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クルマ2016.06.23

第24回3D & バーチャル リアリティ展リポート

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写真1。日産の2013年型GT500仕様R35 GT-Rの40%風洞モデル。現実のレースで空力パーツを素早く修正できたのは、このモデルと3Dプリンターによるパーツの試作があったからかもしれない。

速さの理由は3Dプリンターにあった!

 6月22日(水)から24日(金)まで、東京ビッグサイトで第24回3D & バーチャル リアリティ展が開催されている。3D映像表現を含むVR・AR技術と、3Dプリンターをメインとした展示会だ。

 まずはクルマ関連ということで、スーパーGTマシンから。といっても、40%スケールの風洞用モデルなのだが、アルテックのブースで展示されていたのが、日産のGT500仕様のR35GT-Rだ(画像1)。ボディのすべてではないが、空力的な影響の大きい部分を3Dプリンターで作ったのだという。画像のグレーの部分がそれで、黒はカーボンだ。

 この風洞モデルは2013年のものであり、GT-Rはその年は王座を獲得できなかったのだが、14・15年は連覇を達成している。おそらく、こうして3Dプリンターを活用して空力パーツを素早く開発していったことも勝因の一つだったのだろう。3Dプリンターはモータースポーツの世界でも活躍しているのだ。

「攻殻機動隊」のアイツの実機が販売される日もそう遠くない!?

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写真2。「攻殻機動隊」シリーズで大人気のタチコマ。主人公に据えたミニアニメなども作られている。

 続いては、架空のものではあるけど、車輪もあって人も乗れるのでクルマの範疇だろうという解釈のもとで、「タチコマ」(写真2)。なんだこれ? と思う方もいるだろうが、これは、21世紀半ばの近未来を舞台にした大人気のコミック・アニメ「攻殻機動隊」シリーズのTV版「攻殻機動隊 Stand Alone Complex」に複数台が出てくる戦闘用ロボットだ。人工知能を搭載しているので、劇中では「思考戦車」という扱いになっている。そのキャラクターがとても愛らしい上に、自己を犠牲にしてまで健気に主人公たちをサポートするところなどから、非常に人気が高い。

 このタチコマについては、2016年2月11日に、コミュニケーションロボットの社会実装に挑むことを目標に、DMM.comと攻殻機動隊 REALIZE PROJECTがプロデュースし、karakuri productsと海内工業が設計・開発・製造を担当する「タチコマ リアライズプロジェクト」が立ち上げられた。写真はその一環として開発された1/2スケールのタチコマである。チタン合金などの金属パーツと、3Dプリンターで作成した樹脂製のパーツで軽量化することで製作することに成功したという。早いところ実寸大、そして人工知能などアニメでの全機能(武器は除く)を搭載したタチコマの実機を開発してほしいところである。

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続いては大河原邦夫氏がデザインしたSFアニメ系スーパーカー!

大河原デザインのロボット&スーパーカー

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写真3。イグザインの頭部モデルも展示。顔はガンダム系だが、全身のデザインは結構異なる。

 ガンダムなどのメカデザイナーとして知られ、ロボットアニメファンならその名を知らない者はいない大御所・大河原邦夫氏。続いては、その大河原氏がなんと無料でデザインし、全日本製造業活性化計画(JMRP)に贈呈したという「イグザイン」(写真3)というロボット(未決定だがパワードスーツという設定らしい)と、それと関連する変形機構を搭載していそうなSFアニメ系のスーパーカー「iXine Barid」(写真4)を紹介。

 イグザインはクロスエンジニアリングプロジェクトということで、ストラタシス、スワニー、キャステム、中辻金型工業の4社が立ち上げ、そこに大河原氏が無償でデザインを提供し、さらに現在はタカラトミーも参画。たったの3週間で3Dプリンターによって製作されたという、iXine Baridのトミカ100台が展示されていた。イグザインはいろいろと計画があるそうなので、今後を期待したい!

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写真4。大河原デザインのスーパーカーiXine Barid。設定は検討中で、変形や合体も考えているとのこと。

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続いては最新の3Dプリンターに迫る!

最新の3Dプリンターは金属粉末や石膏を使う!

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写真5。今や、3Dプリンターで金属パーツも作れてしまうのだ。

 続いては、3Dプリンター関連。3Dプリンターというと、一般的にはインクに当たるものに樹脂を使うイメージである。しかし近年は、そうではないタイプも活躍するようになってきた。その一つが、金属粒子をインクとした「金属粉末焼結」型だ。金属粉末を塗布してレーザーで焼いて固めていくという仕組みである。

 キヤノンでは米3D SYSYTEMS社製の「Prox DMP 320」を扱っており、ブースでは同機を用いて製作された、海外メーカーが開発したタイヤの金型や、エンジンのパーツサプライヤーであるACRが製造したターボ関連のパーツ類の見本やカットモデルなどが展示されていた(写真5)。ちなみにこのProx DMP 320、お値段は1億1000万円からと完全な業務用。

石膏タイプ3Dプリンターは発色が美しい!

 インクに樹脂以外を使用する3Dプリンターの二つ目は、石膏を使うタイプ。なぜ石膏を使うのかというと、実はフルカラー化した時に樹脂製に比べるとランニングコストを抑えられるからだ。しかも石膏が白だからカラーインクの発色がいいというメリットもある。一方、欠点は、石膏なので壊れやすい点だ。

 ムトーエンジニアリングが代理店として扱っている3D SYSYTEMSの「ProJet 460Plus」の場合、なんと画像6のようなアート作品並みにきれいなスニーカーも作れてしまう。ちなみにプリンター本体も樹脂タイプより0が一つ少なくて、800万円ほどとなっている。

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写真6。一見すると、本物のスニーカー。でも、持ち上げた瞬間に重いので、石膏であることがわかる。

「透明」も使える樹脂タイプのフルカラー3Dプリンター

 樹脂を利用するタイプの3Dプリンターの場合でも、超高級機ならフルカラーに加えて「透明」も利用可能だ。何色もの樹脂を同時に使うことで、これまた芸術性の高いオブジェクトを作ることが可能である。

 丸紅情報システムズが扱う米Stratasys社製「J750」なら、画像7の通り。血管や骨などが透けて見える頭部の人体模型も一体成形で作れてしまう。本当は既製品では? などと疑ってしまうほどのクォリティーだが、事実J750で作られたものである。これなら何にでも利用できると思われるが、樹脂製なのでどうしても熱には弱い。ランニングコストの高さも弱点ではあるが、抜群の出来映えである。

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写真7。もはや芸術品のレベルに達しているが、これもフルカラー3Dプリンターで作ったものだ。

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最後はクルマ系のVR!

フォーラムエイトのクルマ系VRを紹介

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写真8。プロジェクションマッピングテーブル。ボディーカラーやホイールのデザインなど、細部はすべて投影されている。

 最後は、クルマ系のVRということで、フォーラムエイトのブースで見たものを紹介しよう。同ブースで面白かったのが、「プロジェクションマッピングテーブル」(写真8)。建築物をスクリーンにして行われるようなショーの場合は、観客がだいたい一方向から見るので、回り込まれるような心配はないのだが、同製品は、それを考慮して設計されている。要は、どの方位からでも見られるのだ。

 それを実現するには、周囲4方向と上部の合計5方向から中央に置かれたオブジェクトに投影し、かつきれいに合成する必要がある。この高度な技術をワンパッケージで開発したのが同製品である。

 また、同社のメインの製品である著名な景観ソフト「UC-win/Road」の最新版Ver.11は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)と組み合わせて、VR感覚で走るドライビングシミュレーターの開発にも応用できるもの。普通のドライビングシミュレーターと違い、車内をあちこち見回すことができる。会場に行ったらぜひ体験してみてほしい。

ARを活用すればマニュアルいらずで機械の点検が可能に!

 サイバネットシステムの「ARを利用した作業支援ソリューション」のプロモーション映像では、クルマの点検に用いる様子が一例として披露されていた。作業者がスマートグラスをかけて、クルマなどの点検したい機器・機械類を見ると、何をすればいいのか現実の視界内に3DCGアニメーションを重ねた形で作業手順がタイムリーに表示されるというもの(写真9)。ハンズフリーで作業できる上、実機を見ながら作業手順を確認できるので、いちいちマニュアルをめくる必要がなくなる。

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写真9。同ソリューションを紹介する動画の一部を撮影。同社公式サイト上には動画が用意されている。

 以上、3D & バーチャル リアリティ展、いかがだっただろうか。このほか、空間上に映像を立体表示するホログラフィック的な投影装置とか、振動パターンを工夫することで指先に前後左右や回転などの動きを錯覚させられるハプティック系のデバイスなど、興味深いデバイスはいろいろとあるので、ぜひご自分の目で確かめてほしい。また、複数の企業が体験用のコンテンツを用意していた。大人気のため、初日の午前中から長蛇の列をなしていたほどである。

 3D & バーチャル リアリティ展は、楽しむというよりは仕事系の複数のものづくり系展示

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外部リンク

3D & バーチャル リアリティ展

会と併催されているが、エンターテイメント性では他の展示会とは別次元。子どもでも楽しめると思う。仕事でほかの展示会に行ったなら、ぜひ足を伸ばしてほしい。興味や知識がなくても十分に楽しめるイベントだ。

2016年6月23日(JAF MATE社 IT Media部 日高 保)

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