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最終更新日:2018.01.16 公開日:2018.01.16

交通事故の推移。1948年から2017年までの統計

 交通事故死者数は2017年も前年より減り、2年連続で4000人を下回ったのはお伝えしたとおり(記事はこちら。新しいタブが開きます)。現在、交通事故に関する統計は警察庁と公益財団法人 交通事故分析センター(ITARDA)によって行われているが、統計自体は戦後間もなくの1948年まで遡ることが可能だ。

 そこで、1948年から2017年までの国内の発生件数、負傷者数、死者数、10万人当たりの死者数の推移について紹介する。国内の交通事故が日本のモータリゼーションの進展と共にどのように増加し、そして近年のASV(先進安全自動車)の普及や医療技術の発達、道交法の罰則強化、交通安全指導の強化などによってどのように減ってきているのか、約70年におよぶ交通事故統計を見てみよう。

交通事故発生件数の推移

 交通事故は自動車の保有台数の増加と共に確実に増加し、1970年に71万80件で一度はピークを迎える。しかし、その直後にオイルショックなどの影響で若干減少。しかし間もなくして上昇を再開し、世紀の変わり目の辺りがピークはとなった。最多は2004年で、95万2720件を記録した。

 ギリギリのところで100万件への到達は回避でき、その後、発生件数は着実に減少。17年は47万2069件となり、04年と比較して50%を切るまでに至った。

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今後、完全自動運転が実用化され、それが普及していけば、さらに交通事故は減少していくものと思われる。※グラフ中では西暦の表記が2016年までとなっていますが、データとしては2017年まで含んでいます。また、次ページ以降のグラフも同様です。

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続いて、交通事故負傷者数の推移

交通事故負傷者数の推移

 続いては、負傷者数の推移。当然だが、これは事故発生件数とほぼ一致しており、70年に1回目のピークとなる98万1096人を記録。

 その後も発生件数をなぞる形で一度は下がるが再度上昇に転じ、04年がピークで118万3617人を記録した。なお99年から07年までは、9年連続で100万人を突破。大きなピークを形成した。

 しかし、その後は減少しており、17年は57万9746人となり、04年と比較して約49%となっている。

 なお、内閣府が2016年3月11日に発表した第10次交通安全基本計画(計画期間:2016年度~2020年度)によれば、2020年までに死傷者数を50万人以下にするという目標を国として掲げている。死傷者数の減り方は、15年から16年にかけては4万7383人、16年から17年にかけては3万9317人という具合で、非常に減り方が大きい。よって、このままのペースでいければ、目標を達成できるものと思われる。

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1970年前後のピークが、交通事故発生件数と比較するとなだらかになっているが、あとはほぼ一緒のラインを描いている負傷者数の推移。

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次は、交通事故死者数の推移

交通事故死者数の推移

 自動車の安全設計が進展すると共に、搭乗者の死者数が減っていき、近年は歩行者保護にも力を入れた開発が行われていることから、交通事故の発生件数や負傷者数とは異なるグラフとなっているのが、死者数の推移だ。第一次交通戦争と呼ばれた70年前後がピークで、70年は1万6765人を記録した。

 1万人を初めて超えたのは59年の時で、その年は1万79人。その後、75年の1万792人まで17年連続で1万人超えとなった。その後、下降するが再び増加し、88年から95年までの8年間も1万人を超えてしまう。

 しかし、その後は毎年数百人ずつではあるが着実に減少を続け、2017年は3694人に。今のペースを守れれば、2020年代初頭には3000人切りを達成できる可能性も見えてはきた。

 しかし第10次交通安全基本計画では、死者数の目標を2500人以下としている。この目標を達成するにはあと3年で1200人近く減らす必要があり、死傷者数の目標の50万人以下と比べて、達成が厳しい状況となっている。

 死者数を大きく減らせない理由とされているのが、(1)高齢者人口の増加、(2)シートベルト着用率などの頭打ち、(3)飲酒運転による交通事故件数の下げ止まりなどが挙げられている。中でも高齢者の死者数は全体の半数以上を占めるため、その対策が求められている。

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統計を開始した1948年以降、これまで最少事故死者数の記録だった年は3790人の1949年だったが、2017年は記録を更新し、3694人となった。17年は、70年に対して22%となっている。

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最後は人口10万人当たりの交通事故死者数の推移

人口10万人当たりの交通事故死者数の推移

 こちらは交通事故死者数に沿ったラインを描いており、ピークは同じく70年の16.33人。その前後は、59年の10.95人から74年の10.52人まで、16年連続で10人を超えた。その後、一度は減少するが再度上昇して92年に9.23人を記録。しかし10人を超えることはなく、その後は右肩下がりで減少を続けている。

 さらに07年以降は、49年に記録されたそれまでの4.74人を下回って毎年記録を更新中。そして2017年は、遂に3人を切ることができ、2.91人を記録した。17年は、70年に対して18%となっている。

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70年は約6124人に1人が交通事故で死亡していた。それが17年は、約3万4364人に1人の割合となった。交通事故死する確率が5.6倍も低くなったということで、それだけ安全になったといえるだろう。

2018年1月16日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

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