理系女子をサポートする「ガールズ・デー」って知ってますか? 独フォルクスワーゲンでは1200人の女子生徒を受け入れてます
ガールズ・デーにフォルクスワーゲン社で実習を行う女子生徒。Volkswagen AG
4月26日、ドイツで年に1度の「ガールズ・デー(Girls’ Day)」が開催された。ガールズ・デーとは、5年生(11歳)以上の女子生徒が、IT、職人、理系、技術系など女性の割合が40%以下の職業を実習体験できる日である。
女性が苦手とする仕事を経験し偏見をなくす
なぜこのような機会が設けられているかというと、ドイツでも理系大学や技術系職業の道を選ぶ女子生徒の数は非常に少ない。”女性が苦手とする仕事”を体験することで偏見をなくし、職業選択の可能性を広げるための職業サポートプログラムがガールズ・デーなのである。
ガールズ・デーへの参加は自由で、希望者は両親や主催団体のサポートのもと、希望の職業をネットで検索し、適合すれば最寄りの場所に行って職業体験を行うことができる。当日、学校は休みではないが、参加する女子生徒は通っている学校から許可を受けた上、実習を受けられるという、文部省奨励の全国的な催しとなっている。
自動車の検査を行う14歳の実習生カロリーネとヤニーネ。Volkswagen AG
フォルクスワーゲンやアウディがリケジョをサポート
ドイツでは、330を超える企業や大学が女子生徒の受け入れを行っており、ドイツ最大の自動車メーカーであるフォルクスワーゲン社では、9つの支社と本社において総勢1200人の女子生徒が参加。自動車の組み立て、工業技術、IT、運送、塗装、工場内の消防署、溶接、自動車販売などの部署で実習を行った。
フォルクスワーゲン社の担当者は、「技術職の楽しさや作業の多様さ、そして将来を保証されていることを知ってもらいたい」とコメント。女子生徒は会社や自動車の仕組み、技術についての説明を受け、実習を行う他に、実際に就業している女性社員と対話することで、職業への理解を深める機会となった。
97%の女子生徒が参加して良かったと返答し、実習を行った企業の33%が、元実習生から卒業後に研修の申し込みを受け、その内の2/3は就職にいたるという成果が出ており、企業側にとっても女性社員の雇用につながる重要な機会となっている。
フォルクスワーゲンだけでなく、アウディ社もインゴルシュタット市の本社にて、約250人に実習を行った。
メルケル首相も奨励
ガールズ・デーはドイツでは2001年に発足し、2018年には約10万人の女子生徒が参加。アンゲラ・メルケル首相も物理学を専攻し、男性社会の中でキャリアを築いていかなければならなかった。そういった経験から、「みんな、勇気を持って理系の道を進んで欲しい」と理系女子を応援するサポーターの内のひとりだ。
ガールズ・デーは英語圏では「Girls in ICT Day」と呼ばれ、ドイツのみならず世界20か国で理系女子をサポートする活動を行っている。
10歳~14歳の生徒が自動車の組み立て作業を経験した。Volkswagen AG
2018年5月10日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)