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最終更新日:2018.03.02 公開日:2018.03.02

フォグライト、先進のヘッドライトDRL、パッシング。菰田潔の合図の話

勘違いされやすい合図にパッシングがある。「お先にどうぞ」という意味にとらええるドライバーもいれば、「出てくるな」と解釈するドライバーもいる。このとらえられ方の違いに危険が潜んでいる。

菰田潔

前回は、ヘッドライトそのものについての解説だったが、今回はライト周りの機能について考えてみたい。

DRL(デイタイム・ランニング・ライト)

 日本でも2016年に保安基準が改正、認可されたことで標準装備する新型車も増えてきたが、欧州ではすでに広まっているのがDRLだ。このところ高級車を中心に、昼間からフロントライトをつけて走る車を多く見かけるようになった。ずいぶん前からタクシーやトラックなどに装着されていたような、紫や緑に光る無骨なアクセサリーランプのことではない。上の写真のような、スタイリッシュなLEDライトの、けっこう目立つアレだ。

 ライトスイッチをAUTOに合わせておけば、ヘッドライトの周囲にあるDRLが点灯して、昼間の明るいところでも前方のクルマや人に存在をアピールする。このときにはテールランプは点灯しない。あくまでもこれから走っていく進行方向に向かって光ることでアピールする。

 そして暗くなると自動的にヘッドライトが点灯する。これは従来のAUTOのスイッチと同じ機能である。トンネルに入るとか地下駐車場などでも自動点灯する。

 最新のDRLの機能としては、ライトスイッチをオフにしても、エンジンをかければDRLの明るさのライトが点くようになっている。つまりクルマの走行中はライトを消灯して走ろうと思っても走れないようになるのが新しいDRLである。そして2020年4月以降順次このDRLが日本車にも標準化されるようになる。

フォグライト

 フォグライトは光が拡散するので眩しい。目立つかもしれないが、対向車や先行車がいるところでは点けない方がいい。

 日本ではアクセサリーランプのような感覚でフォグライトを点灯するが、ドイツでは雨が降ってもいないのにフォグライトを点灯して走っているとパトロールカーに止められ、罰金を取られることになる。

 これはリヤフォグライトでも同様だ。日本車にはリヤフォグライトが装備されているクルマが少ないから、付いているクルマに乗ったときには間違わないようにしなくてはならない。計器盤の中にオレンジ色のフォグライトのマークが点灯していたら、後続車のドライバーはリアフォグによって眩しい状態になっている。これも雨天や霧が出ていない状況で点けてはいけない。逆に言えば、霧で見通しが悪いときには点灯してもらいたい。

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パッシングって有効?

パッシングライト

 この言葉どおりに訳すと「追い越し用ライト」ということになるが、「ヘッドライトホーン」という言い方のほうがわかりやすいだろう。

 高速道路ではホーンを鳴らしても届きにくい遠いクルマに知らせることができるのがパッシングライトだ。ウインカーレバーを手前に引くと引いているときだけハイビームが点灯する。

 これを周囲のクルマを急かすためには使わない方がいい。イケイケ!とかドケドケ!と威嚇する感じで使うのは下品だ。

 また交差点で右折待ちしているクルマに対してパッシングするのも良くない。ピカピカッとパッシングすることで、右折待ちのクルマはどう考えるか。「直進するから出てこないで!」 という意味なのか、「先に右折していいよ!」 と譲ってくれたのか判断は難しい。意味が逆に捉えられたら危険でもある。

自車横にすり抜けしそうなバイクがいるときに右折待ちの対向車にパッシングするのは、事故を誘発する可能性が高くなる

 加えて、対向車線の右折待ちの車に譲るつもりでパッシングして、右折車が右折するときにも、脇からバイクがすり抜けてきてぶつかるケースもある。譲るのなら前を大きく空けてあげて、横からバイクが行ってもわかるようにしてあげる方がお互いに安全に走れる。パッシングしたことで右折車に対して早く行けと急かすことにもつながるから、これも事故の元になるからやらない方がいい。

(その3へ続く、近日公開予定)

2018年3月2日(モータージャーナリスト 菰田潔)

菰田潔(こもだきよし):モータージャーナリスト。1950年生まれ。 タイヤテストドライバーなどを経て、1984年から現職。日本自動車ジャーナリスト協会会長 / 一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)交通安全・環境委員会 委員 / 警察庁 運転免許課懇談会委員 / 国土交通省 道路局環境安全課 検討会 委員 / BMW Driving Experienceチーフインストラクター / 運送会社など企業向けの実践的なエコドライブ講習、安全運転講習、教習所の教官の教育なども行う。

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