正月三が日の参拝は何日の何時なら混雑が少ないか傾向が判明
インテージは12月27日、ドコモ・インサイトマーケティング提供の「モバイル空間統計」データを用いて、2016年1月1~3日の正月三が日における明治神宮並びに浅草寺周辺の両エリアの来訪者の傾向分析に関して発表を行った。
調査エリアは、明治神宮近辺は1km四方で、浅草寺近辺は500m×1kmの南北に長い長方形となっている。なおモバイル空間統計では、両エリアの来訪者の内、どれだけの割合が参拝客であるのかまでは調べられないが、位置情報データから来訪者の傾向を推計することは可能だ。
今回の調査対象となったエリア。左が明治神宮周辺エリアで、右が浅草寺周辺エリア。
ちなみにモバイル空間統計とは、ドコモの携帯電話ネットワークを利用した、人口統計情報提供サービスだ。
同携帯電話ネットワークは、基地局エリアごとに所在する携帯電話を周期的に把握しており、その仕組みを利用することで携帯電話の台数を集計することが可能だ。そうして得た台数にドコモの普及率を加味することで、人口を推計している。地域ごとの人口分布のほか、性別・年齢層別・居住地エリア別の人口構成などを知ることが可能だという。
ピークは3日間とも14~15時
2016年の正月三が日72時間の1時間ごとの両エリア合計の人出チャート(画像をクリックすれば大きな画像が開きます)。
2016年の正月三が日の両エリアの人出については、上のチャートの通りだ。8時以降に来訪者が増え始め、午前中よりも午後の方が多く、ピークは14時~15時であることが確認できる。また日ごとに見てみると、ピーク時の人数は元日よりも2日、2日よりも3日の方が多い。
これは、「元日はのんびりしたい」、「朝早くから出かけたくない」、「あまり帰りが遅くなるのは嫌」といった、誰もが納得がいくであろう人の心理に多数が従った結果といえそうだ。
逆に最も空いている時間帯は、元日から2日および2日から3日にかけての深夜から早朝、ということになる。同じ時間帯でも、大みそかから元日にかけては来訪者が多い。これは、大みそかに夜遅くまで起きていて、そのまま深夜の内に初詣に出かけるという人が多いことが理由だろう。また、近年は大みそかから元旦にかけては終夜運転している公共交通が多いことから、出かけやすいというのも理由のひとつのはずだ。
つまり、とにかく来訪者が少ない日時ということなら、2日、3日の始発が動き出す辺りから7時頃という時間帯になる。混雑するのがいやだけど参拝はしたいという方は、2日もしくは3日の早朝に早起きして、始発で出かけてみてはいかがだろうか。
若者は明治神宮へ・50代以上は浅草寺へ
3日14~17時台での来訪者の年代別構成。明治神宮は浅草寺よりも若者が多く、逆に浅草寺は明治神宮よりも50代以上が多いことがわかる。
さらに、来訪者数のピークとなった3日14~17時台を対象とした、来訪者の年代比較も行われた。すると、30~40代の構成比は両エリアともほぼ同じだったが、明治神宮は10~20代の若年層が10ポイント高く、逆に浅草寺は50代以上が10ポイント高いことが確認された。
明治神宮は原宿のほか、新宿や渋谷など、近隣に若者向けの繁華街が近いことなども影響しており、イメージ的に若者向けが強いものと思われる。一方、浅草も若者が遊べないというわけではないが、どちらかというと年配の方でも楽しみやすい街ということが影響している者と考えられる。
来訪者の居住地も確認できる
3日14~17時台での来訪者の居住地別構成。明治神宮は浅草寺と比較して東京都下や神奈川が多い。浅草寺は逆に埼玉、千葉、そして1都3県以外が多い。
そのほか、来訪者の居住地に関しては、明治神宮は東京23区外や神奈川県から、浅草寺は千葉県や埼玉県、さらには1都3県以外からの来訪者が比較的多い傾向にあることもわかっている。これは、居住地からのアクセスのしやすさが影響していると考えられるという。
明治神宮に関しては、東京メトロの明治神宮駅を通る千代田線が小田急と相互乗り入れしているほか、JRの最寄り駅である山手線の原宿駅は、東京23区外と都心を結ぶ中央線から新宿で乗り換えて2駅といった点が影響している、ものと予想される。
また浅草寺の最寄り駅である浅草駅は、東武スカイツリーライン(伊勢崎線)の始発駅であると同時に、都営地下鉄浅草線も通る(そのほか東京メトロ銀座線の始発駅でもある)。東武スカイツリーラインは埼玉県の東部を縦断して群馬や栃木まで延びており、都営浅草線は千葉方面を走る京成(押上)線と直通運転しているという具合だ。
今回の調査結果から、人出に関しては人間心理として納得できるところがあり、全国どこの神社やお寺でも当てはまる確率が高いと思われる。端的にいえば、「みんなが行きたがらない時間帯」を選べば混雑に遭遇しにくいということであり、2017年の参拝の参考にしてみてはいかがだろうか。
2016年12月28日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)