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最終更新日:2024.08.14 公開日:2024.05.17

一周回って今っぽい? いまの若者に乗ってほしい、オシャレな国産ユーズドカー。

手頃な値段でオシャレ、しかも他人と被らない個性的なクルマが欲しいなら、ちょっと古い日本車はどうだろう。カーデザインの現場で20年にわたり活躍してきた渕野健太郎氏がいまの若者に乗ってほしい、国産ユーズドカーを紹介する。

文=渕野健太郎

写真=トヨタ自動車、三菱自動車、日産自動車、ホンダ、ダイハツ工業

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デザインというのは世相を反映するので、時代ごとに「トレンド」があります。カーデザインは、他の分野に比べるとトレンドの変化が緩やかですが、数年単位で見ると明らかに変わっていますね。

今回はトレンドが1周、2周回って、特に若い人が乗ると意外とオシャレかも!? という国産のユーズドカーを紹介します。私の個人的な趣味も多いですが(笑)、クルマ選びの参考になれば嬉しいです。

「乗用SUV」黎明期のクルマたち

SUVは、現在ではもっとも主流のクルマですよね。今から40年前の80年代前半に、ラダーフレームでありながら乗用にも耐えうるデザインのクルマが出てきました。

当時は「RV」(レクリエーショナル・ビークル)と言われて、「パジェロ」や「ハイラックス・サーフ」などがたくさん走っていた記憶があります。その後、80年代後半から今のSUVと同じ、乗用車をベースとした車が数多く出てきます。

初代「RAV-4」などはその後のクルマを決定づける存在でしたね。今回は初期の「乗用SUV」から、デザイン的に私が良いと思っている2台を紹介します。

トヨタ スプリンターカリブ(2代目)

1988年に登場したトヨタ スプリンターカリブ(2代目)。中古市場での相場は90〜160万円ほど。タマ数が少ないのが難。

このクルマのリアスタイルは、私が子供の頃、変わったカタチだけど良いなと思っていました。セダン(スプリンター)をベースにしたサイドガラスの傾きで屋根を高くしているので、かなりの台形シルエットなのですが、これを上手く使ってリアのデザインに取り入れています。

顔まわりも逆スラント気味のランプ、グリル周りがたくましく見えていました。今見るといかにも80年代的な、直線で構成されるデザインが新鮮だと思いますね。

三菱 RVR(初代)

三菱 RVRは初代モデルが1991年に登場。中古車の販売価格は50〜130万円。

実はこのクルマのリアドア、スライドドアなんです(片方だけですが)。私は今の時代に、このようなスライドドアのコンパクトSUVがあったらすごく良いと思ってるんですよ。スライイドドアの機構上、豊かな造形はできづらいんですけどね。

このクルマはハイトワゴン的シルエットなのですが、アウトドアフィールな仕立てになっており、趣味性を感じさせるのがうまいですね。また超ロングスライドができるのリアシートは、さまざまなニーズに重宝されそうです。

「ちょっとクセありセダン」若者が乗るとカッコいいかも?

セダンが一部の若い人にウケているという話があります。今の時代、セダンは珍しいものですが、人は珍しいものに魅力を感じたりする習性があるように思いますね。

私は古いセダンを見ると、お父さん(おじいちゃん)のクルマみたいで、古き良き昭和の時代を思いを馳せるのですが、若い人が乗ると逆にオシャレかもしれません。オシャレは「逆張り」なところもありますからね(笑)

トヨタ プログレ

Cクラスや3シリーズをライバルに見据えた“小さな高級車”として、1998年に登場したトヨタ プログレ。中古車としての販売価格は50万円台を中心に130万円ぐらいまで。

「小さな高級車」がコンセプトでしたが、販売面では成功したとはいえず、この1代限りで無くなりました。実はこのクルマ、FRなんですね。FRはフロントのオーバーハングが短く、前輪とフロントガラスが離れているので、FFよりも伸びやかなプロポーションに見えるんです。デザインは本当に地味ですが(笑)、このクルマを若い人が乗っていたらシブい感じになると思うんですけどね。

また、「ブレビス」という兄弟車もあり、こちらは内外装のデザインが少しだけ洗練されています。

日産 レパードJ・フェリー

日産 レパードJ・フェリーは1992年に登場。走行距離6万kmを超えている個体でも100万円前後で販売されているようだ。その良さが徐々に知れ渡ってきたか?

このクルマも日本では不人気車でした(笑)。意外と不人気車の中に良いデザインが埋もれていると思います。「レパード」は本来2ドアクーペの車で、特に2代目は人気でした。このクルマは3代目で、アメリカで「インフィニティJ30」として販売していたものを日本市場に投入したクルマです。

尻下がりのデザインがきっかけなのか、日本では販売台数が低迷しました。ただ、私は当時から独特のプロポーションが気になっていたクルマなんですね。サイズが大きく、若者向けではないですが、完成度が高いデザインだと思います。

「ユニークな軽自動車」昔の方がバラエティ豊かでした

ご存知の通り、軽自動車は日本独自のカテゴリーで、ガラパゴス的に発展したものです。全長、全幅が決められているので、その制限内で何ができるかを競うコンペみたいですね。数ある軽自動車の中からデザイン的に気になっていた2台を紹介します。

ホンダ Z(2代目)

ホンダ Z(2代目)。10万円以下で販売されている中古車もチラホラ。

ホンダはこれまで数多くの実験的なクルマを出しており、販売的には失敗も多いのですが、攻めの姿勢がすごく好きなんですよね。このクルマのユニークなところは、エンジン搭載位置がなんとミッドシップなんですよ。高い車高と大径タイヤで、いかにもSUVらしいプロポーションになっています。

この絶妙に道具感あるデザインは、今乗るとカッコいいのではないでしょうか?

ダイハツ エッセ

ダイハツ エッセは2005年に販売開始された。中古市場での在庫は潤沢でMT車も豊富。50〜60万円台が中心。当時の新車販売価格からほぼ変わってない!?

このクルマは可愛らしいイメージですが、私的にはプロポーションにオリジナリティがあり、デザイン的にとても優れていると思います。傾いたリアゲートからルノーサンクを連想させるプロポーションは、小さいタイヤなのに踏ん張り感も感じさせます。マニュアルもあるので、これでサーキット走ってる人もいたりするんですよね。

カーデザインの歴史に残るクルマ

長い歴史の日本車には、カーデザイン的に優れたクルマもたくさんあります。ここでは最高にオリジナリティがあり、さらに商業的にも成功した、稀なクルマを1台紹介します。

日産 キューブ(2代目)

いま見ても古臭さを感じさせない2代目の日産 キューブは2002年に登場。中古車の相場は20〜30万円が中心だ。

2000年代初頭の日産は、どこのメーカーよりもデザイン感度が優れていたと思いますが、このクルマが出た時は衝撃を受けました。機能を考慮した、左右非対称のリア周りはもちろん、クルマというよりも家電などの製品に近い線使いのデザインは、カーデザインの歴史に残るクルマだと思います。

四角いシルエットなのですが、上から見たビューでは意外と丸く、そのおかげで前後フェンダーがしっかり出ています。クルマらしいスタンスも表現出来ているところがヒットの要因だと思いますね。

「埋もれた名車」を探して、自分流に楽しもう!

今、人気があるユーズドカーは、価格が軒並み高くなっています。数年前は二束三文だったクルマも、今では立派な値段がついていたりしますね。

一方で価値がまだ認識されていない、「埋もれた名車」もまだまだあると思います。そのようなクルマを探してみるのも楽しみ方の一つですね。

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