<予選>戦闘力が底上げされ、勢いづくHRC勢
2026年シーズンのスーパーGTは全8戦で争われる。そして、第3戦として予定されていたマレーシア・セパンのレースが11月のもてぎに持ち越されたため、今回の鈴鹿サーキットでの第5戦が、シーズン前半を締めくくるレースとなる。
#17号車Astemo HRC PRELUDE-GTを走らせるAstemo REAL RACINGは、全レースでポイントを獲得し、着実に速さを増してきた。だが、塚越広大、野村勇斗の両ドライバー、そして金石勝智監督の口からは、「悔しい」という言葉が漏れることが多かったように思う。
開幕戦の岡山では、公式練習でいきなり2位、予選Q2でも4位と上々のスタートを切ったが、決勝は10位。第2戦の富士では公式練習でトップを取ったものの、決勝は9位に終わった。第4戦の富士でも、公式練習で再び1位、予選Q2で3位に入りながら、決勝は5位だった。チームとして、そしてレーサーの本能として、予選の順位を上回りたい。そして勝ちたい。それが本音なのだろう。
右肩上がりに調子を上げているAstemo REAL RACING。その活躍を支えているのが、マシーンを開発するHRCだ。今年から実戦投入された新型車、プレリュードGTは、開幕前の公式テストから第2戦の富士スピードウェイまでの段階では、ライバルに対してロングラン(決勝レース)での速さが足りていなかった。
だがHRCは、プレリュードGTで戦う各チームから毎戦寄せられるデータを解析し、第2戦から第4戦までのインターバルを利用して、一気に開発を進めてきたのである。
とはいえ、シーズン中にマシーンへ大きく手を加えることはルール上できない。そこで、セッティングの方向性を見直したり、マシーン全体のバランスを取るための微調整を重ねたりしてきた。その効果について、塚越広大選手は「マシーンの感触として『変わった』という感じはほとんどしませんが、ライバルと比べてみるといいタイムが出ている」と話してくれた。第4戦の富士で#100 STANLEY HRC PRELUDE-GTがプレリュードGTとして初優勝を飾ったことも、その戦闘力が向上した証しといえるだろう。
予選Q2終了間際の一閃! #17が最速タイムを記録
ホームレースで、今回こそ自分たちが勝つ! そんな意気込みで始まったリアルレーシングの週末。公式練習では赤旗が2回出てスケジュールが乱れたものの、トップから0.5秒差の4位という好位置につけた。
気温34度というタフなコンディションで始まった予選Q1では、塚越選手がステアリングを握り、4位で突破。続くQ2では、GT500マシーンでこの日初めて鈴鹿を走り、まだ10周しか経験していなかった野村選手が、終了間際にトップタイムを記録。ついにポールポジションを獲得してみせたのだ。
パルクフェルメでマシーンを止めると、何度も拳を振り上げて喜びをあらわにする若干20歳の野村選手。普段は冷静な雰囲気の彼だが、この時ばかりは喜びが爆発したかたちだ。
「走る前はかなり緊張しましたが、走り出してみるとマシーンの仕上がりがとても良かったので、自信を持ってアタックできました」と野村選手。この予選では、HRCプレリュードGTが1位から4位までを独占。勢力図が変わりつつあることを印象づけた。
<決勝>次につながる2位、表彰台を獲得!
8月23日の決勝。快晴の空の下、鈴鹿サーキットを52周する300kmレースが幕を開けた。#17のスタートドライバーは野村選手。スタート直後から2位以下を引き離しにかかる。だが、GT300クラスの周回遅れが現れると、ベテランの野尻智紀選手が駆る#16 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GTが一気に追い上げてきた。
スーパーGTでは、レース距離の3分の1を消化するとピットインが可能になる。#17は18周目にいち早くピットインし、タイヤを交換。塚越選手が乗り込んでコースへ戻った。その5周後、先ほどまでバトルを繰り広げていた#16がピットアウトし、一時は塚越選手の前に出た。しかし、タイヤが温まらずペースが上がらない相手の隙を突き、塚越選手がこれをパス。ピットインを終えたマシーンのなかでトップを守った。
その後は塚越選手と佐藤蓮選手、つまりレース序盤と同じく#17と#16というプレリュードGT同士の激しいトップ争いが繰り返されることになった。
レースが動いたのは36周目。Astemoシケインで#16が追い抜きを仕掛けるが、塚越選手は抜き返して粘りを見せた。しかし、続く130Rで前方のGT300マシーンを処理する際、アウト側に出た#17に対し、#16がイン側を選択。ここでトップを奪われ、勝負が決した。
HRCプレリュードGTが表彰台を独占! そのなかで、Astemo REAL RACINGはついに2位表彰台を獲得した。しかし、レース後のチームには手放しで喜べない雰囲気が漂っていた。表彰台から戻ってきた塚越選手も、#16を最後まで抑えきれなかったことを悔しがっていた。
それでも、#17 Astemo HRC PRELUDE-GTのスピードに疑う余地はない。金石勝智監督も「この悔しさをばねにして、次の菅生のレースでは自分たちが優勝します!」と決意を新たにしていた。
スーパーGTはいよいよ後半戦へ
シーズン前半、レースごとに調子を上げてきたAstemo REAL RACING。今回の2位で18ポイントを追加。合計34ポイントとなり、チームランキングを6位に上げた。
上位チームとの差も小さく、ここからシリーズタイトルを狙うことも十分に可能な位置につけている。メーカーとチームが一丸となって目指す悲願のタイトル。シーズン後半の戦いが、ますます楽しみになった鈴鹿ラウンドだった。
GT500 CLASS – FINAL RESULT
| Pos. | No. | Car | Drivers | Laps | Gap | Tire | SW* |
| 1 | 16 | #16 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT | 野尻智紀 / 佐藤蓮 | 52 | Bridgestone | 26 | |
| 2 | 17 | Astemo HRC PRELUDE-GT | 塚越広大 / 野村勇斗 | 52 | 2.220 | Bridgestone | 18 |
| 3 | 8 | #8 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT | 太田格之進 / 大津弘樹 | 52 | 3.011 | Bridgestone | 32 |
| 4 | 23 | MOTUL Niterra Z | 千代勝正 / 高星明誠 | 52 | 3.500 | Bridgestone | 28 |
| 5 | 38 | KeePer CERUMO GR Supra | 大湯都史樹 / 小林利徠斗 | 52 | 3.850 | Bridgestone | 42 |
| 6 | 12 | TRS IMPUL with SDG Z | 平峰一貴 / ベルトラン・バゲット | 52 | 5.326 | Bridgestone | 30 |
| 7 | 24 | リアライズコーポレーション Z | 名取鉄平 / 三宅淳詞 | 52 | 7.928 | Bridgestone | 14 |
| 8 | 14 | ENEOS X PRIME GR Supra | 福住仁嶺 / 大嶋和也 | 52 | 8.830 | Bridgestone | 56 |
| 9 | 36 | au TOM’S GR Supra | 坪井翔 / 山下健太 | 52 | 9.070 | Bridgestone | 96 |
| 10 | 37 | Deloitte TOM’S GR Supra | 笹原右京 / ジュリアーノ・アレジ | 52 | 11.296 | Bridgestone | 22 |
| 11 | 100 | STANLEY HRC PRELUDE-GT | 山本尚貴 / 牧野任祐 | 52 | 13.005 | Bridgestone | 54 |
| 12 | 64 | Modulo HRC PRELUDE-GT | 大草りき / イゴール・オオムラ・フラガ | 52 | 50.341 | Dunlop | |
| 13 | 19 | WedsSport BANDOH GR Supra | 国本雄資 / 阪口晴南 | 50 | 2 Laps | Yokohama | 4 |
| – | 39 | DENSO KOBELCO SARD GR Supra | 関口雄飛 / サッシャ・フェネストラズ | 33 | 19 Laps | Bridgestone | 34 |
Weather: Sunny / Track: Dry
Fastest Lap No.19 Sena Sakaguchi / WedsSport BANDOH GR Supra 1’48.528 (40/50) 192.625 km/h
Start Time: 13:37’26 Finish Time: 15:24’26
FCY: ①14:07’26(16Laps)~14:10’33(17Laps) ②15:06’53(47Laps)~
SC: 15:08’13(47Laps)~SC先導によりチェッカー
Black and White Flag
CarNo.16 (14:53) (SUPER-GT SpR. 18-1「危険なドライブ行為」)
CarNo.8 (15:01) (SUPER-GT SpR. 付則-7 3.3)(10)「複数回の走路外走行」)
CarNo.37 ペナルティストップ 5秒 (SUPER-GT SpR.22-4.「エンジン交換」) (8/23 8:21)
CarNo.100 ペナルティストップ 5秒 (SUPER-GT SpR.22-4.「エンジン交換」) (8/22 11:15)
CarNo.64 Igor Omura Fraga 競技結果に40秒加算 (SUPER-GT SpR.13-1.a 付則-7 3.4)(1)「危険なドライブ行為」) (8/23 15:22)
サーキットの外でも、レースははじまっている。
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