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クルマ最終更新日:2024.01.05 公開日:2023.12.28

ホンダが250万円以下で投入する小型SUVの実力は? 新型「WR-V」に試乗!

物価高騰に関するニュースばかりが取り沙汰される昨今、ホンダから魅力的な価格帯の新型SUVが発表された。250万円以下で登場するという「WR-V」の出来栄えやいかに。モータージャーナリストの原アキラがさっそく試乗した。

文・写真=原アキラ

ホンダの新型SUV「WR-V」とは?

ホンダ ダブリューアールブイ|Honda WR-V

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ホンダから新たに登場する新型コンパクトSUV「WR-V」に試乗した。国内での価格は250万円以下というから、ZR-V、ヴェゼルと続くホンダSUVシリーズの中ではエントリーモデルという立ち位置になる。

ライバルは販売が好調なダイハツ・ロッキー/トヨタ・ライズということになるのだが、果たしてその走行性能やいかに。発売直前のモデルにホンダのテストコースで試乗し、出来栄えを確かめてみた。

「WR-V」は日・タイ・インドの合作

塊感あるデザインで、ボディサイズは数値以上に大きな印象を受ける

WR-Vは、タイのホンダR&Dアジアパシフィックで開発を行い、インドのホンダカーズインディアで生産、販売はインド(現地名はELEVATE=エレベイト)と日本で行われるというグローバルモデル。その結果、200万円台前半という価格設定を行うことができた。グランドコンセプトは「VERSATILE FREESTYLER(バーサタイル フリースタイラー)」というもので、VERSATILEは多様なライフスタイルやニーズに適応できること、FREESTYLERはさまざまな制約を乗り越え、自由に自分らしいスタイルで生きることをそれぞれ表現している。

ボディサイズは全長4,325mm、全幅1,790mm、全高1,650mm、ホイールベース2,650mmというもので、最高出力87kW(118PS)/6,600rpm、最大トルク142Nm/4,300rpmを発生する自然吸気の直列4気筒1.5Lエンジンを唯一のパワートレインとし、CVTによって前輪を駆動する。

エクステリアは、四角く厚みのあるボディが特徴で、高い位置からまっすぐに切り落とされたフロントにはブラックの大きなグリルがはめ込まれている。こうしたSUVらしいちょっとゴツ目のスタイルは、現行のホンダ車の中ではあまりないタイプ。聞けばインドのユーザーは一目でSUVだとわかる強いスタイルがお好みとのことで、日本での販売も考慮してちょうど良い形として創り出したのがこのカタチということらしい。「MASCULINE & CONFIDENT(自信あふれる逞しさ)」というデザインコンセプトらしいスタイルだ。

インテリアはブラックのシンプルな水平基調で、右がアナログ式スピードメーター、左が7インチTFT液晶メーターの丸型2眼コックピットメーターが眼前にあるのを初め、エアコン等のマニュアルスイッチが集約されたダッシュボード、レバー式のシフトノブとサイドブレーキレバーがニョッキリと伸びたセンターコンソールなど、極めてオーソドックスな作りとなっている。

オールマイティな性能を発揮

1.5リッター直列4気筒のエンジンは、最高出力87kW(118PS)と最大トルク142Nmを発揮しパワーは必要にして十分

テストコースは、大小のコーナーとアップダウンがあるワインディング路と、市街地と高速道路を組み合わせた一般路の2つ。初めて走るコースだったのだが、ボンネット左右が盛り上がることで車両感覚が掴みやすいことと、良好なドライビングポジションが取れることで、最初から結構なスピードでコースに入っていくことができた。

たとえば坂道を登った先で急に左右に曲がるような場面ではアンダーステア(フロントが大回りしてしまう)が出にくく、また下り坂の途中に波打つ路面が待ち構えるような場面でも四輪の接地感が失われず、進路が乱されることがなかった。

また直進路でアクセルを踏み込むと、ちょっと低めの周波数ながらi-VTEC4気筒のホンダサウンドが耳に飛び込んできて(シビックほどの高周波ではないものの)、エンジン車らしい高揚感が伝わってくるのだ。

100km/h程度でパーシャルに戻した巡航状態ではエンジン回転数は2,000rpm以下に落ち着いて、左右にわずかにカント(傾斜)がついていたり、工事中のような路面を通過したりしてもステアリングへのキックバックがあまりなく、安定した直進状態を保ちつつ静かな走行が楽しめる。実際の走行テストはタイで行われたというが、なかなかよく煮詰めたセッティングが行われていると感じた次第だ。

インドと日本の共通のニーズとは?

派手さはないが、必要なものが最適な位置に備わるインテリアは安心感がある

後席でも十分な広さを確保したWR-V。乗り心地も悪くない。フルフラットにこそならないが、シートを倒せば大きな荷物も十分積むことができる

開発責任者の金子宗嗣氏に話を聞いてみると、ホンダ車はインドではプレミアムブランドに位置付けられていて、たとえば休日には家父長がドライバーを雇って(人件費が安いので)後席に乗り込み、ドライブを楽しむことが多いのだとか。そのため後席の広さや乗り心地はかなり重要視されるらしい。

そこは日本でのファミリーユースにとっても同じ条件が求められるところで、広いラゲッジスペースとともに十分満足できるレベルに仕上がっている。軽自動車を除くと、コンパクトモデルの販売がイマイチな状況のホンダにとって、まさに救世主になりそうなのがWR-Vだった。

SPECIFICATIONS
ホンダ ダブリューアールブイ|Honda WR-V
ボディサイズ:全長4,325×全幅1,790×全高1,650mm
ホイールベース:2,650mm
車両重量:1210kg(Xタイプ)、1230kg(Z、Z+タイプ)
駆動方式:FF
エンジン:直列4気筒
総排気量:1,496cc
エンジン最高出力:87kW(118PS)/6,600rpm
エンジン最大トルク:142Nm(14.5kgfm)/4,300rpm
トランスミッション:CVT
燃費(WLTCモード):16.4km/L(Xタイプ)、16.2km/L(Z、Z+タイプ)
価格:209万8,800円〜248万9,300円(税込)

大きなグリルが迫力ある印象を与える新型WR-V

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