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最終更新日:2023.02.01 公開日:2023.02.01

デビューから41年目に突入した「シーナ&ロケッツ」が熱い!

1978年にデビューし、翌年には「ユー・メイ・ドリーム」が大ヒット。その後、日本のロックシーンを切り開いたロックバンド「シーナ&ロケッツ」。まだ、女性のロックボーカリストが少なかった時代に登場したシーナ。彼女の急逝を乗り越えて今に至るまでの経緯と「シーナ&ロケッツ」の今をレポートする。


──本記事は2018年12月21日に掲載されたものです。人気ロックバンド「シーナ&ロケッツ」のギタリストとして知られる鮎川誠さんが2023年1月29日、膵臓がんのためご逝去されました。74歳でした。謹んでご冥福をお祈りいたします。(くるくら編集部)

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 1978年に鮮烈なデビューを飾り、翌年にはYMOメンバーとのコラボを経てシングル「ユー・メイ・ドリーム」が大ヒット。その後、日本のロックシーンの先端を走り続けているロックバンド「シーナ&ロケッツ」。2018年11月に、デビューから41年目を迎えた彼らが今、絶好調だ。

鮎川誠の監修・選曲による41曲がリマスターされ、ソニーから発売された最新ベスト盤「ゴールデン☆ベスト EARLY ROKKETS 40+1」

 バンドの中心となっているのはギタリストでありボーカルもつとめる鮎川誠。彼の妻でありバンドのリードボーカルだったシーナは、2015年2月14日に61歳の若さで急逝。しかし、その後もバンドの勢いは衰えることなく、今年は多くのリリースやドラマ化などで人気が再燃。ムーブメントは、加速度を増している。彼らのパワーと人気の源はどこにあるのだろうか。

リードボーカル、シーナの急逝から今に至るまで

 ニュースや新聞でシーナの急逝が報じられたのは、2015年のバレンタインデーのこと。彼女の死はあまりにも突然だった。2014年7月にシーナが体調を崩した際、子宮頸がんのステージⅣが発覚したという。しかし、本人の強い希望により、ファンや関係者にさえも彼女が亡くなるまで、家族以外に病状が明かされることはなかった。また彼女は亡くなる1か月前までライブ活動を行い、文字通りロックな人生を貫き通した。

 シーナは、まだ女性ロック・ヴォーカリストが少なかった1970年代にメジャーシーンに登場。以後ずっと第一線で活躍し続けた。その横で常に一緒だったのは、プライベートでもパートナーであったギタリスト鮎川誠だ。「バンドの延長に家族が結び付いている」という彼にとって、シーナの急逝がどれだけ衝撃的なことだったかは想像に難くない。

 その後、夫でありバンドを率いる鮎川は、シーナの遺志を継いで「シーナ&ロケッツ」を続行。鮎川が全曲のボーカルを取り、オリジナルメンバーの奈良敏博、川嶋一秀とともに3ピースで活動を再開する。また、鮎川とシーナの末娘であるLUCYが、2015年4月7日(シーナの日)からゲストボーカルとして参加。特別なイベントのみLUCYが加わった4人編成でライブを行い、今に至っている。

リリースが続々と! さらに40年目の節目に2人の半生がドラマ化。

こちらはソニー盤のベストアルバムから1か月後に発売となった「ゴールデン☆ベスト VICTOR ROKKETS 40+1」

 シーナ&ロケッツにとって、2018年は記念すべき年になった。デビュー40周年を記念して2月にソニーから、3月にビクターから鮎川誠の監修・選曲による41曲がリマスターされた最新ベスト盤が連続リリース。さらにシーナ&ロケッツ結成までの鮎川とシーナの物語が、彼らの故郷であるNHK福岡放送局にてドラマ化された。このドラマは、3月に九州・沖縄地方のみで放送されたが、同年秋には全国でオンエア。このドラマで初めて彼らを知ったという若いファンも増加。2人のロックスピリッツが共感を呼び、大きな話題となった。

 また、これらのリリースやドラマ化の影響もあってか、独自のスタイルとポリシーを持つ鮎川誠も、単独で多くの雑誌に掲載されるなど、今年は多忙な1年だったという。

 昔からシーナ&ロケッツの大ファンだという知人によると「ここ1~2年は人気が再燃し、ライブ会場も明らかに盛り上がっている」との話を聞いた。筆者もシーナがボーカルをとっていたシーナ&ロケッツを何度かライブで見ている。しかし、LUCYがボーカルとなってからの彼らはまだ目にしたことがなかった。ロックを武器に走り続ける彼らの今を、ぜひ生で感じたい。そう思った筆者は、さっそくライブ会場に足を運んでみた。

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新ボーカルのLUCYも登場。シナロケライブはやっぱり熱かった!

結成から41年目に突入。今も変わらない彼らのロックに熱くなれ!

2018年11月23日(金・祝)
デビュー記念日ライブ@下北沢CLUB QUE


 11月23日はシーナ&ロケッツのデビューした日。毎年この日は彼らがデビューした下北沢でライブが行われている。入りきれないほどのファンが詰め寄せる中、ステージに鮎川、奈良、川島のオリジナルメンバーが登場。数曲が鮎川のボーカルで歌われた後、満を持してLUCYが現れると、会場は大歓声に包まれた。

 LUCYはシーナの血を継ぐ鮎川の娘。元々自身も音楽活動をしていることもあり、バンドとの相性は文句なし。ちょっとした仕草や笑顔の一片に母であるシーナを感じさせられる瞬間もあった。

シーナ&ロケッツのデビューした11月23日に毎年開催されるアニバーサリーライブの様子。撮影:大森直

ライブのクライマックスでは、ヒット曲を惜しげもなく披露。会場は彼らにしか出せないロックサウンドに包まれた。撮影:佐々木陽子

 鮎川のギターがうなり、LUCYがシャウト。たたみかけるようにヒットナンバーが続くクライマックスでは、かつてと変わらないロックなステージパフォーマンスが炸裂した。ステージ終盤、メンバー紹介の最後に鮎川が天を指差し「いつも一緒!シーナ」と叫んだ瞬間に、目頭を熱くしたファンも多かったことだろう。

2018年の締めくくりは、名曲「レモンティー」のリリースパーティ!

2018年12月14日(金)
「レモンティー」シングル盤リリースパーティー@渋谷B.Y.G


 41回目のデビュー記念日ライブに続く彼らのワンマンライブは、代表曲「レモンティー」アナログ盤シングルのリリースパーティー。渋谷・道玄坂にある老舗ロック喫茶「B.Y.G」で12月14日に開催された。

「B.Y.G」は1969年にオープンしたロック喫茶。日本のロック黎明期から現在に至るまで、さまざまなアーティストがライブを行ってきた音楽の聖地だ。手書きのPOPは、ライブ開催のたびに店員さんが心を込めて描いている。撮影:大坂晃典

 会場となった「B.Y.G」は地下にライブスペースがあるのだが、決して広くはない。その分ステージの最前列との距離は1mもなく、文字通り目の前で生のサウンドを堪能できるのが魅力だ。このミニマムなステージにシーナ&ロケッツが初めて立つということで、チケットはあっという間にソールドアウトとなった。

 前回のライブ同様、最初の数曲は鮎川のボーカルで展開。4曲目の「スイート・インスピレーション」からLUCYが登場した。今回は季節柄、サンタのコスチュームでステージに飛び出した彼女。ここからはLUCYのボーカルを中心としたステージが展開し、会場のボルテージもどんどん上がっていく。

12月ということでサンタのコスチュームで登場し、鮎川とともに会場を盛り上げたLUCY。撮影:佐々木陽子

 この会場はステージと前列の客席との間に高低がなく、ミニマムなステージならではのリアリティが感じられた。ギター、ベースを弾いた瞬間、そしてドラムを叩いた瞬間の生音がダイレクトに耳に飛び込んでくる。そして、もちろんLUCYと鮎川のボーカルもいつも以上にリアルに伝わってきた。

 中盤、鮎川のMCでは「シーナとこの辺を昔よく歩いていて、いつかここでライブしたいねと言ってました。今日、やっとその思いが叶いました」とのエピソードも飛び出し、集まったファンを喜ばせた。

ライブスペースでは生演奏ならではのサウンドが目の前で炸裂。まるでスタジオレコーディング風景を見ているかのような感覚に陥った。撮影:大坂晃典

 やさしくメロウなギターが印象的だった「レイジー・クレイジー・ブルース」に続いて、クライマックスはもちろん「レモンティー」。彼らの代表曲でありながら39年の時を経て初のシングル化となった名曲だ。シーナの魂を受け継いだLUCYと鮎川のコンビネーションは文句なし。シーナ亡き今も40年以上変わらない、彼らのスピリッツがあふれ出るかのようなパフォーマンスに会場は熱く沸きあがった。

この日はアナログ盤シングル「レモンティー」(写真)のリリースパーティだった。なお、こちらは完全生産限定盤ということで、現在すでに入手困難となっている。

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シーナさんとのエピソードも満載。JAF会員のみなさんへのメッセージも!
親子でもあるLUCYと鮎川誠の2人にインタビュー

バンドを始めてから今も、やりたいことはずっと同じ。
僕は音楽をやれているのが最高に幸せ。

鮎川誠&LUCY MIRRORインタビュー

 ここからはシーナ&ロケッツのリーダーである鮎川誠さん、そして鮎川の末娘であり、母のスピリッツを継いでボーカルをつとめるLUCY MIRRORさんへのインタビューの様子をお送りする。運転が大好きだったというシーナさんとJAFとのエピソードも登場。鮎川さんからJAF会員のみなさんへのメッセージもいただきました!

丁寧に言葉を選び、熱くやさしく語ってくれたLUCY MIRRORさんと鮎川誠さん。撮影:大坂晃典

■今年は多くのリリースやドラマ化などがあり、かなり多忙だったのではないかと思いますが、今年を振り返っていかがでしたか。

鮎川:今年は40周年っちゅーことで、年明け早々ソニーさんとビクターさんから、お祝いのベスト盤を出していただきました。そこから勢いがついて、たくさんうれしいことが続く1年でしたね。シーナのドラマも地元の福岡で作ってもらえて。これがまた本当にあたたかい愛にあふれたすばらしいドラマで。たくさんのファンのみなさんにも見てもらうことができました。

 忙しかったけど、僕は音楽をやれているのが最高に幸せで、時間的にはハードでもステージをやれることが僕の生きがい。バンドを始めてから今も、やりたいことはずっと同じ。ローリング・ストーンズやビートルズや、ボブ・ディランらが教えてくれたロックンロールを今もすごく楽しくやってるんです。

■今日は「レモンティー」のアナログ版リリースイベントでしたが、アナログ盤の音を聴いてどう感じましたか。

鮎川:まず、このリリースが奇跡的なことだと感じてるんです。僕たちが39年前にレコード会社と契約をして、何日か後に挨拶代わりのレコーディングをしたんです。「俺たちのいちばん得意なやつを一発ぶちかましとこうぜ!」ちゅーことで、スタジオ入って「せーの」でやった中の1曲がこれなんですね。それが40年経って、しかも今となっては貴重なアナログ盤で発表できるっちゅーだけでも、ワクワクゾクゾクします。

 今回できたレコードの音を聴いてみたら、生に近い音をすごく感じた。いいプロダクションとすばらしいスタッフのおかげ。録音した時と変わらない生きた音で、僕たちのいちばんやりたいことが表現できていて、とても満足しています。

LUCYが歌うっちゅうことは、シーナが歌うっちゅうこと。
僕にとっては同じ最高のロックです。

■LUCYさんとのライブはいかがですか。始めようとしたきっかけや裏話を教えてください。

LUCY:始めたきっかけは、シーナが亡くなった年から4月7日にやっている「シーナの日」っていうイベントです。お父さんに「歌わないか?」って言われたのが最初です。私もバンドやってて、それまでも何度もゲストで呼んでもらったりしていたので自然に演れました。

鮎川:シーナ&ロケッツとして、40年以上活動を続けていますが、ずっとその真ん中には家族との生活があるんです。LUCYは僕たちのレコーディングもずっと見守ってくれているから、もう何でも歌える。「こう歌ってほしい」とか何もない。シーナのスピリッツを共有している感じがとても頼もしくて。LUCYが感じたように歌ってもらえたら、それだけで最高です。LUCY、どげんね?

LUCY:はい、いつもライブはめちゃくちゃ楽しいです!

鮎川:LUCYは自分の中でシーナのハッキリとしたイメージを持っているから、LUCYが歌うっちゅうことはシーナが歌うっちゅうこと。僕にとっては同じ最高のロックです。

LUCY:お父さんたちが「残された3人でこれからもやっていく!」ってなった時に、女性じゃないと歌えない曲っていうのがどうしてもあって。そういう曲もお客さんに聴き続けてもらいたくて。私はそういうつもりで歌ってます!

シーナ&ロケッツのメンバー。左から奈良敏博(ベース)、LUCY MIRROR(ボーカル)、鮎川誠(ギター・ボーカル)、川嶋一秀(ドラム)。撮影:大坂晃典

シーナがアメ車をぶっ飛ばしてたおかげで、
JAFさんには何度もお世話になってます(笑)

■運転またはドライブにまつわるエピソードはありますか。

鮎川:ツアー中、岡山から大阪へ向かう途中、エンストしてしまいJAFさんを呼んだことがあります。すぐ来てくれて手際よく対応してもらったおかげで、ライブ開始の5分前くらい、本当にギリギリになんとか会場に到着したということがあります。あの時は本当に助かりました!

 シーナがアメ車好きでぶっ飛ばすドライバーだったので、JAFさんには何度もお世話になってます(笑)。路上でクルマが故障するとJAFのありがたさが本当によくわかる。いつでもすばやく来てくれるし、どこが悪いかわかってるし。隊員さんってみんなかっこいいよね!

 僕は中学の時から雑誌を買って眺めてたくらい、クルマはものすごい好きなんですけど、これまでずっとシーナが運転。僕は横でナビゲートするっていう役でした。クルマっちゅうやつはとても魅力的だし、ずっとあこがれてたけど免許は持ってないんです。ちなみにLUCYも免許は持ってないです(笑)

■最後にJAF会員のみなさんへメッセージをお願いします!

鮎川:くれぐれもやさしい安全運転を! 僕がミシシッピーをシーナと旅した時に、ハイウェイでアメ車がすごい轟音でぶっ飛ばしてたんです。でも、そんなクルマも街の中に入ると、道路で立ち話が聞こえるくらいのゆっくりしたスピードで走ってたんですね。その光景を見た時に、とてもやさしい気持ちになったんです。みなさんもぜひ、クルマと歩行者が共存ができるような思いやりのある運転をしてほしいと思います。

 そして最後に。シーナ&ロケッツはみんなに感じてもらえる音を出しとるし、ベーシックなロックバンドだと思うので、ぜひチャンスがあったらライブに来てください。「ロックは生だぜ!」って僕はいつも言ってます!


 穏やかな口調で言葉を選びながらインタビューに答えてくれた鮎川さんとLUCYさん。家族の絆に支えられた彼らのこれからの活動にも大いに期待したいところだ。

2018年12月21日(JAFメディアワークス IT Media部 大坂 晃典)

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