クルマのある暮らしをもっと豊かに、もっと楽しく

Cars

最終更新日:2023.06.19 公開日:2018.04.07

【JNCAP2016~17予防安全】対歩行者の自動ブレーキ優秀ランキング・ベスト10!

予防安全性能評価の内の、対歩行者の自動ブレーキ試験の様子。停車中のクルマの陰から、歩行者を模したダミー人形が出てくるという設定だ。評価対象のクルマはそれをいち早く検知し、ダミー人形に接触する前に停車できるかどうかを、速度などの条件を変えて何度も行う。

 国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)が毎年発表している、クルマの予防安全性能と衝突安全性能の2種類を評価する「JNCAP」。

クルマが事故を回避するための予防安全性能の評価試験が始まったのは2014年と比較的新しい。毎年のごとく新しい評価試験が追加されたり、試験内容がより厳しいものになったりしており、2017年現在は対歩行者および対車両の自動ブレーキ、車線逸脱抑制、後方視界の4項目の評価試験が79点満点で行われている。

歩行者との衝突事故を回避するための予防安全性能を評価する、自動ブレーキの対歩行者性能評価試験は2016年からスタート。この2年で同一車種の別グレードもひとつの車種としてカウントすると、対歩行者・自動ブレーキの評価試験(25点満点)は全36車種が受けたことになる。

対車両の自動ブレーキでは32点満点を取るクルマも多いのだが、歩行者はクルマより画像認識が難しいことから、なかなか満点が出ないのが特徴だ。

そこで今回は、そうした特徴を持った自動ブレーキの対歩行者性能評価試験に的を絞って全36車種をランキングにし、そのベスト10を紹介する。

→ 次ページ:
第1位は同点の2車種!

第1位は満点の同点で日産の2車種!

自動ブレーキの対歩行者評価試験は、25点満点。試験に用いられたグレードの後ろにあるのは、試験を受けた年だ。また同点の場合、評価試験を受けた年数順とした。

1位:セレナ(日産) 25.0点

試験に用いられたグレード:ハイウェイスター(2016年)

日産が開発した自動車専用道路同一レーン用自動運転技術「プロパイロット 1.0」を、初めて搭載したのがミニバン「セレナ」。2016年に初めて自動ブレーキの対歩行者性能評価試験が行われた際、唯一の満点を獲得した。「セレナ」に搭載されているのは、単眼カメラが歩行者と車両などの画像認識を行う方式の、自動ブレーキ「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」だ。車両に対しては約10~80km/hの間で作動するが、歩行者に対しては約60km/h以下で作動する。なお「セレナ」は、2016年に実施されたそのほかの3項目でも満点を獲得し、予防安全性能評価試験で71点満点を獲得した。スズキ「ランディ」はOEM車。2016年度JNCAP発表会にて撮影。

1位:ノート e-POWER(日産) 25.0点

試験に用いられたグレード:e-POWER X(2017年)

2017年の評価試験で、全4項目合計の79点満点を獲得した日産「ノート e-POWER」。ガソリンエンジンが発電し、モーターが車輪の駆動を行う。いわゆるシリーズ型ハイブリッド・パワートレイン「e-POWER」を初めて搭載した車種だ。「セレナ」同様、「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」を装備し、歩行者に対しては時速約60km以下で作動。また速度が約30km以下であれば、衝突を回避できる性能を有する(条件による)。センサーは「セレナ」と同様に単眼カメラ方式を採用。日産の画像認識技術を支えているのは、イスラエルのモービルアイ社だ。日産グローバル本社ギャラリーにて撮影。

3位:アクセラ(マツダ) 24.5点

試験に用いられたグレード:15XD L Package(2016年)

4ドアセダンおよび5ドアハッチバックスタイルのマツダ「アクセラ」。この「アクセラ」を初めとするマツダ車には、同社の先進安全技術「i-ACTIVESENSE」が全グレードに搭載されている。その内の自動ブレーキ技術は「アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート(アドバンストSCBS)」という。マツダもモービルアイ社が開発した単眼カメラによる画像認識技術を採用しており、それとミリ波レーダーを組み合わせてクルマや歩行者の存在を検知している。以前は赤外線を用いていたが、単眼カメラを車内のルームミラー前に配置したことで、検知角度が約2倍に拡大したという。アドバンストSCBSは対歩行者に対しては時速約10~80km走行時に作動する。2016年12月に報道向けに開催された「JNCAP2016前期発表会」にて撮影。

3位:CX-5(マツダ) 24.5点

試験に用いられたグレード:XD PROACTIVE(2017年)

マツダのクロスオーバーSUV「CX-5」。「アクセラ」同様、同社のアクティブセーフティの先進安全技術「i-ACTIVESENSE」が搭載されている。自動ブレーキ「アドバンストSCBS」も同様に備えており、時速10~80kmで作動。アドバンストSCBSは、ドライバーのブレーキ操作をアシストする機能も備えており、踏み方が不足した場合でも、その踏力をアシストしてより強力にブレーキを利かせる仕組みだ。「オートカラーアウォード2017」にて撮影。

→ 次ページ:
続いて5~7位!

5位:シビック(ホンダ) 24.4点

試験に用いられたグレード:SEDAN(2017年)

ホンダ「シビック」は、ミリ波レーダーと単眼カメラを用いる「Honda SENSING」を搭載する。Honda SENSINGが歩行者に対して作動する条件は、自車が時速5~100km以下で走行中に、歩行者との速度差が時速約5km以上ある場合だ。自動ブレーキのほかの歩行者に対する予防安全機能としては、路側帯を歩く歩行者との距離が接近してしまったときに接触しないよう働く、「歩行者事故低減ステアリング」も備える。同機能は、音とメーター内の表示で警告した上で、歩行者から離れる方向へのステアリング操作を支援することで、ドライバーの回避操作を促すというものだ。

6位:フォレスター(スバル) 23.5点

試験に用いられたグレード:2.0i-L EyeSight(2016年)

スバルのクロスオーバーSUV「フォレスター」。ステレオカメラ方式が特徴のスバルの先進安全運転支援システム「EyeSight」のバージョン3を搭載する。バージョン3の、歩行者との衝突を回避できる速度差は最大で時速35km(回避は100%ではない)。2010~14年度に販売されたEyeSightバージョン2の搭載車24万6139台の内でクルマへの追突事件数は223件あり、同期間に販売されたEyeSight非搭載車4万8085台の内で追突事故件数は269台だったとスバルは報告している。1万台当たりのクルマへの追突事故件数を比較すると、搭載車は9件、非搭載車は56件ということで、追突事故発生率が84%減ったとした。2016年12月に報道向けに開催された「JNCAP2016前期発表会」にて撮影。

7位:インプレッサ/XV(スバル) 22.9点

試験に用いられた車種・グレード:インプレッサ 2.0i-L EyeSight(2016年)

スバル「インプレッサ」には、画像のステーションワゴンタイプの「スポーツ」と、セダンタイプの「G4」がある。また「XV」は、かつてはインプレッサのSUVモデルだったが、現行モデルでは「インプレッサ」の名が取れて独立した車種となった。しかし、同等の予防安全性能を持つことから、JNCAPでは兄弟車としてひとまとめにして紹介している。「インプレッサ」に搭載しているスバルの先進安全運転支援システム「EyeSight」は、バージョンは「フォレスター」と同じ3で、性能も同等。2016年度JNCAP発表会にて撮影。

→ 次ページ:
最後は8~10位!

8位:N-BOX(ホンダ) 22.6点

試験に用いられたグレード:G Honda SENSING(2017年)

今回、唯一のベスト10入りを果たした軽自動車であるホンダ「N-BOX」。同車もまた、ホンダの先進安全運転支援システム「Honda SENSING」を搭載した1台で、現行モデルから全グレードに搭載されるようになった。センサーの内、単眼カメラは車内のミラー前にあり、ミリ波レーダーはオフセットされたナンバープレートの右側にある黒いパーツの裏側に装備されている。性能的には「シビック」に搭載されているものと同じだ。「オートカラーアウォード2017」にて撮影。

9位:レヴォーグ/WRX(スバル) 22.5点

試験に用いられた車種・グレード:レヴォーグ 1.6 GT-S Sport EyeSight(2016年)、レヴォーグ 1.6 STI Sport EyeSight(2017年)

スバルのスポーツタイプステーションワゴン「レヴォーグ」は、2016年と2017年に、それぞれ異なるグレードで評価試験を受けているため、本来は別扱いにすべきかも知れないが、対歩行者の自動ブレーキ性能の得点は同じであることからひとまとめとした。2016年に評価試験を受けたのが「1.6 GT-S Sport EyeSight」で、2017年がその上位グレードの「1.6 STI Sport EyeSight」。ちなみにJNCAPでは、スポーツセダン「WRX」が「レヴォーグ」と同等の性能を持つ兄弟車ということで、一緒に扱われている。「レヴォーグ」には「EyeSight」のバージョン3の中で最新バージョンの「EyeSight ツーリングアシスト」を搭載。歩行者との衝突事故の軽減とは直接関係ない機能だが、長距離運転時に各種運転支援を行うことで、ドライバーの負担を減らす機能が追加された。「オートモビルカウンシル2017」にて撮影。

10位:ソリオ(スズキ) 22.3点

試験に用いられたグレード:HYBRID MX

スズキのコンパクトワゴン「ソリオ」。同車が搭載する自動ブレーキシステムは「デュアルカメラブレーキサポート」といい、スバル「EyeSight」がベースのステレオカメラ方式だ。同方式の利点は人の眼と同じで、ふたつのカメラがあることで、より正確に距離を把握できるというものである。設置場所は、車内のルームミラー前。ここにカメラを設置するタイプは、フロントウィンドウのワイパーの作動域に入るようにしてあり、雨天時でも視界が確保されるようになっている。時速約5~約100kmでの走行中に作動し、は約5~約30km未満であれば歩行者との衝突を完全に回避できる可能性がある。三菱「デリカD:2」はOEM車。

2018年4月7日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

動画やランキングなど、JNCAP関連の記事一覧はこちらから!

この記事をシェア

  

Campaign

応募はこちら!(1月5日まで)
応募はこちら!(1月5日まで)