ギャラリー: 勝手に治るコンクリート!? 「バジリスク」が日本のインフラを救う!
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デザイン=宮腰 美希

■アルカリ耐性を持つバクテリア 多くの微生物にとって、pH値は7~8(中性・弱アルカリ性)が最適値で、その数値を超える環境では増殖が難しくなるが、特殊培養によってコーティングされたバジリスクは、pH12~13(強アルカリ性)という環境でも生存できる。

1.Basiliskを生コンクリートと混ぜる ポリ乳酸は生コンクリートと一緒に撹拌される際、水やアルカリ成分により少しずつ分解され、バクテリアの栄養となる「乳酸カルシウム」に変化。

2.硬化後のコンクリートにひび割れが発生 コンクリートは経年劣化や衝撃などにより、コンクリートにひび割れが発生すると、亀裂から酸素や雨水が浸入する。

3.バクテリアが目覚めるきっかけ 水と酸素が亀裂から侵入することでコンクリートのpH値が8~10に低下すると、バクテリアが活発化。

4.ひび割れの表面でバクテリアが増殖 バクテリアは乳酸カルシウムを食べながら、次々と分裂して増殖していく。ひび割れ位置から遠く、pH値が12~13のコンクリート内にいるバクテリアは、眠ったままの状態。

5.バクテリアの代謝活動による治癒 乳酸カルシウムと酸素を摂取したバクテリアは、炭酸カルシウムと炭酸ガス(二酸化炭素)を同時に排出。排出した炭酸ガスと、コンクリートから溶け出した水酸化カルシウムがくっつくことで、こちらも炭酸カルシウムとなり、つぎつぎと隙間を埋めていく。

6.再び眠り、次に備えるバクテリア 隙間が完全に埋まると酸素と水が遮断されるため、バクテリアは再び休眠状態に。眠りについたバクテリアは約200年間も生存し続ける。

バジリスクと従来のコンクリートとの、時間経過における維持コストとCO2排出量の対比図。

クラックが入ったコンクリートが、バクテリアによって自己治癒している様子。1mm以下の亀裂は最短、約2週間で隙間が埋まる。
