天ぷらナンバーとは何?見分け方や罰則はあるの?
「天ぷらナンバー」と呼ばれる、クルマのナンバープレートのことをご存じだろうか。盗難車や車検切れのクルマなど、概して違法なクルマにおいて使われるナンバーだという。一体どんなモノで、なぜ天ぷらと呼ばれるのか調べてみた。
天ぷらナンバーとは?
クルマで公道を走行する際に、必ず装着しなければいけないナンバープレート。クルマの身分証ともいえるほど重要な役割があり、記載された自動車登録番号からは、車の管轄地域や所有者など、クルマを識別するための情報を知ることができる。そんなナンバープレートに「天ぷらナンバー」と呼ばれるものがあるのをご存じだろうか。
「天ぷらナンバー」とは、他人が廃車にしてナンバープレートを返却していないクルマや盗難車などからナンバープレートを拝借。別のクルマに取り付けて、あたかも正規の登録車であるかのように振舞うための偽造ナンバープレートのこと。
犯罪者が盗難車を運搬する場合や、車検切れのクルマで走行する場合に使用されることが多い。ナンバープレートを装着せずに公道を走行すると、悪目立ちしてしまうため、他のクルマのナンバーを装着することで、カモフラージュする目的がある。
なぜ”天ぷら”ナンバーと呼ばれるの?
天ぷらとは似ても似つかない偽造ナンバープレートだが、なぜこのような呼ばれ方をするのだろうか。
「天ぷら」は衣をつけて揚げる料理で、食べてみないと衣の下にどんな食材が隠れているか分からない。このことから、外見からは中身(実態)が判断できないということを表す言葉として使われているそうだ。大学に制服があった時代、学生ではない者が、制服を着て講義を受けることを「天ぷら学生」と呼んでいたことに由来している。
つまり、偽造ナンバープレートという衣をまとうことで、盗難車や違法車という具材を隠している状態なのだ。
ちなみに、天ぷらナンバーは多くの場合、ナンバープレートと車検証や車体番号を照らし合わせない限り、外見からは見分けることができない。
天ぷらナンバーの罰則は?
天ぷらナンバーを使用するとどのような罪になるのだろうか。
ナンバープレートの不正使用の罪は、道路運送車両法違反となり罰則も大変重い。具体的には、道路運送車両法98条において下記のように定められている。
第1項:何人も、行使の目的をもつて、自動車登録番号標、臨時運行許可番号標、回送運行許可番号標、臨時検査合格標章、検査標章若しくは保安基準適合標章を偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造に係るこれらの物を使用してはならない。
第2項:何人も、行使の目的をもつて、自動車登録番号標、臨時運行許可番号標、回送運行許可番号標、臨時検査合格標章、検査標章若しくは保安基準適合標章に紛らわしい外観を有する物を製造し、又はこれらの物を使用してはならない。
第3項:自動車登録番号標、臨時運行許可番号標、回送運行許可番号標、臨時検査合格標章、検査標章又は保安基準適合標章は、当該自動車以外の自動車に使用してはならない。
これに違反すると、最大で3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金に処される可能性がある。
また、車検や自賠責が切れている車両で公道を走行した場合には下記のような違反、罰則となる。
【車検切れの車両で公道走行した場合】
道路運送車両法58条違反
6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
30日の免停処分および違反点数6点
【自賠責保険切れの車両で公道走行した場合】
自動車損害賠償保障法5条違反
1年以下の懲役または50万円以下の罰金
違反点数6点と30日間の免許停止処分
このように、天ぷらナンバーという、一見すると可愛らしい名前で呼ばれてはいるが、それを装着することは違法行為であり絶対にしてはならない。
また、車両窃盗などの犯罪目的でナンバープレートが盗まれるケースも相次いでいる。自分のクルマのナンバープレート取り付け状態や盗難対策もチェックしておくといいだろう。