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クルマ最終更新日:2023.08.21 公開日:2023.08.21

ランボルギーニ初のBEVは1360馬力以上! ウルトラGT「ランザドール・コンセプト」が世界初公開。

ランボルギーニは8月19日、同社初の純バッテリーEVとなるコンセプトカー「ランザドール(Lanzador)」を世界初公開した。“ウルトラGT”を標榜するランザドールとは、いかなるクルマか。モータージャーナリストの武田公実が解説する。

文=武田公実

写真=アウトモビリ・ランボルギーニ S.p.A.

ランボルギーニ ランザドール コンセプト|Lamborghini Lanzador concept

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ウルトラGT、ランザドール コンセプトが登場!

北米カリフォルニア州モントレー半島で、一週間以上にわたって開催される自動車イベント群「モントレー・カーウィーク」。その中核をなすイベントとして、8月18日と19日に相次いで開かれた2つのクラシックカー・コンクール、「ザ・クエイル・モータースポーツギャザリング」および「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」において、アウトモービリ・ランボルギーニ社は同社初の純バッテリーEVとなるコンセプトカー「ランザドール(Lanzador)」を世界初公開した。

六角形のテールランプを両側に3つずつ配置し、大きなディフューザーが目を引くランザドール コンセプト。写真は発表会場となったモントレーの現場から。

ランザドールは4シーターのクロスオーバー型スーパーカー

2021年5月、アウトモービリ・ランボルギーニ社は持続可能な開発のための、将来のモデルおよび生産の脱炭素化を目指すランボルギーニのロードマップとして、2024年末までに全ラインアップを電動化することを柱とした「ディレツィオーネ・コル・タウリ(Direzione Cor Tauri)」計画を発表。計画の第3段階(2026~30年)において、初のフル電動ランボルギーニの量産化を目指している旨が謳われていた。

その路線を裏づけるように、昨年春にはステファン・ヴィンケルマンCEOが、2028年までにBEVのランボルギーニを正式のシリーズモデルとしてリリースすること。そして、それは2+2型式のクロスオーバー型スーパーカーとなるであろうことを、オフィシャルの場で認めている。

さらに今年8月16日には、4シーター車であることを示唆するようなシルエットを示したティーザー写真が、SNSのアウトモービリ・ランボルギーニ社公式アカウントで公開。いよいよ、コンセプトカーが公衆の面前に現れるまでのカウントダウンが開始された。

ランザドール コンセプトのスケッチ。上から「ウルス ペルフォルマンテ」「ウラカン ステラート」、そして最新のフラグシップモデル「レヴェルト」が描かれている。

V12ランボルギーニのスピリットを現代に昇華したBEV

かくして8月18日、「ザ・クエイル・モータースポーツギャザリング」の特設会場において、満を持したかたちでアンヴェールされたランザドールは、ヴィンケルマンCEOとティーザーフォトが示唆したように、2ドア/2+2のGTスタイルとなっている。

ランボルギーニの創成期に送り出された「400GT 2+2」や「イスレロ」、「ハラマ」など、2+2レイアウトを採ったフロントエンジン・グラントゥリズモのヘリテージを、新たな電動時代に向けて再解釈したものとの由である。

そのエクステリアデザインは、2008年のパリ・サロンにて発表されつつも、現状では実用化に至っていない4ドアコンセプト「エストーケ」から系譜を受け継いでいるのは間違いのないところ。また、昨今では定番化したSUV的スタンスには、今やランボルギーニの屋台骨を支える「ウルス」や、ウラカンの最終モデルとなった「ステラート」からの影響も明確に見られる。

くわえて「ウラカン・ペルフォルマンテ」および「アヴェンタドールSVJ」で初採用された「ランボルギーニALA(Aerodinamica Lamborghini Attiva)」システムをランザドール・コンセプトにも採用。走行状況に応じて、効率とダウンフォースの両方を向上させるという。

またリヤ側には、サイドとディフューザーから伸びる細いエアブレードもあり、リヤのブロースルー・スポイラーと連動して強大なダウンフォースを発生させるとのことである。

“ウルトラ GT”を標榜する、ランザドール コンセプトのコックピット。デザインテーマは宇宙船なのだそう。

最高出力は1360馬力以上を発生!

いっぽうBEVパワートレーンや搭載されるバッテリーの詳細などについて、現状ではランボルギーニ社から何らのアナウンスもなされてはいないが、分かっているのはフロント/リヤのアクスルにそれぞれ大出力のモーターを配置するAWDであること。また、システム総計では1メガワット以上(1000kW=1360ps)の出力を発生するという。

また、リヤアクスルにはトルクベクタリング機能が盛り込まれるほか、近年のランボルギーニ各モデルに搭載されている、ドライバーの意志を予測・理解し車両を制御するシステム「ランボルギーニ・ディナミカ・ヴェイコロ・インテグラータ(LDVI)」も、BEVに最適化した最新世代のものが採用されているとの由である。

これらの情報を総合すると、もともとはランボルギーニの親会社であるアウディのコンセプトとして開発され、現在では同じグループにあるベントレーのBEVにも引用されるともいわれている「アルテミス」プロジェクトの相関関係も浮き彫りになってくるものの、それらの真偽はこれから明らかになってゆくことだろう。

インテリアはほぼすべてイタリア製の持続可能な素材で作られている。スポーツシートは3Dプリントされた再生プラスチックなのだそう。

ランザドールの正式デビューは5年後の2028年

ところで、ランボルギーニでは上記のコル・タウリ計画にしたがって、今年3月にプラグインハイブリッド(PHEV)モデルの「レヴエルト」を発表。また、2024年にはウラカンの次期モデルもPHEV車としてデビューが予定されている。

そして、こちらもPHEV版の追加が既定路線となっているスーパーSUV「ウルス」に続いて、5年後の2028年に正式デビューする新生ランザドールが、ランボルギーニにとって第4のラインとなることを運命づけられている。

ガソリンエンジンを持たない、純電動ドライブトレーンをランボルギーニが採用することには、間違いなく賛否両論が発生するだろうが、それでもランボルギーニの実験的な意欲は賞賛に値する。

今後のランボルギーニの動静に、注目したいところである。

ランボルギーニ ランザドール コンセプト|Lamborghini Lanzador concept

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