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公開日:2025.11.13

狭くて渋滞する「さいたま春日部線」が進化中! 大宮~岩槻をつなぐ東西道路が4車線化。どこまで進んだ?【いま気になる道路計画】

渋滞が激しいさいたま春日部線の現状。

さいたま市の東西道路である「さいたま春日部線」で拡幅工事が進められている。大宮駅から岩槻・春日部方面を結ぶ区間は、幅員が狭く混雑が激しいが、将来はどんな形になるのだろうか。拡幅工事によるメリットや、現在の進捗状況について解説していこう。

渋滞が激しいさいたま春日部線の現状。

文=鳥羽しめじ

資料=さいたま市、春日部市、埼玉県

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大宮中心街につながる東西道路「さいたま春日部線」

県道「さいたま春日部線」の概要。

県道「さいたま春日部線」の概要。

埼玉県さいたま市は、県の中心地であり県庁所在地でもある。しかし、各方面からスムーズにアクセスできるかというと、そうでもなく、存在感のある幹線道路は放射状に整備されていない。

特に、さいたま市から埼玉県東端部や千葉県・茨城県方面へつながる東西軸はまだまだ貧弱だ。その中でも大宮~岩槻~春日部を結ぶ県道「さいたま春日部線」は、慢性的な混雑に悩まされている。

さいたま春日部線は、かつては全線が国道16号に指定されており、旧国道16号とも呼ばれる道路。さいたま市内では1日あたり上下計2万台に達する交通量にも関わらず、旧態依然とした2車線道路のため、ほぼ全線にわたって慢性的な混雑状態となっている。

大宮から岩槻・春日部に行くには、さいたま春日部線を通らざるを得ないほど、同エリアはこの県道に大きく依存している。バイパスとなる現在の国道16号は上尾側に5km離れたところを走り、曲がりくねったルートで、大宮中心部から利用するには不便だ。

そのため現在、さいたま春日部線では、広範囲な拡幅事業が進められている。岩槻までは政令指定都市であるさいたま市が、その他は埼玉県が事業主体だ。

産業道路~第二産業道路が4車線化へ

「さいたま市道路整備計画」で事業対象が多数指定されている東西軸が、さいたま春日部線。

「さいたま市道路整備計画」で事業対象が多数指定されている東西軸が、さいたま春日部線。

さいたま春日部線の事業はどこまで進んでいるのだろうか。まず、さいたま市内の進捗を見ていこう。

2024年に策定された「さいたま市道路整備計画」では、実に7か所が事業中で、2か所が事業化予定となっている。

・上小町工区(440m:事業化予定)
指扇~JR大宮駅の「西側区間」拡幅で唯一動きがある工区だ。さいたま春日部線は荒川の上江橋東詰で国道18号から分岐し、大宮駅まで直結する。昔ながらの狭い2車線のままで、歩道も人ひとりが歩ける幅しかない。この西側区間は基本的に都市計画幅15mで、2車線道路を今より広くする形となる。

そのうち上小町工区は、国道17号現道の西側440mの区間だ。2025年は予備設計や権利者調査など、事業化に向けた事前準備が進められている。

・ 1工区(470m:事業中)
産業道路~見沼代用水西縁付近までの470mの区間。堀の内交差点から約400m東側にある交差点までが2車線、それより東側が4車線となる計画だ。

2025年時点で用地取得はほぼ完了し、街路工事が始まっている。事業期間は2026年3月までとされているが、進捗に応じて延長される可能性もある。

・芝川工区(530m:事業中)
大宮第二公園を東西につらぬく530mの区間。ハイライトとなる芝川にかかる「境橋」を4車線仕様で架けかえる工事は、橋げたが架けられ舗装の段階まで進んでいる。事業期間は2026年11月末までとされている。

・大和田工区(1019m:事業中)
境橋付近~第二産業道路までの1019mの区間。現在は用地取得を実施中で、取得率は2025年3月時点で29%となっている。2024年3月時点は16%だったので、用地取得は着々と前進しているようだ。

・蓮沼工区(1000m:事業化予定)
第二産業道路から東へ1000mの区間。調査測量の段階で、2025年度は特に動きはなかった。

・七里駅入口交差点(350m:事業中)
七里駅入口交差点を中心に東西に伸びる350mの区間。主要渋滞箇所に指定されて優先整備の対象となり、2023年に都市計画事業認可を受けた。先行して4車線幅で整備され、交差点部ではさらに右折レーンが設置される計画だ。

現在は用地取得の段階で、2025年3月時点の用地取得率は1%とまだまだ始まったばかりだ。

岩槻~春日部でも改良工事が進行中!

さいたま春日部線の芝川工区。

さいたま春日部線の芝川工区。

岩槻から東側は、国道16号が並行しているため、あくまで2車線のままで歩道や路肩を確保する計画になっている。事業中なのは以下の工区だ。

・市宿工区(550m:事業中)
東北道の東側~岩槻駅付近までの550mの区間。拡幅工事はほぼ完了しており、用地取得も残り1%を残すのみとなっている。

・岩槻橋架け替え(480m:事業中)
一級河川「元荒川」に架かる「若槻橋」の架け替え区間。若槻橋は1941年に完成したコンクリート橋で老朽化が深刻化している。さらに幅員が狭く、歩道も片側のみであるため、2020年に架け替え工事が始まった。

まずは仮橋が2023年に完成。現在は橋の撤去中だ。すでに橋げたが半分以上無くなり、戦前の記憶は徐々に薄れつつある。

・春日部駅北側(事業中)
東武伊勢崎線の線路をまたぐ「伊勢崎線124号踏切」を含む周辺区間。ここはいわゆる「開かずの踏切」で、ラッシュ時は1時間あたり53分も遮断状態となっている。その踏切を高架化する工事が進められており、それに合わせて道路も都市計画幅員で作り直す事業が進行中だ。用地取得は2022年にスタートし、取得率は2024年夏時点で約48%となっている。

このように、各地で同時進行でアップデートされている「さいたま春日部線」。あくまで高規格道路ではなく都市計画幅での「走りやすい道路」にするのが目的だが、まずは産業道路~第二産業道路における4車線化の完成が待たれる。今後の進捗にも引き続き注目していきたい。

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