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最終更新日:2017.08.15 公開日:2017.08.15

AUTOMOBILE COUNCIL#4 イタリア車編その2 アルファ、マセラティ、ランチアなど

海外のヒストリックカーや国産の旧車が題材の展示・即売会『AUTOMOBILE COUNCIL(オートモビルカウンシル) 2017』。第2回となる今年は8月4~6日に幕張メッセで開催された。レポート記事第4弾は、イタリア車編その2をお届けする。

 同展示会は、国内外の複数の自動車メーカーに加え、ヒストリックカーや旧車のレストアを行っているショップや、海外メーカーの輸入代理店が数多く参加している。往年のスーパーカーや高級車、さらには戦前のクラシックカーなどをまとめて見られるのが特徴だ。

 その1でフェラーリとランボルギーニを紹介したので、今回はアルファロメオ、フィアット、マセラティ、ランチアの4メーカーに加え、ちょっとレアなイタリア系の2車種を取り上げる。

アルファロメオは60~80年代の3車種!

 アルファロメオは、ガレーヂ伊太利屋、ワールドビンテージカーズに加え、主催者がそれぞれ1車種ずつ展示された。1960~90年代の車種である。どれもイタリア車らしいレッドのみとなった。

ジュリア TZ(1965年式)

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主催者が展示した「ジュリア TZ」。TZとは、Tubolare Zagatoの略で、鋼管スペースフレームのシャシーに、イタリアのカロッツェリア(デザイン工房)として有名なザガート(ZED Milano s.r.l.)による軽量かつエアロダイナミクスに優れたアルミボディを被せたことに由来する。レーシングカーとして開発された。

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このボディ後端を切り落としたようなデザインは「コーダ・トロンカ」と呼ばれ、ザガートが始めたデザインだ。なおこの展示車両は、元々は1965年のトリノショーに出展されたショーカー。そのときはギアボックスも未実装で、ボディカラーも白だったが、後にドライブトレーンが備えられ、赤にリペイントされた。1972年に現オーナーが入手するが、今もって走行したことはないという。

1300 GT Jr.(1971年式)

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ガレーヂ伊太利屋が出展した「1300 GT Jr.」は、1950年代に誕生した名車「ジュリア」シリーズの系統の内、スポーツモデルの「ジュリア・スプリント」シリーズの1台。同車は1960年代半ばに登場。展示車両は1971年式。同車はフロントノーズがボンネットよりわずかに低くなる段差がついている前~中期モデルの通称”段付き”が人気だが、今回の展示車両は段差のない”フラットノーズ”と呼ばれる後期モデル。

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排気量は1290ccで、出力は90馬力弱。当時としては出力に対して車重が軽くて運動性能が高かったことから、スポーティクーペとして走りを求めるユーザーに人気が高かったという。

75 1.8i ターボ エヴォルツィオーネ(1987年式)

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デビュー年がアルファロメオ創業75周年を迎えたことから名付けられた小型車「75」は1985~92年にかけて生産され、ワールドビンテージカーズが出展した「75 1.8i ターボ エヴォルツィオーネ」は、そのスペシャルなモデル。当時のツーリングカー選手権(WTCC)のホモロゲーション(レース出走条件を満たすこと)取得のために1987年に限定500台として生産された。

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「75」は、アルファロメオが自社設計した後輪駆動車としては最後のモデルとなる。ちなみにアルファロメオは「ジュリエッタ」や「ジュリア」など女性名を車名に冠していたが、その後は数字を用いるようになる。同時期には、「75」のほかに「33」や「90」などがある。

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続いてフィアット!

フィアットはキュートな小型車2車種

 ワールドビンテージカーズがフィアットの2車種を出展。どちらも70年代の名車で、片方は車に詳しくなくてもその名を聞いた人が多いのでは? という日本人に人気の高い車種である。

ヌオーバ 500(1972年式)

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アニメ「ルパン三世」の愛車として知られる1台。「チンクエチェント」と呼ばれるが、これはイタリア語で500のこと。同社は初代は1936年に誕生し、新型を意味するこのヌオーバは2代目。1957~77年にかけて生産され、イタリアで大衆車として大ヒットした。展示車両は後期の71年式。

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サイドビュー。時代を超越して人々に愛されるデザインを生み出したのは、ダンテ・ジアコーサ。20世紀のエポックメイキングなコンパクトカーとして、ミニ(BMC、現在はBMW)、ビートル(フォルクスワーゲン)などと共に並び称される1台だ。ちなみに、30年ぶりとなる2007年に3代目(現行モデル)が復活した。

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リアビュー。どの角度から見ても「おしゃれ」「かわいい」といった感想を老若男女問わず抱かせる優れたデザイン。こんなクルマを所有したいと思う人は多いのではないだろうか? なお、エンジンはフロントのボンネットに収まっていそうに見えるが、実はリアマウント。リアエンジン・リアドライブだ。

128 ラリー(1973年式)

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ヌオーバ500に負けず劣らず、キュートな雰囲気を漂わせるのが、フィアットが1969年から1985年まで生産した小型2ドアクーペの「128」。「128ラリー」はその派生型で、1971年から1974年まで4年間のみ生産された。展示車両は1973年式。

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サイドビュー。同車を手がけたのは、ヌオーバ500と同じで当時の主任設計技師であるダンテ・ジアコーサ。彼が手がけた初のクルマとなる。ジアコーサは、アレック・イシゴニスがミニで採用したエンジンとギアボックスの横置きレイアウトの短所を改良し、”ジアコーサ式前輪駆動”と呼ばれるレイアウトを同車で実現し、後のFF車に大きな影響を与えた。

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800kg強の車重に、排気量1290cc・出力67馬力のエンジンにより、峠道を軽快に走ることができたという。

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お次はマセラティ!

いぶし銀のマセラティも2車種

 4か所でマセラティは展示されたが、CLUB CLASSIC CAR LOVERS、はらモータース、マセラティ・クラブ・オブ・ジャパンはカラーリングも同じの「シャマル」。もう1台が今回の記事で数少ない寒色系として千葉ガレージが出展した「ギブリ SS」だった。たまたま、シャマルが被ってしまったようで、来年はぜひスーパーカーブーム時代の「ボーラ」、「メラク」なども見てみたいところだ。

ギブリSS(1970年式)

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1966年から1973年まで販売された初代「ギブリ」は、デザインを著名なインダストリアルデザイナーのジョルジェット・ジウジアーロが手がけたことで知られる1台。「ギブリSS」は、8気筒エンジンの排気量と出力の向上が図られたタイプ。千葉ガレージにて展示。

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ショートデッキ、ロングノーズ、そしてファストバックがギブリのデザインの特徴とされる。なお、ジウジアーロはマセラティ所属のデザイナーというわけではなく、マセラティが彼とパートナーシップを結んで、デザインを委託した形だ。

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リアビュー。ギブリは1966年のトリノオートショーで披露され、生産台数は当初100台のみの予定だったが、デザインを含め好評だったことから400台へと上方修正され、最終的にはシリーズ累計1295台が作られた。今にも通じるデザイン。なお、2013年に登場した現行モデルは3代目。

シャマル(1991年式)

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1982年から1993年まで約3万7000台と、マセラティ史上最も生産された「ビトゥルボ」にチューニングを施したのが「カリフ」で、それにさらに手を加え、もはや別物ともいえるレベルとしたのが「シャマル」だ。発表は1989年で、発売は1990年7月。1996年まで生産された。

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スタイリングは、イタリア車編その1で紹介したカウンタック(ランボルギーニ)を手がけた著名デザイナーのマルチェロ・ガンディーニが担当。なお、「シャマル」のベースとなった「カリフ」の後継が先に紹介した「ギブリ」だ。

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今回、シャマルは3台が展示されたが、画像のはらモータースのものは1991年式。CLUB CLASSIC CAR LOVERSのものは1992年式。マセラティ・クラブ・オブ・ジャパンのものは確認できなかった。V型8気筒DOHCツインターボ3.2Lのエンジンは325馬力を叩き出し、最高速度は時速270kmに達したとされる。

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対はラリーで活躍したランチア!

「デルタ インテグラーレ」などランチアは3車種!

 ラリーでの活躍が有名なランチアは、ガレーヂ伊太利屋が「フルヴィア 1.3S」と「デルタ HF インテグラーレ エヴォルツィオーネ」を、ワールドビンテージカーズ「フルヴィア クーペ 1600 HF」を展示した。

フルヴィア 1.3S(1969年式)

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「フルヴィア」は大衆車「アッピア」の後継として、排気量1.1Lのエンジンを搭載して1963年に登場した小型車。その排気量をアップしたのが展示車両の「フルヴィア 1.3S」。デザインは、アントニオ・フェッシアが手がけた。ガレーヂ伊太利屋が出展。

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ランチアは1969年にフィアットの傘下となるので、このフルヴィアはランチアが独自で開発した最後のクルマとなる。フィアットの傘下に収まった後も「フルヴィア」は生産が継続されるが、1976年で終了した。なお、残念なことにランチアのブランドそのものが現在はイタリア国内でのみの販売のみとなり、日本法人は存在していない。

フルヴィア クーペ 1600 HF(1971年式)

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「フルヴィア」シリーズは、1966年にエンジンの排気量を1.2Lとした「フルヴィア クーペ HF」が登場し、さらに1.6L(正確には1584cc)にアップした「フルヴィア クーペ 1600 HF」が1696年に登場した。エンジンは13度という狭角のV4SOHCで、縦置きレイアウトの前輪駆動。出力は114馬力だ。

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ランチアでお馴染みの「HF」は、高性能という見合いの「High-Fidelity(Hi-Fi)」とされるが、「ホモロゲーション FIA」の略とする説もある。ワールドビンテージカーズが出展した。

デルタ HFインテグラーレ 16Vエヴォルツィオーネ(1992年式)

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「デルタ HF インテグラーレ16V エヴォルツィオーネ」は、「デルタ」の世界ラリー選手権参戦用のホモロゲーションモデルとして79年に発表された「デルタ HF 4WD」に端を発する4輪駆動モデル。「デルタ HF 4WD」は小改良を経て「デルタ HF インテグラーレ」となり、さらにそれを16バルブ化したのが「デルタ HF インテグラーレ16V」。そのエボリューションモデルとして1992年に発表されたのが、展示車の「デルタ HF インテグラーレ16V エヴォルツィオーネ」だ。

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「デルタ」のデザインは、前ページで紹介したギブリSS(マセラティ)も手がけている、ジョルジェット・ジウジアーロ。ただし「デルタ HF インテグラーレ」系は、前部のヘッドライトが角形から丸形の4灯となるなど、外見が一部変更されている。ガレーヂ伊太利屋が出展した。

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最後はちょっとレアなイタ車!

ちょっと変わったイタリア系のクルマも紹介!

 最後は、あまり知られていない、ちょっと変わったイタリア車を紹介する。日伊合作のオーテック・ザガート「ステルビア」と、新生したO.S.C.A.(オスカ)が開発すると発表した「ドロモス」の2台。

オーテック ザガート「ステルビオ」(1997年式)

 CLUB CLASSIC CAR LOVERSが出展したのは、日産の特装車などを手がけるオーテックジャパンと、今回何度となく紹介したイタリアの名門カロッツェリアのザガートが1989年に共同開発し、限定200台が生産されて話題となった1台。日本には100台が逆輸入されたという。

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1960年代から日本メーカーはイタリア人デザイナーやカロッツェリアにデザインを時折依頼し、日本車としては非常に先進的であったり、一風変わったりした外見を持ったクルマを披露してきた。同車もそんな1台といえる。レパード(日産)がベースとなっており、V6ツインカムターボ3Lエンジン「VG30DET」を搭載。最高出力280馬力。

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前から見ると目立たないが、後ろから見ると目立つのが、サイド(フェンダー)ミラーを覆うかのようように存在する左右のコブ(ネコの耳のようにも見える)。これは、ザガート伝統のデザイン手法である”ダブルバブル”といわれる。

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左右のコブの中にはサイドミラーが存在する。感覚的にはフェンダーミラーだ。発表された89年当時はフェンダーミラーからドアミラーへの移行が進んでいたが、まだフェンダーミラーを好むドライバーが少数派ながらいたような過渡期。

新生オスカ「ドロモス」

 Classic Car.jpが出展していたのが、1998年に日本人実業家により新生したことを発表されたオスカ(O.S.C.A.)による「ドロモス」だ。元々オスカは、1940年代から60年台にかけて存在したイタリアの小規模自動車メーカー。それをザガートの日本法人であるザガートジャパンをかつて設立した経緯を持つ日本人実業家の藤田尚三氏が、1998年になって新生したことを発表。その際に開発していることを発表したのが「ドロモス」だった。結局、生産には至らなかった。

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キャビン上部は丸みを帯びており、戦闘機のキャノピーのようなバブル型。

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全体的にかなり丸みを帯びている。リアウィングも装着できそうな雰囲気だが、後部はスッキリしている。

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直線は所々に見受けられるが、とがった部分はまったくなく、曲面のみで構成されているリアビュー。

 第5弾は、ドイツ車編を予定。

2017年8月15日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

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