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道路・交通最終更新日:2023.09.27 公開日:2023.09.25

車線内にひかれた謎の緑線の正体は? 日本海東北道の車両誘導線は”またぐ”のが正解だった!

秋田河川国道事務所は、日本海東北自動車道(日東道)の仁賀保IC-大内JCT間で、緑色の車両誘導線を試行的に導入した。これは道路の中央帯(センターライン部分)に設置されたワイヤーロープへの接触事故対策として考えられたもの。秋田道の鷹巣IC-二井田真中IC間に続いて、秋田県で2か所目となる。

文=宮本 菜々(KURU KURA編集部)

資料=秋田河川国道事務所

謎の緑のラインは「車両誘導線」だった!

緑色の線が車両誘導線。決して車線を区分する表示ではないので要注意。(画像:秋田河川国道事務所)

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上の写真は、東北地方の日本海に沿って走る日本海東北道(日東道)を撮影したものだ。地方ではよくある暫定2車線の高速道路だが、車線の中にさらに緑の線が一本ひかれている。滅多に見かけることはないであろう道路標示。これこそが、今回紹介する超レアな車両誘導線だ。

 

高速道路等の暫定2車線区間、いわゆる対面通行区間では、対向車線への飛び出しを防ぐため、中央帯(センターライン部分)にワイヤーロープが設置されていることが多い。実は、以前はワイヤーロープではなくラバーポールだったのだが、ラバーポールでは対向車線へ飛び出すクルマを止められないので大事故になりやすく、事故時の死亡率も高くなる。そこで、現在、ワイヤーロープへの置き換えが進んでいる。

 

しかし、ここで新たな問題が生じた。くるくらの記事「高速道路の正面衝突を防げるか!? 暫定2車線に新技術の区画柵!」でも触れているが、ワイヤーロープに接触する事故が増えているのだ。対向車線に飛び出すよりはいいが、それでも運転者の負傷、車両の損傷だけでなく、ワイヤーロープを復旧するために通行止めを実施しなければならないなど、社会的な影響も小さくない。

 

このような状況を受け、秋田大学の浜岡秀勝教授が交通工学の観点から設置を提言したのが、車線内にさらに線をひく車両誘導線である。運転者の下あたり、つまり車線の中央より少し右よりに緑色の線をひき、ドライバーにはこの緑線を「またいで」走行することで、車両とワイヤーロープ間の距離を維持してもらおうというものだ。ちなみに、左ハンドルの場合は助手席の同乗者の下あたりになるのだろうか。

車線誘導線の走行位置はちょうど運転席の下あたり。(画像:秋田河川国道事務所)

ちなみに、車両誘導線が導入されたのは日東道が初めてではなく、能代河川国道事務所が、2023年5月末に秋田道の鷹巣IC-二井田真中IC間にも試行的に設置している。また、車両誘導線には実線と破線の2タイプがあり、秋田道と日東道の両設置区間で効果を検証する。

実線と破線タイプの車線誘導線を検証する(画像:秋田河川国道事務所)

破線タイプの車線誘導線(画像:秋田河川国道事務所)

もちろん、いきなり緑色の線をひいただけでは、運転者には意図が伝わらない。運転する側としては、当然、これは何の線なのだろう?」と疑問を持つし、「車線区分の線か?」とか「時間によって車線が変わるのか」とか、間違った理解をするかもしれない。

走行位置を周知徹底する看板(画像:秋田河川国道事務所)

そこで、秋田河川国道事務所では、車両誘導線の設置区間に走行位置を周知する看板を設置したり、近隣の道の駅などでチラシを配布予定という。看板は蛍光色で目立つようにして、周知徹底を狙っている。

 

たしかに、線に沿って走るというのは分かりやすく、車両誘導線の効果を期待したいところだ。一方で、ドライバーがその意図を理解していないと、勘違いから新たな危険も考えられなくはない。また、地方の場合は高齢ドライバーが多くなり、高齢者の場合は新しいルールや標識・表示に対して、一般ドライバーよりも認知が遅くなる場合もあるといわれている。そういった点からも、徹底的な告知やPRはお願いしたいところである。

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