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クルマ最終更新日:2017.03.14 公開日:2017.03.14

トヨタの最新・超小型モビリティのコンセプトモデル「i-TRIL」

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トヨタの超小型モビリティのコンセプトモデル「i-TRIL」。ジュネーブモーターショーで発表された。

 トヨタは、3月7日から始まったスイスの第87回ジュネーブ国際モーターショーにおいて、超小型モビリティの新コンセプトモデル「i-TRIL(アイ-トリル)」を発表した。

 「走る楽しさを追求する近未来の都市型モビリティ」をテーマとして新たに提示された1台で、従来にない乗り味と使い勝手のよさによるドライビングの楽しさを提供すると同時に、都市生活でのニーズに応えるとしている。なお、実機ではないため、実際に走行はできないそうだ。

 このようなコンセプトの超小型モビリティが提案されたのは、将来的に欧州で小・中規模都市の発展が予想されていることが理由にある。小コミュニティにおける30~50代の子育て世代のライフスタイルを想定した1台で、都市交通における便利さと快適さを提供する新たなモビリティとして具現化したという。

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i-TRILを後方から。前方から見ると角度によっては、後輪のトレッドが前輪に比べて狭いため、i-ROADと同じようにリバーストライクに見えてしまうが、ご覧の通り4輪だ。

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車内の様子。後部座席はロングシートになっている。

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同車のトヨタ製超小型モビリティ内の系譜は?

i-ROADとは似ているが後継機ではない

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i-ROAD。こちらは2人乗りのため横幅も870mmとなっており、かなりバイクに近いコンパクトさ。東京23区の一部でなら、実際にレンタルして乗ることが可能だ。

 当コーナーでも動画付きで試乗レポートをしたことのある(記事はこちら)同社の「i-ROAD」に雰囲気が似ているが、i-ROADがリバーストライク(前2輪+後1輪)型なのに対してi-TRILは4輪だ。

 乗車定員もi-ROADの2名に対し、i-TRILは車体中心にドライバーを配置する「1+2レイアウト」で3人乗車を実現している。そのため全幅は一般乗用車に近く、1500mmだ。i-ROADの870mmよりもかなり横幅があり、あえていうのなら、同社の超小型モビリティの元祖である「PM」に近いといえるかもしれない。

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同社がi-ROAD以前に開発した超小型モビリティ。左上がPM、右上がi-unit、左下がi-swing、右下がi-REAL。このほか、Wingletという、立ち乗りの倒立2輪振子型(セグウェイタイプ)もある。

 そして全長はi-ROADの2345mmよりは長いものの、2830mmと3m未満に抑えられている。軽自動車(同社「ピクシス エポック」が3395mm)よりも大幅に短いので、超小型モビリティらしく取り回しがいいという。

 なお同社広報に確認したところ、i-TRILのコンセプトはまったく新しいものであり、i-ROADの直接的な後継機種ではないそうである。開発部門も異なり、i-ROADは日本だが、i-TRILは仏ニースに拠点を置くED2(トヨタ ヨーロッパ デザイン デベロップメント)がデザインを手がけている。

i-ROADで開発された「アクティブリーン機構」搭載

 後継機ではないが、i-ROADで開発された技術も搭載されている。「アクティブリーン機構」という、i-ROADならではの独特の乗り心地を生み出している技術がi-TRILにも採用されているのだ。

 同機構は、コーナリング時に左右の前輪が車体の傾きに合わせて自動的に上下動することで(内側が縮み、外側が伸びる)、バランスを最適に制御するというもの。バイクのようにドライバー自身がバランスを取る必要がなく、誰でもスムーズな運転をしやすい技術なのだ。

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i-ROADがコーナリングする様子。アクティブリーン機構により、左右の前輪が、独立して高さを制御しているのがわかる。

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乗り降りがしやすく!

乗り降りに関しての工夫も

 超小型モビリティはそのコンパクトなボディゆえに取り回しは優れるが、これまで開発されてきた2人乗り用タイプの後席は、特に乗り降りに少々難があったりする。そうした点を踏まえて、i-TRILは工夫がなされている。フロアの一部を構成するようにドアが設計されており、ドアを開ければステップ部分も自動的に持ち上がり、乗り降りしやすいというわけだ。

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ドアがオープンしている様子を前方から。斜めに上がる形だ。

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ドアを開けるとそのまま足元にスペースができるのがわかる。

 またドライバーズシートに関してはドア側に回転するので、これまた乗り降りしやすくしている。

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ドライバーズシートはドア側に回転する仕組み。コンセプトモデルのため、シートベルトは取り付けられていない。

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画像からそのほかの部分を推測してみる

速度調整も操縦桿で行う?

 そのほか運転システムなどに関しては、まだコンセプトモデルであるため、詳細は決定していないということだが、ドライブ・バイ・ワイヤによる操縦の仕組みを採用するという。

 なおドライブ・バイ・ワイヤとは、ケーブルを物理的に引っ張っるといった仕組みではなく、ゲームのコントローラーのように電子(電気)的に操縦系とモーターやエンジン、ブレーキなどがつながっている仕組みの操縦システムの方式をいう。

 ステアリングは通常のホイール型ではなく、ジェット旅客機などに見られる両手で把持するツインスティックの操縦桿タイプ。また足元にペダル類がないことから、この操縦桿のみで速度コントロールも行うものと予想される。

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ツインスティック系操縦桿による操縦で、ペダル類がないことから、速度コントロールも操縦桿で行うことを想定しているものと思われる。

フェンダー部分には後方視界用カメラを装備

 そのほか、左右の前輪フェンダー部分に小型カメラが後方向きに備えられているが、これはステアリング中央のモニターに左右の側方・後方視界を提供し、運転時に死角になりやすい角度を映したり、車庫入れなどで後退する際に後方視界を提供したりするものと思われる。

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左右のフェンダー部分に装備されたカメラ。

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i-TRILのスペックについて

i-TRILのスペック

 スペックは以下の通りだ。

全長×全幅×全高:2830×1500×1460mm

ホイールベース:2080mm

空車重量:600kg(積み荷、乗員なしの車重)

パワートレイン:電動モーター

1回充電走行距離:200km

乗車定員:3人

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タイヤそのものにイルミネーション的な仕組みがあるようだが、これはコンセプトモデルであることが理由だろう。

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シート下にあるボタン。電源ボタンもしくはWi-Fiなどの車内通信ボタン?

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テール部分アップ。凝ったデザインのテールランプとなっている。

 ちなみにi-TRILの名称の”i”は私を意味し、TRILは3人乗りを意味する”TRIple”とアクティブリーン機構を意味する”Lean”を合わせた造語だそうだ。

 なお、日本国内での展示については現時点では未定とのことである。

i-TRILのイメージ動画。

2017年3月14日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

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