【東京キャンピングカーショー2017】やっぱりデカいのが好き!
「東京キャンピングカーショー2017」のレポート第4弾。今回は、最高峰の「フルコンバージョン(フルコン)」やマイクロバスベースの「バスコンバージョン(バスコン)」など、もはや自宅がいらないのではないかと思うほどの大型車をピックアップしてお届けだ。
ナッツRVの「ボーダーバンクス エボリューション type L」。トヨタのマイクロバス「コースター ビッグバン LX」のハイルーフ標準ボディがベース車。
大型キャンピングカーにはどんな車種があるの?
まずは大型カテゴリーについて軽く解説しよう。
フルコンは最上級カテゴリーであり、欧州でも同様に呼ばれている。北米では「クラスA」といわれる。ただし、ベースとなるような大型車両を国内メーカーが販売していないため、純日本製のフルコンはない。その関係もあって、その下に日本独自のカテゴリーとして「セミフルコンバージョン(セミフルコン)」が設けられている。
フルコンのベース車両としては、フィアットの大型バン「デュカト」(中でも最大サイズのグレード)が大きなシェアを占める。そのほか欧州ではメルセデス・ベンツの業務用バン「スプリンター319」が選ばれることもあるし、米国では救急車や消防車などの特殊車両用ストリップシャシー(キャビンの後方にむき出しのシャシーがある)であるフォードの大型車「E-450」がベース車として選ばれることも多い。
今回はセミフルコンもなかったため、純国産ではマイクロバスをベースとしているバスコンが最大サイズ。以上の3種類と比べると若干小柄になるが、それでもクルマとしては十分大型のトラックベースのキャブコンもある(キャブコンはまた別記事で紹介)。
もし8種類のカテゴリーについてもう少し詳しく知りたい方は、『キャンピングカー 種類別徹底解説』もご覧いただきたい。
(左上)フィアット「デュカト」。全長が複数種類あり、最長のものがフルコンには選ばれることが多い。(右上)メルセデス・ベンツ「スプリンター319」。こちらもフルコンなど大型キャンピングカーのベースとなることが多い。(左下)フォード「E-450」2018年式のストリップシャシー。本来はキャビン(運転席)が装備されている。むき出しのシャシーに目的に合わせた架装を施し、特殊車両を完成させる。(右下)トヨタ「コースター ビッグバン」。ほかの3車種はどれもフルコンにも使われるベース車だが、こちらはバスコンのベース車。
走る住居・フルコン!
ベッドや各種家電、収納スペースなどなど、もうできるかぎりの装備を施したという、走る住居ともいうべき最高峰のキャンピングカーがフルコンだ。車両価格もかなり高めで、ちょっとした中古マンションが買えそうな価格である。
今回展示されたフルコンは、フィアット「デュカト」をベースの輸入車2台だ。
SONIC SUPREME I 710 SL(ADRIA)/デルタリンク
デルタリンクが展示していた輸入フルコンが、スロベニアのメーカーのADRIA社製「SONIC SUPREME I 710 SL」。
同車のサイズは全長7520×全幅2320×全高2960mm。車両価格は1358万円(税別)からだ。
第1~3弾で紹介してきた軽キャンパーやバンコンとは車内の広さが一回り違う。さらに、スペース的に余裕があるから、標準装備の家電の種類も豊富で、冷蔵庫も容積が175Lと大型を装備している。
デルタリンクが正規輸入代理店を務めるADRIA製「SONIC SUPREME I 710 SL」。横幅が2.3mあるため、日本の街中ではかなり運転に気を遣うことになるはず。乗車定員は5人、就寝定員は大人4人+子ども1人。展示車両はオプションで右ハンドル車となっている。
SONIC SUPREME I 710 SLの車内。かなり上質な作りとなっているのがわかる。展示車両の価格は、1402万9000円(税別)。
グローブバスGT I1(デスレフ)/東和モータース販売
ドイツはキャンピングカーの本場のひとつ。「グローブバスGT I1」は、そんな同国の大手ビルダーであるデスレフ社製で、東和モータース販売が正規輸入代理店を務める。
同車のサイズは全長5990×全幅2190×全高2810mm。デュカトの小柄グレードをベースとしており、車両価格は1140万円(税別)からだ。
東和モータース販売が正規輸入代理店として販売している、独デスレフ製「グローブバスGT I1」。給水タンク114L、排水タンク90L、3バーナーコンロ、シンク、温水ボイラーカセットトイレ、プルダウンベッドなどなどを標準装備。
グローブバスGT I1の車内。展示車両はオプションが追加されていないため、そのまま1140万円(税別)。
マイクロバスをベースにした大型キャンピングカー・バスコン
純国産では、フルコンに準じる「セミフルコン」が最高峰とされているが、サイズ的には引けを取らないのがマイクロバスベースのバスコンだ。2016年に約四半世紀ぶりにトヨタ「コースター」がフルモデルチェンジしたことから、バスコンのベース車として有望視されており、チョイスするビルダーが増えているようだ。
コースターのサイズは、全長6225(標準ボディ)もしくは6990(ロングボディ)×全幅2080×全高2630~2635mm。車両価格は、今回出展されていた2台がベース車としていたグレード「BIG VAN」は619万3800円(税込)となっている。
ボーダーバンクス エボリューション type L/ナッツRV
現在のキャンピングカーは、家電をどれだけ装備できるか、そしてどれだけ自宅のようにできるかが勝負になってきていて、そのためにソーラーパネルやバッテリー、各種充電システムの強化に力を入れるビルダーが増えてきている。ボーダーバンクス エボリューション type Lは、急速充電「EVOシステム」を大きな特色としており、アイドリングをしていれば家庭用エアコンも利用可能だという。
このバッテリーと充電関連については、「断熱」と合わせて、2017年のキャンピングカーのトレンドとして、また後ほど別記事でお伝えしたい。
ナッツRVの「ボーダーバンクス エボリューション type L」。独自開発の急速充電「EVOシステム」を搭載し、家庭用エアコンまで難なく使えるようになった。(展示)車両価格は1226万5300円(税別)。
入り口付近から車両後部を撮影。手前がシンクで、奥には2段ベッドがある。その左側がトイレ兼シャワールーム。入り口の正面にはロングソファーなどがあり、左手の運転席に近い天井には、子どもが3人寝られるほどの広さのバンクベッドなどがある。
BIG VAN 620/トイファクトリー
2月のジャパンキャンピングカーショー2017で開発中であることが発表された「BIG VAN 620」。こちらもコースター ビッグバンがベース車両だ。だいぶ内部がキャンピングカーらしくなってきたが、完成はしていないようで、今回は参考出品だった。
内部はベッドやシンク、ソファーなどが見て取れたが、具体的な装備内容は公表されておらず、次の機会とるようだ。
トイファクトリー「BIG VAN 620」。現状で、バンクベッドを設けるといった外見が大きく変化するような架装はされていない。
BIG VAN 620の車内。車両後部側に2段ベッドがあり、画像右手にシンクがある。ベッドの手前にあるのはトイレ用スペース。
2017年8月4日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)
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