられる。「ストラーダ」シリーズ従来製品の装着率1位はトヨタ「ハイエース」で、僅差で「N-BOX」が2位。どちらのクルマも、純正で9インチ以上の大型ディスプレイタイプが用意されていないことなどから、装着率が高いという。

 こうした数々の魅力を有した「F1X PREMIUM10」は約400車種に対応。主な20車種を挙げると、アルファード、ヴォクシー、エスティマ、C-HR、シエンタ、ノア、ハイエース、プリウス、ランドクルーザー(以上、トヨタ)、エクストレイル、セレナ(以上、日産)、ヴェゼル、N-BOX、ステップ ワゴン、フィット、フリード(以上、ホンダ)、エブリイ、スイフト、スペーシア(以上、スズキ)、デリカ D:5(三菱)。

 またディスプレイユニット部は「DYNABIGスイングディスプレイ」と呼ばれ、その名の通りに、左右30度(-15度~15度)幅のスイング機構を搭載している点も特徴。さらに、上下スライド、80度(-20度~60度)幅の前後角度調整、そして取り付け時のみだが奥行きの調整も可能。ドライバーの体格や好みのシートポジションに合わせて見やすい角度に調節することもできるのだ。

新製品発表会会場に展示されていた運転席のモデルに装着されていた「F1X PREMIUM10」。上の「N-BOX」では助手席側に向けられていたが、こちらは運転席側に向けられており、左右の可動範囲が大きいことがわかる。


 「F1X PREMIUM10」は2種類とも11月中旬の発売予定で、価格はオープン。実売価格は19万円前後になるという。全地図更新データは、2022年12月10日までの予定で、3年の間に1回を予定。部分地図更新データは、年6回×3年間(2022年12月10日までの予定)までとなっている。

 また「F1X PREMIUM10」の消費電力量は、オーディオをOFFにした状態で3.0A以下。2019年新製品の9インチモデル(CN-F1D9D)が2.5Aなので、大差はない。燃費などへの影響は少ないということだった。

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