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最終更新日:2019.03.18 公開日:2019.03.18

直線の「エスプリターボ」か!? 曲面の「オロチカブト」か!?【第8回クラシックカー・スポーツカー in 科学館】スーパーカー編

千葉県立現代産業科学館(市川市)にて3月10日に開催された、「第8回クラシックカー・スポーツカー in 科学館」。1950~80年代のヒストリックカーや旧車、80年代後半~00年代のスーパーカーなど、50台ほどが集結した。まずはスーパーカー編をお届けする。

「第8回 クラシックカー・スポーツカー in 科学館」のスーパーカー・スポーツカーのエリアの様子。

 「クラシックカー・スポーツカー in 科学館」は、年1回のペースで、千葉県立現代産業科学館のサイエンス広場で開催されており、今年で8回目となる。おおよそ1960年代から2000年代ぐらいまでの、ヒストリックカー、旧車、スーパーカーなどが集まるイベントだ。

 同科学館がこうしたイベントを実施しているのは、「現代産業」と名称にあるように、クルマの展示にも力を入れているからだ。同館で所蔵しているのが、世界初の大量生産車として知られるフォード「T型」(通称「T型フォード」)の1919年式。しかも動態保存しており、年に6回ほど乗車体験会も実施されている(今回はエンジン始動のみ行った)。また、スバル「360デラックス」も所蔵しており、今回はサイエンス広場のエントランスに「T型フォード」と共に展示された。

 レポート記事の第1弾は、80年代末から00年代までのスーパーカーをピックアップ。年式の新しい順に紹介していく。

有機的な曲線美が目を引くミツオカ製スーパーカーのエアロパーツ装着限定モデル「オロチ カブト」2009年式

「オロチ カブト」。全長4560×全幅2035×全高1180mm、ホイールベース2600mm、トレッド前1725/後1715mm。車重1580kg。V型6気筒DOHC「3MZ-FE」、排気量3311cc、MR駆動。最高出力233ps(172kW)/5600rpm、最大トルク33.4kg-m(328N・m)/4400rpm。最高速度未公表。サスペンション前後共にダブルウィッシュボーン。ブレーキ前後共にベンチレーテッド・ディスク。※スペックはすべて「オロチ」のもの。

 和風のネーミングとクラシカルで個性的なスタイリングのクルマで知られるミツオカ。同車が「東京モーターショー」に初出展したのは2001年開催の第35回のことで、その時に出展したコンセプトカーが「オロチ(大蛇)」だった。大反響から市販化を決定し、設計開発に5年以上の歳月をかけ、2007年4月に市販モデルを販売開始。同社としては1996年デビューの「Zero1」以来となる市販モデルだった。上写真の「オロチ カブト(大蛇 兜)」は、「オロチ」に兜をイメージしたカーボンエアロパーツを装着した、5台のみが生産された特別限定モデルだ。

「オロチ カブト」のリアビュー。全幅は2mを超えており、ロー&ワイドかつグラマラスなのも特徴。「オロチ」は惜しまれつつも2014年に生産終了した。

サイドスリットは兄貴分の「テスタロッサ」を強く意識したもの! フェラーリ「348GTB」1996年式

「348GTB」。全長4230×全幅1894×全高1170mm、ホイールベース2450mm、トレッド前1502/後1578mm。車重1395kg。エンジン種類・V型8気筒DOHC、排気量3405cc、MR駆動。最高出力320ps/7200rpm、最大トルク33.0kg-m/4200rpm。最高速度・時速275km。サスペンション前後共にダブルウィッシュボーン。ブレーキ前後共にベンチレーテッド・ディスク。ホイールはオリジナルではなく、BBS製に交換してあるようだ。

 フェラーリのスーパーカーは、V12エンジンを搭載するフラッグシップモデルに対し、V8エンジンを搭載するモデルは”リトル・フェラーリ”とも呼ばれる。上写真のクローズドボディ(ベルリネッタ)の「348GTB」と、そのオープンモデル(スパイダー)である「348GTS」もその1車種だ。「348GTB/GTS」はまず「348tb/ts」として、1989年のフランクフルト・モーターショーでデビューした。大きな特徴は、ホイールベースが長くなることを避けるため、ミッドシップにマウントされたエンジンの後方に横置きのトランスミッションを搭載したこと。車名に英語で横置きを意味する”transverse(トランスバース)”の「t」が加えられたことからも、大きな特徴であったことがわかる。また量産モデルのフェラーリとして、初めてモノコック構造を採用したことも大きな特徴だった。

 1993年になってソフトトップのオープンモデルが加わり、それと同時にエンジンの出力を20馬力アップ。それまではボディ下部(フロントスポイラーやドアのインテークの最下段など)が黒塗りだったが、ボディと同色となり、車名も「348GTB/GTS」と改められた。本国イタリアでは1994年に後継モデルといえる「F355」にバトンタッチしたが、上写真の「348GTB」は、輸入の関係などで国内での登録に時間差があったようで1996年式となっている。

フェラーリのデザインで知られる高名カロッツェリアのピニンファリーナが、「348」のエクステリア・デザインも担当。フラッグシップモデルの「テスタロッサ」も先に手がけており、ドア側面に設けられたサイドスリットはその「テスタロッサ」を強く意識したものだ。「テスタロッサ」については、別記事『サイドスリットに萌え……日本に最も輸入されたフェラーリのフラッグシップモデル「テスタロッサ」に迫ってみた!!』に掲載。

フェラーリにも影響を与えたというホンダ初のスーパーカー! 初代「NSX」1994年式

初代NA1型「NSX」1994年式。全長4430×全幅1810×全高1170mm、ホイールベース2530mm、トレッド前1510/後1530mm。車重1350kg。V型6気筒DOHC「C30A」、排気量2977cc、MR駆動。最高出力265~280ps/6800~7300rpm、最大トルク30.5kg-m/5400rpm。最高速度未公表。サスペンション前後共にダブルウィッシュボーン。ブレーキ前後共にベンチレーテッド・ディスク。

 日本車にとって1989年はビンテージイヤーといわれ、デザイン、性能など総合的に世界のクルマと対等に評価されるレベルに到達した年とされている。ホンダが初めて開発したスーパーカーの初代「NSX」もそんなビンテージイヤーの2月にプロトタイプが発表され、翌1990年9月から販売開始となった車種だ。「NSX」の特徴のひとつとして挙げられるのが、スーパーカーでありながら「乗りやすい」こと。それはフェラーリなどにも多大な影響を与えたという。それまでにない「スーパーカーなのに乗りやすい」として、当たり前を打破したのが初代「NSX」だったのである。

 そんな初代「NSX」については、別記事『 【NSXの系譜】今なお色褪せない初代NA1型はホンダ初の本格スーパーカー!』に詳細をまとめた。また、初代のうちの改良型であるNA2型「NSX-R」についても、別記事『【NSXの系譜】初代の中で最高の走り、NA2型「NSX-R」』に詳しい。

レースに出られる最強モデルに与えられる名が復活! ポルシェ「911カレラ」1989年式

ポルシェ「911カレラ」1989年式。全長4300×全幅1650×全高1350mm、ホイールベース2272mm、トレッド前1375/後1395mm。車重1290kg。水平対向6気筒SOHC、排気量3164cc、RR駆動。最高出力225ps/5900rpm、最大トルク27.3kg-m/4800rpm。最高速度・時速240km。サスペンション前マクファーソン・ストラット/後セミ・トレーリグアーム。ブレーキ前後共にベンチレーテッド・ディスク。

 上写真のポルシェ「911カレラ」は、2代目930型「911」の中でも特に高性能なモデルである。「カレラ(carrera)」はスペイン語でレースという意味だ。ポルシェでは、「911」の先代の「356」の時代から、レースへの出場も可能な最強モデルに対して「カレラ」の名を与える伝統があるのだが、その始まりは1954年まで遡る。その年のメキシコのロードレース「カレラ・パナメリカーナ」で、ハンス・ヘルマンが「550スパイダー」を駆ってクラス優勝を遂げて以降、その伝統が始まったのだ。

 そして1964年に「911」が誕生し(当初の車名は「901」)、そして1974年に2代目930型となると、そのカレラの名が「911」にも与えられた。「911カレラ」の1974~1975年式は排気量が2.7Lで、1975~1977年式は3Lに。その後一度「911カレラ」の名は姿を消すが、1984年になって復活。上写真の「911カレラ」は、排気量が3.2Lとなった復活後の1989年式である。「911」は1989年に3代目964型にフルモデルチェンジ。「カレラ」の名も引き継がれるが、4WD化したことで「カレラ4」となり、後に追加された従来と同じRR駆動モデルには「カレラ2」の名が与えられた。その後も「カレラ」の名は踏襲され、現行車種の中にもその名を冠したモデルがラインナップされている。

もはやウイングと表現してもいいほど大型の「911カレラ」のリアスポイラー。こうしたエクステリア・デザインは、当時、市販車で世界最速といわれたターボモデル、通称「930ターボ」と同じもの。そのため、「911カレラ」は自然吸気エンジンだったが、そのエクステリアは「ターボルック」と呼ばれた。

ジウジアーロデザインの「シリーズ1」から角の取れた「シリーズ4」へ。ロータス「エスプリターボ」1988年式

「エスプリ」1988年式。全長4331×全幅1859×全高1138mm、ホイールベース2458mm、トレッド前1524/後1554mm。車重1268kg。直列4気筒DOHCターボ、排気量2174cc、MR駆動。最高出力218ps/6000rpm、最大トルク30.4kg-m/4250rpm。最高速度・時速245km。サスペンション前ダブルウィッシュボーン/後セミ・トレーリングアーム。ブレーキ前ベンチレーテッド・ディスク/後ディスク。

 「エスプリターボ」は、1975年にパリ・サロンでデビューさせた「エスプリ」のターボモデルだ。「エスプリ」はロータスにとって大きな転機となったクルマだ。それまで突き進んできたライトウェイトスポーツ路線をやめ、スーパーカー路線に大きく舵を切ったのが同車からだったのである。インパクトのあるエクステリアを求め、イタリア人インダストリアル・デザイナーの巨匠ジョルジェット・ジウジアーロをデザイナーとして起用。ウェッジシェイプの際立つ、角の立ったスーパーカーとして完成した。「エスプリ」はロータスの中でも1、2を争う知名度を誇るが、それは映画「007 私を愛したスパイ」(1977年公開)で”ボンドカー”として採用されたことが大きい。劇中で水中に飛び込んだ「エスプリ」が潜水艦に変形してそのまま水中航行するというインパクトのあるシーンは今でも語りぐさとなっている。

 「エスプリ」の初期モデルは「シリーズ1」と呼ばれる。1978年にはフロントスポイラーの大型化やホイールのワイド化などが行われて「シリーズ2」に。排気量をアップした「シリーズ2.2」が1980年に登場し、この時にターボモデル「エスプリターボ」が加わった。その後、1981年の「シリーズ3」を経て、1987年登場の「シリーズ4」でエクステリアの大きな変更が行われた。ジウジアーロのデザインをロータスの社内デザインチームが大きくモデファイ。角の取れた、より現代的なデザインとなった。上写真の「エスプリターボ」もこのシリーズ4のうちの1台である。「エスプリ」は改良を経ながら2004年まで生産された。

「エスプリターボ」のリアビュー。シリーズ3からシリーズ4に大きくエクステリアデザインが変更された際、空気抵抗係数(Cd値)が0.41からターボモデルは0.35、NAモデルは0.36と大きく改善された。

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