【東京MF2016】日産「ニューモビリティコンセプト」に乗ってみた
東京モーターフェス2016の試乗コースを走行する日産「ニューモビリティコンセプト」。
10月8日(土)から10日(月・祝)までの3日間にわたり、お台場で開催された「東京モーターフェス2016(TMF16)」。国内外の2輪・4輪メーカーが集い、最新車両やコンセプトカーを展示したほか、アトラクション要素を加味したものも含めたさまざまな試乗、最新のVR系の体験コーナーなども用意された。
試乗に関しては、最新市販車のほか(記事はこちら「【東京MF&みんモー2016】スーパーカーも走った! NSXにも乗ってみた!」)、日産「ニューモビリティコンセプト」(NMC)やトヨタ「i-ROAD」などの超小型モビリティ(マイクロEV)、トヨタ「Winglet」やホンダ「UNI-CUB β」などのパーソナルモビリティの試乗も行われた。
i-ROADに関するドライビングレポートは「グリップしながらドリフト感覚。不思議な「i-ROAD」が街を走る!」でお伝えした通り。今回はNMCに乗ってみたので、その特徴や感想などをお伝えしたい。
国内を中心に約150台が導入されているNMC!
横浜の日産グローバル本社ギャラリーにて撮影。おおよそ1月に1日ぐらい休みの日があるが、毎週金土日および祝日は、試乗会を実施中。
NMCは、国土交通省による超小型モビリティ導入制度を活用し、日産が2013年頃より実証実験をスタートさせた1台。これまで約150台が導入されており、実証実験レベルの新カテゴリーの車両としては非常に多い生産台数になるだろう。
スペックは以下の通りだ。
サイズ(mm):全長2340×全幅1230×全高1450
乗車定員:前後2人
最高速度:約80km/h
車重:470kg(ドア無)/500kg(ドア付)
出力:定格8kW/最高15kW
航続距離:約100km
最小回転半径:3.4m
充電方法:普通充電200V/フル充電約4時間
バッテリー:リチウムイオン電池
発売時期/販売価格/税金/適合車両カテゴリー/免許制度:未定
NMCの車内。操作は普通車と同じ。ナビやオーディオなどはないため、左側のホルスターに搭乗者自身のスマホを取り付けて利用する形になる。
「チョイモビ ヨコハマ」など実証実験実は20回以上実施
米国でのスクーターシェアリング事業「SCOOT NETWORK」のNMC。ボディーカラーは赤。10台が導入された。
これまでNMCを用いた実証実験は、横浜市と日産が協働した「ヨコハマ モビリティプロジェクト」の一環による、ワンウェイ型(別のカーステーションへの乗り捨てが可能な乗り方)のカーシェアリングサービス「チョイモビ ヨコハマ」など、全国20か所以上で行われてきた。
なお一般販売されない理由は、超小型モビリティそのものが現在の法律で当てはまるカテゴリーがなく、厳密には一般道を走行できないからだ。
しかし、現在は国土交通省が導入を進めており、地方行政が許可すれば、公共交通として一般道でのみ利用できるようになった。2013年10月から2015年9月まで合計2年間行われた「チョイモビ ヨコハマ」も、横浜市がかかわっているからこそ可能となった実証実験である(そのため、横浜市街では走行できない)。
ちなみにチョイモビ ヨコハマでは最大70台が導入され、実証実験としては非常に規模の大きいものとなった。
有効性を実証して社会的な気運を高め、超小型モビリティの法整備を促したいということも狙いの一つとして、実証実験が行われているのである。
ドアは上へ持ち上がる形なので、横方向にスペースのない場所でも乗降しやすい。
早速NMCに乗ってみた!
TMF16の試乗コースを走るNMCを正面から。横浜の「わ」ナンバーのプレートであることから、チョイモビ ヨコハマで使用されていた1台と思われる。
今回のNMCの運転に関しては、普通自動車運転免許が必要で、ヘルメットを被る必要はなかった。
TMF16の試乗では、乗車前に簡単な講習を受け、あとは後席にスタッフが同乗するので、走りながら運転に関するレクチャーを受けたり、NMCの特徴を説明してもらったりする形で試乗が行われ、特に問題なくドライブできた。
NMCはEVなので、いうまでもなくモーター駆動の関係でスタート時のトルクが大きい。そこで、NMCではスタート時に急発進してしまわないための対策として、発進時のみアクセルの反応がダイレクトではない仕様になっている。ただし、走り出したら普通に反応するのはいうまでもない。
コーナーではあまりインを走るべからず
時速は80kmまで出せるので、コンパクトなコースできびきびとした走りでタイムを競うような、モータースポーツ的な楽しみ方もできそうである。
NMCは全長がわずか2340mmしかなく、軽自動車と比べてもさらに1mほど短いので、細くて複雑に曲がりくねった道も得意としているが、コーナリングはちょっと注意が必要だ。
実は後輪が外側に位置しているため、普通のクルマと同じようなイメージでラインを描いてしまうと、それよりも内側を通っていくのだ。よって、あまりギリギリを抜けようとするとこすってしまう危険性があるため、ちょっと遅めの感覚でステアリングを切り出すのがいいというわけだ。
ただし実際に乗ってみると、後輪がコーナーの内側を通るといってもわずかなようなので、あくまでもギリギリを通らないようにすれば問題ないようだった。
NMCは誰でも乗りやすい
それでは、NMCの走る様子を動画で見ていただこう。とてもなめらかな感じだ。ボディーが小さくて取り扱いやすいことから、極端な話、子どもでも難なく扱えそうである。また、あまりクルマと明らかに異なるような特徴的な挙動はなかった。
TMF16でのNMCの試乗デモの様子。EVらしく、なめらかで静かな走りを見てもらえるはずだ。
EVだから静かで前後で会話しやすい
これまたEVなので当たり前の話だが、エンジン音がなくて車内がとても静かなので前後席での会話がしやすい。EVに乗ると、エンジン車ってなんてうるさかったんだろうと思ってしまう。後席のスタッフの説明も普通に聞き取ることができた。友人や家族、カップルなどで乗って観光地巡りをするような場合、この会話をしやすいというのはポイントだろう。
後席はチャイルドシートは装着できないため、6才未満は乗れない。逆に体格的に大きな方は、取材した記者は180cm以上あるが、乗り込む際も前席を最大限前にスライドさせてしまえばかなりスペースができるため、普通に乗り込める。座ってみて、それほど窮屈さはない。
規模は縮小したが横浜でレンタカーサービス実施中
ワイパーもあるので雨の日でも走行しやすいが、窓がないタイプもあるので、風が強いと横から雨が吹き込んでくる可能性もある。
NMCは現在、大規模実証実験のチョイモビ ヨコハマは終了しているが、規模を縮小して合計10台のNMCを用いて、横浜地区限定のEVレンタカーサービスとして運営中だ。1時間単位で最大12時間まで借りることが可能だ。
料金は1時間ごとに1080円(税込)となっている。8時間以上は8640円(税込)で固定となる。
実証実験時のように乗り捨てはできないが、全25か所のカーステーションが用意されている。一部を除いてNMC専用となっており、なおかつ一部は時間制限があるが基本的には無料の駐車スペースとして利用可能だ。
なお、NMCを借りられるのは日産グローバル本社ギャラリーと、日産レンタカーみなとみらい店の2か所。日産レンタカー関内駅前店は返却のみ可能だ。
実際にレンタルする際は、初めての方は、日産グローバル本社ギャラリーでまず試乗を行い、「安全運転講習受領証」を発行してもらう必要がある(試乗は、毎週金土日および祝日のみ実施)。なお、レンタル自体は平日でも可能だが、要事前予約となっているので、詳しくは公式サイトをご覧いただきたい。
2016年10月28日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)
フォトアルバム
●日産「ニューモビリティーコンセプト(NMC)」(サイズ900×600:全32点)
関連記事
●【東京MF&みんモー2016】スーパーカーも走った! NSXにも乗ってみた!
●【動画】日産の自動運転技術がイスに! 行列での自動移動が可能な「プロパイロットチェア」に座ってみた
●【CEATEC2016特集】ホンダ、マイクロEV「MC-β」ベースのオープンイノベーションモデルを提案
●地上を走る戦闘機! 日産「ブレードグライダー」がリオ五輪に登場
●グリップしながらドリフト感覚。不思議な「i-ROAD」が街を走る!
外部リンク