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最終更新日:2017.04.18 公開日:2017.04.18

第7回:SMAPHO IN THE CASE IPX8をうたう1000円のスマホ用防水ソフトケースは本当に機能するのか!?

 おっす! 開梱デカこと大間啓(おおま・けい)だ。芝大門署のグッズ特別捜査班として、日々、グッズや小型家電、さらにはお菓子などの、「これは安いけど、本当に大丈夫なの? いいやつなの?」を調べているデカだ。

 ここ2回ほど、ヒドい目に遭ってきたので(以前の回はこちらから読んでくれ)、実はちょっとビビってる。しかし、上司である課長に「自称とはいえ、仮にもグッズ特別捜査班なんだから、たまにはグッズらしいグッズを調べましょうよ」と注文までつけられた上で急かされてるので、俺の専用オフィスで考えることにするぜ。

俺のオフィスは地下にあるせいなのか、照明をつけてもどういうわけか薄暗く感じるぜ。

 え? 倉庫にしか見えない? お前にはお似合いだ? うるせぇ! 余計なお世話だ!! いっとくけど、俺のオフィスは地下にあって、静かでいいんだ! 滅多に人も訪ねて来ないしよ。

スマホ防水ソフトケースなんてどうよ!?

 しかし、グッズらしいグッズか…。あ! この間、自宅で入浴しながらスマホをしてたら、うっかり落としそうになって、防水ケースをほしいと思ったんだった! どうよ、グッズらしいグッズだろ!?  しかも価格が安くて、アキバの某家電量販店で1000円ジャストだ!

こいつが今回調べるターゲットのスマホ用防水ソフトケースだ!

 というわけで、スマホ用防水ソフトケースを手に入れたのだが、まずは「脳内取り調べ」をしなくてはならない。脳内取り調べとは俺の特殊能力で、グッズなどを擬人化して頭の中で取り調べを行うという、すごい能力なんだぜ(ただの妄想って説もあるけどよ)。

 さて、こいつはどんなキャラだ? どれどれ? こいつはシースルーだよな。シースルーというと、何かアダルトな感じだが、それは以前にボツになって痛い目を見たぜ。その方向じゃなくて…むむむ! シースルーといえば透明なんだから、そうだ、そうだよ、光学迷彩(俺もこのとき使ったけど)! 光学迷彩といったら、あのSFアニメの元・女性軍人さんで、某9課に所属しているあの人だろ! CVは田中敦子さんで想像してみてくれ。

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戦う女性!? スジがビシっと入ってそうだぜ!

元・軍人さん(?)らしい気骨のありそうな女性だ!

「まずは、名前をいってみろ」
「『EXCASE 防水ケース』だ。私のことは『少佐』と呼んでいいぞ」
「どこの生まれだ?」
「アークインターナショナルだ。正確にはそこが日本の代理店で、生まれはCosa Koreaだ。」
「スペックは?」
「幅123mm×長さ207mm。重量約47g。材質はPVC(ポリ塩化ビニル)だ。ところで、私の何が問題なんだ?」
「いや、問題があるかどうか、これから調べるんだよ」

 PVCとは、浮き輪やビーチボールなどに使われているようなビニールのことをいうんだぜ。水に強そうだろ?

夏はいいよなー。海はいいよなー。でも、俺の人生に、ギャルと海に行ってビーチボールとかで遊んだ記憶なんてないぜ…。さらささんのイラストだ。

国際規格IPX8の最強防水性能!

「ところで、防水仕様はいくつなんだ」
「私はIPX8だ。私はきちんと国際規格の試験に合格しているぞ」

 俺はすぐさま外部補助脳(またの名をインターネット検索)を使って「IPX8」とは何かを調べてみた。

 すると、「国際電気標準会議IEC」が定める国際規格「IEC60529」、及び同規格と整合性のある日本工業規格「JIS C 0920」に基づいた、電気機械器具類の防水・防塵機能を表すもののようだ。少佐の場合、中に入れた機器に防水機能を持たせられるということだろう。

 通常、防塵が0~6、防水が0~8までの等級があり、両方をテストしている場合はIP68という具合で2桁数字で表される。等級は0が無保護で、数字が大きいほど高性能だ。なお、IPX8の「X」は防塵テストをしていないという意味である。

 防水8の条件は、「潜水状態での使用に対して保護されており、7より厳しい条件の中で使用するもの(試験環境は協議により決定)」となっている。

「私がパスしたテストは、水深10mで3時間というものだぞ」

 何!? なんてキツいテストをパスしてるんだ! 水は10mで1気圧だから、大気圧と足して2気圧の状況下で3時間、浸水なしでいられるということか。これは風呂どころか、海での素潜りぐらいなら携帯しても問題がなさそうだ。

夏はいいよなー。海はいいよなー。俺も南の島の海とかに潜ってみたいもんだぜ。でも、そんな楽しい経験も今後の予定もないぜ。

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どうやって防水機能を持たせているのかに迫るぜ!

その防水の仕組みは?

 実験をする前に、まずはどうやって防水を実現しているのか、そのケースの構造を見てみるぜ。

この入口をどうふさぐかが、防水のポイントとなるのはいうまでもない。防水性が低いのは問題外だが、密閉性を追求し過ぎた結果、あまりにも出し入れがしづらい構造になってしまうのも使い勝手の面からよろしくない。開発者の実力が問われるところだろう。

 いうまでもないが、ケースはスマホを出し入れするための口が最も浸水しやすい場所でもある。それを防ぐ仕組みがしっかりしていないと防水機能があるとはいえない。

 浸水を防ぐ仕組みは、まず入り口のジッパーだ。ここを閉じた後、クルクルと巻いてたたむ。そして内側の面ファスナー(いわゆるマジックテープ)を閉じてしっかりと固定。最後に、その上に覆うように外側の面ファスナーをとじることで密封完了だ。この4段階で浸水を防いでいるのである。

4段階の仕組みでもって水の侵入を防いでいるぜ。(1)ジッパーを閉じる。(2)クルクルと巻く。(3)内側の面ファスナーを閉じる。(4)外側の面ファスナーを閉じる、という具合だ。

まずは底の浅い”たらい”からダイブ実験だ!

 それでは、早速実験だ。ただし、いきなりスマホで試すのは怖いので、まずはロールペーパーを入れてみる。そして、底の浅いたらいに水を張って、その底に沈めてみるぜ。

 深さ14cmほど、容量15Lというたらいに9割程度まで水を張る。大気圧+水圧は、1.01気圧ってところだな。ひとまず30秒底に沈めてみよう。

「少佐、準備はいいか?」
「問題ない。いつでも構わん。やってくれ」

まずはたらいの底に30秒沈めてみる。浮いてしまうので、手で押さえて底に沈めた。

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はたして、ロールペーパーは!?

たらいの底に沈めてみた結果は!?

たらいの底から取り出した少佐。中のロールペーパーは濡れてないように見える。

外側の面ファスナーをめくったら、中は結構濡れている。取り出すときに濡れてしまいそうなので、よく拭く必要がある。

ロールペーパーを取り出してみた。この通り、まったく濡れていない!

 見事だ。さすがはプロフェッショナル感あふれる受け答えをするだけあるぜ!

続いては、倍ぐらいの深さのバケツで試してみる!

 今度は容量は10Lのバケツだ。深さはおおよそ27cm。こちらも水を9割程度まで入れることにする。大気圧+水圧は1.025気圧ってところだな。

「さぁ、潜ってもらうぜ、少佐!」
「承知した」

今度はバケツの底に同じく30秒沈めてみた。ロールペーパーの運命は?

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はたして、バケツの底からも無事帰還できるのか!?

バケツの底も余裕でクリアだ!

やはり全然濡れてないぜ! やるな、少佐。

 バケツの底でもまったく問題なしだ。やるな、少佐。見事じゃねーか。

いよいよスマホで実験だ!

 バケツの底もクリアしたので、いよいよスマホで実験だ。だが、さすがに俺のを使うのは不安なので、まずは壊れたスマホを使う。割れてタッチスクリーンは機能しないが、電源だけは入る。もちろんこのスマホ自体に防水機能はないから、少佐の中に浸水があったら間違いなく壊れるだろう。

割れスマホをケースに入れたところ。

 たらいはすっ飛ばして、最初からバケツに沈めてみるぜ! スマホ程度では浮いてしまうので、手で押さえる必要がある。

早速バケツの底へ直行だ! この通り、入れた直後はちゃんと電源が入ってるぜ!

バケツの底からも無事に生還したぜ! この通り、電源も入るぜ。

 ついにスマホでもOKなことが確認された。見事だぜ、少佐! こうなったら、実際に風呂で試してみるぜ!!

「よし、10mの底は無理だが、今度は風呂の底に挑戦してみようじゃないか」
「よしやってみよう。余裕だがな」

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実際に風呂に沈めてみるぜ!

実際に風呂に水を張ってその底に沈めてみるぜ!

 俺は、親類の古い一軒家に足を運んだ。誰も住んでいない空き家なので、実験にもってこいだぜ。バスタブに60センチほどの深さで水を張るぜ。ケースにかかる大気圧+水圧は、およそ1.06気圧だな。

給湯システムが古いので、お湯は蛇口から出して張るタイプのバスタブなんだぜ。

この通り、少佐にスマホを抱えたまま風呂の底に沈んでもらったぜ! 水なのでちょっと冷たかったがな。

ケースから取り出しても、この通り、壊れてないぜ!

だったら、実際に入浴中に使ってみよう!

 しかし、本当に弱点はないのだろうか? そこで、俺は実際にしばらくの間、自分のスマホを少佐の中に入れて風呂で使ってみることにした。

 俺のスマホは、本来は長さが14cm、幅が7cm、厚みが0.7cmってところ。しかし、手帳型の衝撃吸収用ケースに貼り付けて使用しているので、長さが14.5cm、幅が7.5cm、厚みが1.5cmになっている。このサイズだと、少佐の中に入れるのに少し手間取る。ちょっと無理に入れる感じだ。少佐のサイズがもう少し大きければよかったと思うところである。

手帳型衝撃吸収用ケースをつけたままだと、少しばかり無理矢理押し込む感じできつめ。もう少し少佐のサイズが大きいといいのだが…。

この通り、出し入れ口さえ通ってしまえば、中が窮屈ということはない。

 あと、スクリーンへのタッチは問題ないのだが、事前にどれだけ空気を押し出しておいても、入浴中だと温められて中の空気が膨らんでしまうのだけは避けられない。そのため、入浴では徐々に正確なタッチがしづらくなってくるのがわかった。特に両脇が正確に押しづらくなるのだ。

 しかし、使い込んだ結果、もっと大きな弱点があることがわかってきた…!

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本当の弱点は別の所にあった!

防水機能を低減させてしまう大きな弱点!

 さらに、俺は念には念を入れて、実はこの第7回に備え、2016年の11月末ぐらいから、ずっと少佐を自宅で入浴しながら使っていたのだ(毎晩、大好きなパズルゲームをやってるぜ)! 

 そしてなんと、スマホを少し無理して入れていたのがアダとなり、両脇が破れてしまった! 以後、この破けた方を少佐オールドとするぜ。

この通り、サイズ的に少し大きめのスマホを入れ続けていたら、両脇が破けてしまった!

この状態で水没させると…!?

 少佐オールドは見ただけで、防水機能が大きく低下しているのが予想できるが、実際にテストしてみよう。

破けたスマホケースにロールペーパーを入れて試してみたら…。たらいの底であっという間に浸水! ロールペーパーが濡れて色が変わっていく!

ビショビショのロールペーパー! というか、中に水が溜まっている!

 予想通り浸水した! 少佐オールドのように破れた状態になってしまったら、完全に水没させるのはもちろん、水面に落としてしまってもアウトということだ!!

 ただし、ケースの下側は別に問題ないので、少しだけ浸けてしまう程度なら問題はない。現に、俺はこの破れた少佐オールドをずっと使っていて、たまにウトウトしてポチャっと浸けてしまうが、スマホが壊れるような事態には陥っていない。

 つまり、少佐は使えるってことだと思うのだが、どうだろうか。

いけねぇ、忘れていたぜ!

 しかし、何か忘れているな…と思ったら、そうだ! オチのための仕込みをすることだった!! 何にも伏線を張ってこなかった! さすがに今のスマホを水に浸けて壊すとかイヤだしよ…。

 まぁでも、マジメにレポートしたんだから、たまにはこんな何のオチもない平穏な時があってもいいよな? こんな時は、ブラインドに指で隙間を作って夕陽を見ながら、オフィスに秘蔵しているブランデーを勤務中に大胆に飲むという、「石○裕○郎の藤○係長&小○課長ミックス」に限るぜ。でも、俺は下戸だから、ブランデーの代わりに麦茶なんだけどな。

都会に沈む夕陽だぜ。Welyn Libo-onさん、サンキュー!

芝大門署、グッズ特別捜査班、そして登場人物はすべてフィクションです。
アークインターナショナル、EXCASE 防水ケースは実在する企業とそこから発売されている実在の商品です。

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