高速道路の正面衝突を防げるか!? 暫定2車線に新技術の区画柵!
NEXCO東日本、中日本、西日本は、高速道路の暫定2車線の長大橋梁とトンネルに、新たに開発した区画柵「センターパイプ」と「センターブロック」を順次設置していくことを発表した。暫定2車線では正面衝突の危険性も高いが、事故を効果的に防ぐという「センターパイプ」と「センターブロック」がどのようなものか紹介したい。
ワイヤーロープは、高速暫定2車線にはほぼ設置済だが……
NEXCO東日本、中日本、西日本では、高速道路の暫定2車線のセンターラインに、往復車線を分離するためのラバーポールを設置していた。しかし、柔らかいラバーポールは、目印としての見やすさや、軽く触れたときの警告としては優れているものの、車線を逸脱しようとする車両を止めることはできなかった。このため、暫定2車線の道路で多いとされる、対向車線に飛び出しての正面衝突を防ぐ対策としては課題を残すものであった。
そこでラバーポールに代わるものとして考えられたのがワイヤーロープである。ワイヤーロープは写真のように、上下車線間の飛び出しをしっかりと止めることができる。土工部と中小橋梁で設置されたのは「ワイヤーロープ」だ。
現在、高速道路における暫定2車線の土工部(橋梁やトンネル以外の部分。トンネル以外の地面上に直接作られた道路部分といえばいいだろうか)と中小橋梁では、ほぼ全てでラバーポールは撤去され、ワイヤーロープに付け替えられている。
ちなみにNEXCO各社によると、ワイヤーロープに交換後、そのワイヤーロープに接触する単独事故が増えているという。つまり、センターラインを越えようとするドライバーが多いことと、対向車線への飛び出しを防ぐワイヤーロープの効果があらわれた結果といえそうだ。
長大橋梁とトンネル用に新たな区画柵を開発!
一方、暫定2車線の長大橋梁とトンネル部は、ワイヤーロープの設置が未着手となっていた。NEXCO各社によると、長大橋梁やトンネル区間は、土工部、中小橋梁と比較して道路幅員が狭小のうえ、路面下に排水溝などの設備があり、ワイヤーロープを設置するための支柱を打ち込めないなといった課題があったようだ。
そこでNEXCO各社は、長大橋梁やトンネルにも設置できる新たな区画柵の公募を実施。応募された技術の検証を重ねた結果、「センターパイプ」と「センターブロック」を選定した。センターパイプは柵状、センターブロックは低い壁状の区画柵で、ワイヤーロープと比較してコンパクトで狭小部にも設置しやすいという。NEXCO東日本では、2024年末までに設置を予定しているそうだ。
ワイヤーロープ、センターパイプ、センターブロックなどの設置で、高速道路の暫定2車線区画の安心感は高まりそうだ。効果が高ければ高速道路以外への導入も期待したい。また、これらの対策で対向車線への飛び出しの多くは防げそうだが、これらの設備に接触するだけでも車は損傷するし、事故につながる可能性もある。やはり大切なのが安全運転であることはいうまでもない。
記事の画像ギャラリーを見る