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ライフスタイル最終更新日:2023.08.22 公開日:2023.08.22

ここ最近の車中泊のトレンドは何? 見て、訊いて、泊まってみた!

車中泊やキャンピングカー人気が止まらない。そこで、いまはどのような車中泊スタイルがトレンドとなっているのか、遊び×モビリティの祭典「アソモビ2023」を取材。キャンピングカーライフ研究家の岩田一成氏に話を訊き、実際にキャンピングカーにも泊まってみた。

文・写真=岩井リョースケ(KURU KURA)

車中泊の多様化はどこまで進む?

ここ数年の車中泊トレンドを詰め込んだような「バンライフ」スタイル

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日本RV協会(JRVA)が発表しているデータによると、キャンピングカーの販売総額は増加傾向にあり、2022年の新・中古車を含めた販売売上合計額は前年比120%増で762億円に到達。また、2022年での国内キャンピングカーの保有台数は、前年より9000台増えて14万5000台となっている。

その人気の背景にはキャンピングカーや車中泊仕様車の多様性が挙げられると思うが、実際にはどのようなスタイルが人気の傾向にあるのだろうか? 今回、8月5~6日に幕張メッセで開催された、遊びとモビリティの祭典「アソモビ2023 in Makuhari」に向かい、イベントアドバイザーを務めた岩田一成氏に話を伺ってみた。

車中泊のムーブメントとは? 訊いたのはこの人!

岩田氏はキャンピングカーライフ研究家/キャンピングカーライターとして、テレビ・ラジオ、講演会などに多数出演。著書は「人生を10倍豊かにする 至福のキャンピングカー入門」など

岩田氏は雑誌媒体を中心に多数のメディアに出演もしているキャンピングカーライフ研究家だ。自身は家族のためにキャンピングカーを購入し、1000泊以上に及ぶキャンプ・車中泊をこなしている。現在はキャンピングカーを2台乗り継いだ後、ピックアップトラックにシェル(荷室)を載せた「トラキャン」スタイルに辿り着き、キャンプ時以外はシェルを駐車場に置いてクルマのみで走るようになったが、それまでは仕事も私用もキャンピングカーで移動していたそうだ。

昨今のキャンピングカーや車中泊人気について岩田氏は、これまでキャンピングカーと言えば、キャンプをするクルマ、旅行をするクルマというイメージが強かったが、ここ最近では移動オフィスや自宅の”離れ”にしたり、書斎や趣味の空間、防災対策としての役割も持たせる人が増えている、と語る。

しかし、キャンピングカーを持とうとすると、普通は日常使いのクルマに加えて2台持ちとなる場合が多いため、駐車場などの維持管理費を含めると、やはり敷居は高くなり、その問題のせいでキャンピングカーを諦める人も多い。

そのため、軽自動車をベースに車中泊仕様にカスタムした軽キャンパーや、バンタイプをカスタムしたバンコンなどが登場し、クルマ一台持ちで全部楽しむスタイルが浸透していったようだ。そして、そんな車中泊仕様車の中でも、ここ数年でムーブメントとなっているのが「オーバーランド」と「バンライフ」スタイルだと岩田氏に教えてもらった。

岩田氏にとって3台目のキャンピングカーである、ハイラックスにシェル(荷台)を積んだトラキャンスタイル。荷台には電動ジャッキが搭載されており、普段遣いの際には荷台を置いて、ハイラックスのみで移動できる。アメリカでは王道スタイルのひとつだが、日本ではまだまだ少数派だという。

オーバーランドとバンライフがいま熱い!

■オーバーランド

オーバーランドは本来、ゴツゴツした岩場や砂漠を4WDで走り抜け、車上に搭載したルーフトップテントで寝泊りしながら長距離の旅をするような冒険スタイル。4WDはトヨタ・ランドクルーザーやジープ・ラングラーにランドローバー・ディフェンダーなどが特に人気。オーストラリア発祥でアフリカなどでも見られるスタイルだが、キャンピングカーよりもアクティブで、ワイルド感漂う見た目も男心をくすぐる。道なき道を進むこともあるので、パンクやオーバーヒートなどはつきものだが、アクシデントに備えた修理ツールの準備や知識・経験を活かしたサバイバル感も魅力のひとつとなる。

ルーフトップテントは展開するだけでほとんど設置が完了し、車上ではツリーハウスのようなワクワク感が得られる。積載条件をクリアすれば幅広い車種に搭載できることで、一気に人気に火が点いた。夏場のルーフトップテントは寝苦しそうに思うかもしれないが、最近では車内の空調から冷気を送るグッズや、テントにエアコンを外付けするようなグッズも次々に登場している。

オーバーランドスタイルはどこでも行けそうなワイルド感が魅力。

オーバーランドの定番スタイル、ジープ・ラングラー×ルーフトップテントという組み合わせ。

ルーフトップテントの多様化も止まらない

■バンライフ

バンライフとは、荷物の運搬能力に長けた商用車のVANと、仕事や家事、寝泊りといった生活(LIFE)を掛け合わせた造語のこと。バンに必要最低限の荷物を積んで自由に旅をする、というスタイルがアメリカから入ってきて日本でも人気になった。さらに、ここ数年では内装に木材を使ってお洒落に仕上げる楽しみ方がムーブメントとなっている。テーブルやクッションなどを組み換えることで、ダイニングや作業用、就寝用に切り替えられるよう、各所にさまざまなギミックを仕込んで独自の遊び心を加える人も多い。

岩田氏いわく、この内装にお洒落さを求めるムーブメントは、逆にキャンピングカーの方にも影響を与えているそうだ。キャンピングカーや車中泊仕様車は個々で目的や求める機能が異なるため、どこでその人の琴線に触れるか分からない。流行のスタイルも次々と派生型が生まれる面白さが、この世界にはあるのだとアソモビというイベントを通して感じた次第だ。

キャンピングカーや車中泊、バンライフなどの車旅を扱うWEBマガジン「DRIMO」のライターがマツダ・ボンゴブローニイバンをカスタムしたというバンライフカー。自身で1年半かけて内装のDIYを行ったとのこと。

自分の好きなものを詰め込みました、という想いが伝わってくる車内。常設ベッドにブックスタンド、ベッド下の収納スペースなど、木材をふんだんに使用している。

軽バン、軽トラのリフトアップを得意とするフォレストオート社はミニバンをカスタム。

埼玉県三富地域の間伐材を使用した、自然の風合いを生かし、角度を変えて遮光と採光を切り替えられるウッドシェードを制作。

購入が難しいならレンタルも良い選択だ!

トヨタのタウンエーストラックをベースにカスタムされた新型ライトキャブコン「VENUS」

車中泊もでき、一台で日常と非日常で活躍するクルマが盛り上がっているのは理解した。では、本家のキャンピングカーはどう楽しめばいいだろうか? キャンピングカーの魅力にハマった人は、1台目を購入した後、家庭環境や目的の変化に合わせて2台目、3台目と乗り換える人が多いという。岩田氏もその一人だ。昨今ではキャンピングカーの買取価格も高くなっているので、乗り換えのハードルも以前よりは低くなっているだろう。

岩田氏としては、無理をしてでもキャンピングカーを買った方がいい! 楽しいからそれだけの価値がある! という想いは聞いたものの、筆者のように予算がなく、旅行に行く頻度も低そうだという人は、専門店も増えつつあるキャンピングカーのレンタルという選択肢をおススメしたい。

今回のアソモビでは、屋外の展示スペースに並べたキャンピングカーに泊まれる企画も用意されていたので、KURU KURAも参加させてもらった。ちなみに筆者はバイクでツーリングキャンプやバンコンで車中泊は何度か経験しているが、キャンピングカー(しかも一人で)に泊まったのは初めてだ。

筆者が車中泊体験させてもらったのはキャンピングカーのレンタルを行う「旅する車」より、トヨタのタウンエーストラックをベースにカスタムされた新型ライトキャブコン「VENUS(ヴィーナス)」だ。

VENUSは全長4830mm、全高2760mm、全幅1890mmとコンパクトながら、車内は最大で6名まで乗車が可能で、就寝は大人4名+子供2名まで対応している。このイベントでは会場の電源を借りたが、オプションで12V400Ahのバッテリーを搭載可能。VENUSに搭載されているエアコン・冷蔵庫・電子レンジ・テレビを存分に使用させてもらった。車両の後部には上下段のベッドが最初から展開されており、リビングには4人掛けのベンチとテーブルがある。このベンチも組み換えればベッドになるが、バンクベッドでも寝られるスペースがあるので、3~4人の就寝ならこのままで充分だ。ましてやこの日は筆者一人の貸し切り状態、つい気分が高揚していろんな場所で寝転がってみたが、車両後部の下段が個人的に快適だった。

車両の中央にあるドアから入り、後方を見たアングル

リビングに座りながらキッチンまわりとエントランスを見たアングル

連日の猛暑で日没後も空調なしでは厳しい暑さだったが、エアコンのおかげで車内は快適そのものだ。会場には19時ころに到着したので、これがテント泊だったら暗がりで苦戦しながらの設営となっていたことだろう。時間や天候にも左右されないこのアドバンテージは何より大きい。

流し台にカセットコンロも完備されているとのことで、最初は何か調理でもしようと考えていたが、勤務先から直接向かったので、あえて何も準備せず、好きな食べ物や飲み物を途中で購入し、キャンピングカーの設備をフル活用させてもらうことにした。その結果、ビールは冷蔵庫でキンキンに冷え、国技館名物の焼き鳥と、海浜幕張駅で買った上海焼きそばを電子レンジでアツアツの状態にすることができ、この上なく快適な夜を過ごすことができた(もちろん、今回は運転しなくてよい)。キャンプでは手間をかけたからこそ美味しい料理があるように、キャンピングカーという最強の装備を手にしたときには、逆にどこまでも手を抜いたからこその美味しい食事があることも新しく発見できた。

このVENUS、購入すれば約577万円になるが、レンタルであれば、当日利用(平日)は1万8000円、1泊2日で3万6000円、土日祝日でも+5000円で利用することが可能だ。この価格でキャンピングカーの魅力を堪能できるのだから、かなり現実的ではないだろうか。

VENUSの諸元
ベース車両:タウンエーストラック
トランスミッション:4AT/5MT
駆動方式:2WD/4WD
乗車定員:6名
就寝定員:5名
レンタル元:旅する車(HP→https://ccar.jp/)

VENUSでの車中泊の様子や、車中泊と一緒に体験したサウナルームとマイナス30℃のチルルームが一体のトラックにまとまった「サウナトラック」体験についてはギャラリーページで紹介しているので、ぜひご覧いただきたい。

車中泊の際、堪能した食べ物と飲み物

VENUSのリアアングル

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