関門トンネルの料金徴収は2045年9月まで延長! 老朽化で無料化の目途立たず。
関門トンネルの料金は2025年9月30日に徴収期間の満了を迎え、無料で通行できるようになるはずであった。しかし、2025年7月29日、国土交通省は関門トンネルの料金について、徴収期間を延長すると発表した。延長期間は20年間。その理由とは?
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関門トンネルの料金徴収は2045年9月まで延長
関門トンネルは山口県下関市と福岡県北九州市をつなぐ全長3925mの海底トンネルで1958年(昭和33年)に開通した。1973年(昭和48年)に開通した関門橋(高速道路)とともに本州と九州を結ぶ大動脈としての役割を果たすと同時に、関門都市圏の通勤や通学にも利用されてきた。まさに重要な産業道路であり生活道路であるといえるだろう。

関門海峡を横断する道路の位置図。画像は「関門トンネルにおける今後の維持管理・修繕に関する検討委員会(NEXCO西日本)」の資料より抜粋。
2005年の道路公団民営化に伴う経過措置に関する政令において、関門トンネルの料金の徴収期間は2025年9月30日までと定められており、開通から68年をもって無料で通行できるようになる見通しであった。
関門トンネルの現在の料金は、普通車160円、中型車210円、大型車260円、特大車420円、軽自動車等110円、軽車両等20円。1973年(昭和48年)に建設債務を償還し維持管理有料道路に移行した際に大きく引き下げられ、以降は普通車150円水準で据え置かれている。

関門トンネルの料金の推移。画像は「関門トンネルにおける今後の維持管理・修繕に関する検討委員会(NEXCO西日本)」の資料より抜粋。
なお、建設債務の償還後にも料金を徴収するのは、海底トンネルという特殊な構造上、維持管理や修繕に多額の費用を要するためと国土交通省は説明する。
しかし、2025年7月29日、政府は管理有料高速道路における維持管理の確実な実施のため、「日本道路公団等の民営化に伴う経過措置及び関係政令の整備等に関する政令の一部を改正する政令」を閣議決定。
これをもって、関門トンネル(現在、管理有料高速道路に該当するものは関門トンネルのみ)の料金の徴収期間を20年間延長し2045年9月30日まで料金を徴収することになったのだ。
その背景には、関門トンネルの著しい老朽化にある。開通からおよそ70年経過しており、日常の維持管理と大規模な修繕を実施するため、料金の徴収は必要不可欠であるという判断に至ったとされる。

関門トンネルのリフレッシュ工事の様子。画像は「関門トンネルにおける今後の維持管理・修繕に関する検討委員会(NEXCO西日本)」の資料より抜粋。
関門トンネルでは、料金所をボトルネックとする交通渋滞も頻発している。ETCに対応していない(現金もしくは回数券のみ)ため、料金収受に時間を要する傾向にあるのも理由である。
特に、豪雨をはじめとする自然災害で関門橋が通行止めとなると、関門トンネルに車両が集中し大渋滞となる。渋滞に巻き込まれた利用者からは、料金収受に時間を要することに対しても不満の声が上がっている。

関門トンネルの料金所と料金収受の様子。画像は「関門トンネルにおける今後の維持管理・修繕に関する検討委員会(NEXCO西日本)」の資料より抜粋。
関門トンネルで料金の徴収を延長するのであれば、ETC化など、課題のある料金収受のシステムの改善も望ましいのではないだろうか。
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