2017年 輸入車販売台数ランキング!
一般社団法人日本自動車販売協会連合会(自販連)がレポートとして月ごとに発表しているクルマの販売台数。ここでは、2017年の年間累計販売台数の内、輸入車の確報をもとにどの海外メーカー(ブランド)が日本で最も人気があったのかをグラフ化して紹介する。クルマは、普通乗用車、貨物車、バスとすべての車種を扱っている。
なお現在、多くのブランドが大手傘下に収まっているが、そのブランドが所属する国は、誕生した時に本拠があった国としている。たとえば、ランボルギーニは現在フォルクスワーゲン(VW)の傘下だが、VWのドイツではなくイタリアの所属というわけだ。
ただし例外なのがミニ。本来「ミニ・クーパー」を開発したのはBMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)なのでイギリスだが、BMWが立ち上げたのはBMCではなく、ミニだけを専門として扱う新規ブランド。よって、BMWの本拠があるドイツ扱いとする。
2017年もドイツ勢が強かった! 総合ベスト10
まずは輸入車の内の主要な40ブランドを対象に、販売台数の多い順にベスト10をグラフ化してみた。ここ何年も変わらない傾向だが、圧倒的にドイツ車が強く、ベスト5すべてがドイツ勢という結果となった。
ドイツ車が強いのはラインナップの多さに加え、高級なイメージ、ユーザの使い勝手を考えた利便性の高さ、ドイツの工業製品ならではの緻密さや信頼性が取れていることが大きな理由と思われる。
日本では、今も欧州の自動車文化への憧れが強く、日本の自動車文化が欧州の影響を強く受けていることも影響しているだろう。また、メルセデス・ベンツやBMW、VWなどのように、ドイツ本社100パーセント出資の日本法人を設立している点も、ビジネスの点では有利だ。
ともかく、「ガイコクシャを買うならドイツ車がいい」という状況が長らく続いているのである。
輸入車総合のブランド別販売台数ベスト10。なおカッコ内は、各ブランドの本拠地がある国。ボルボの「ス」はスウェーデンの略。
ブランド別総合11~20位
ブランド別の総合11位から20位までは以下の通り。
高級車の多いドイツ車は、ステータスを得るために購入しているケースも多いと思われる。しかし、イタリアやイギリス、フランス、アメリカのクルマは、本当にそのクルマが好きな人たちが購入しているイメージが強い。そうしたこともあって、ドイツ車ほど売れていないのかもしれない。
総合11~20位。通好みのブランドが増えてくる11~20位。アバルトは、フィアットのチューニングメーカーから出発し、今はその傘下に収まっている。DSはシトロエンから独立させた高級車ブランド。
ブランド別総合21~40位
21位以下はご覧の通り。ここまで来て初めて、フェラーリやランボルギーニなどのスーパーカーメーカーが登場してくる。それらは知名度はあるが、高額な車両のため、販売台数が伸びないのは必然だろう。レアであってこそ、”憧れのクルマ”なのだ。
21位:フェラーリ(775台)
22位:キャディラック(580台)
23位:フォード(551台)
24位:ランボルギーニ(475台)
25位:ベントレー(418台)
26位:ダッジ(349台)
27位:アストンマーティン(321台)
28位:ロールス・ロイス(225台)
29位:BMW アルピナ(219台)
30位:クライスラー(213台)
31位:ロータス(172台)
32位:マクラーレン(164台)
33位:スカニア(160台)
34位:ヒュンダイ(127台)
35位:ブガッティ(2台)
36位:マイバッハ(2台)
37位:RUF(2台)
38位:サーブ(2台)
39位:ハマー(1台)
40位:オペル(1台)
グループ別販売台数ランキング
なお販売台数に関してはグループとして合算する考え方もあると思う。たとえば、メルセデス・ベンツにスマートと、超高級車ブランドのマイバッハを加えたダイムラーグループとして合算すると、7万2861台となる。BMWも傘下のミニと高級車ブランドのロールスロイスを合算すれば7万8179台で、ダイムラーグループを逆転する。
さらにいえば、VW(フォルクスワーゲン)はアウディ、スカニア、ベントレー、ブガッティ、ポルシェ、ランボルギーニと名だたるブランドを傘下に収めており、それらを合計すれば8万4461台にもあり、トップに躍り出る。
フィアットも傘下のブランドは数多く、アバルト、アルファロメオ、クライスラー、ジープ、ダッジとあり、FCA(フィアット・クライスラー・オートモビル)グループとして合算すると2万4114台だ(フェラーリは現在FCAから独立したので含めていない)。
さらに、プジョーとシトロエンも、PSAという同じ会社のため、傘下のオペルとDSを加えると、1万2194台。GMは日本国内で販売しているブランドのシボレーとキャディラックを合計すれば1389台だ。
グループ別にカウントすると、このような結果に。グループ別でもドイツ系が強い。イタリアの大手フィアットがクライスラーを買収して誕生したFCAは数こそ多いものの、日本人にとっては通好みのブランドがラインナップを占めるためか、ドイツ系には大きく離されている。
国別販売台数ランキング
続いては、国別にわけてランキングを紹介。各国のメーカーの人気の順位がわかる。ドイツ、イタリア、イギリス、フランス、アメリカの順に紹介。
ドイツ編
総合ランキングの上位とほぼ同じ独ドイツ。ポルシェから下になると、購買ターゲットを絞ったブランドとなってくるので、数が減ってくる。なおBMWアルピナはBMW公認のチューナーだが、現在は自動車メーカーとしても登録されている。なおアルピナの下位に、ポルシェのチューニングからスタートしてアルピナと同様に現在では自動車メーカーとして登録されているルーフ(RUF)と、ダイムラーの超高級ブランドのマイバッハが共に2台で続き、現在はPSAグループに属するオペルが1台。
イタリア編
イタリアのブランドは、大衆車メーカーのフィアットから始まって、スーパーカーも要する高級車メーカーのアルファロメオやマセラティ、そして最終的に高級スーパーカーメーカーのフェラーリやランボルギーニという具合で、台数の少なさがそのまま高級さを表すわかりやすいグラフとなる。なお、フェラーリとランボルギーニは同程度の高級スーパーカーをラインナップする長年のライバル同士だが、この販売台数の差はブランド力としてフェラーリが上ということを表しているものと思われる。
イギリス編
イギリスは自動車文化の先進国のひとつだが、残念なことに同国のブランドの多くは他国の大手企業の傘下となってしまった。このランキングだとアストンマーティンとマクラーレンのみが独立したブランドである。ジープはFCA、ランドローバーとジャガーはインドのタタ、ベントレーはVW、ロールス・ロイスはBMW、ロータスはマレーシアのプロトンからボルボの親会社でもある中国の吉利汽車(ジーリー)の所有となった。ちなみにジープの販売台数が多いのは、4輪駆動車を代表するブランドとしてイメージが確立されているため、ファンが多いことが理由と思われる。
フランス編
フランスは昔からシトロエン、プジョー、ルノーの3社が知られているが、現在はシトロエンとプジョーがグループPSAを形成し、ルノーはご存じの通りに日産とアライアンスを形成する。なお、4位のDSは、シトロエンから独立させた高級車ブランドで、グループPSAに属する。さらにその下位に2台を販売したブガッティもある。かつて存在したブガッティそのものではなく、近年になってVWグループが復活させたブランドで、最高速が時速400kmを超えるような”スーパー・スーパーカー”「シロン」などを製造している。
アメリカ編
アメリカといえば、GM、フォード、クライスラーのビッグ3。ただし、5位のクライスラーは、4位のダッジなどのブランドも含めて現在はフィアット(FCA)の傘下になった。このグラフでは直接GMの名は載せていないが、シボレーがGMのスポーツカー部門、キャディラックが同じく高級車部門である。GMは価格帯や用途によって戦略的にブランドを使い分けているのが特徴だ。なお、アメリカ車の台数が少ないのは、未だにある「大排気量が生むビッグパワー」「大柄なボディ」といった良くも悪くも大味なイメージが、日本人の気質や国内道路事情に合わないためと思われる。その一方で、少数派だが熱狂的なファンがいるのもまた事実である。
2018年2月16日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)