「ネコ」|第46回アニマル”しっかり”みるみる|くるくら
世界中から集まったさまざまな動物たちを、間近で見て・感じられる施設がサファリパーク。そんなサファリパークで動物たちの世話をする飼育員さんに、知っておくとちょっぴり動物通になれるポイントを、 "しっかり" ご指導いただきました。富士山の自然豊かな環境にある富士サファリパークの動物ふれあい課飼育担当西村さんに、「ネコ」を解説してもらいました。
祖先はリビアヤマネコ
ネコは、食肉目ネコ科に属する動物で、生物種としては「イエネコ」と呼ばれます。
ネコが人間に飼われるようになったのは、4000~5000年くらい前からで、その直系の祖先は北アフリカから西アジアにかけて生息するリビアヤマネコと言われています(諸説あり)。
「現在、園内(ネコの館)ではペットとして人気のある20種類ほどのネコが飼育されています。珍しい種類のネコとしては、曲がって反り返った耳が特徴の『アメリカンカール』、巻き毛が特徴の『セルカークレックス』、ブルーグレーの体色にオレンジ色の瞳が特徴の『シャルトリュー』などがいます」(※西村さん以下同)。
ネコはどんな特徴を持っている動物なのでしょうか?
身体的な特徴としては、体のしなやかさが挙げられます。関節の繋がりが緩やかでどの方向にも曲がりやすくなっていることなどが、特有の体のしなやかさを支えています。
またネコは平衡感覚を司る「前庭」と呼ばれる器官(内耳にある)がとても発達しており、体を回転させて着地したり、アクロバット的な動きが可能なので、高いところから飛び降りても体をうまくコントロールできます。この体のしなやかさと優れた平衡感覚がネコの身を守っているとも言えます。
ネコの目は、暗闇でモノを見る能力に秀でています。目の奥にある網膜の裏側が鏡のようになっており、網膜を通過した光を反射させ、もう一度網膜(光に反応する視細胞が多く存在する)に送り返して、暗さの中でもモノがよりはっきりと見えるようになっています。
しかもネコの目は、体の大きさに比べて大きく、暗い場所では黒目(瞳孔)が、目全体に広がります。目が大きければ瞳孔も大きくなります。瞳孔の役目は、光の量を調節することなので、目が大きいほど光の量を多く取り入れることができ、暗いところでもモノが見やすくなります。ネコは暗闇でモノを見る能力に加えて動体視力にも優れていると言われていますが、意外なことにネコの視力は、0.1~0.2程度しかなく、遠くはぼんやりとしか見えていない状態です。
ネコは聴覚が優れた動物です。人間やイヌよりも音の聞こえる範囲が広く、特に高音を聞き分けていると言われています。ネコが捕食するネズミが高音で鳴くので、高い音が聞き分けられるようになったと考えられています。
主導権はネコにあることを理解する
ネコは、イヌと違い、群れを作らずに基本的に単独で暮らす動物です。ネコと仲良くしようと思うなら、そんなネコの習性を理解しておくことが必要です。
「可愛がりたいと思っても、主導権はネコにあるということを理解しておいてください。だからネコが不機嫌なときや眠っているときに体に触ろうとするのはNG」です。
ネコの態度や表情を見て判断することが重要です。
「ネコが近づいてきて、こちらの匂いを嗅ぐようになったら、それは『かまってもいいよ』のサインですので、それから触るようにすればネコも嫌がらないことが多い」そうです。
ネコの気持ちを理解する方法はいくつかあり、それは尾や耳の動き、顔の表情、相手の前でとるポーズなどから判断します。
特に尾にはネコの感情がよく表れます。
「尾を大きく振り、床にたたきつけているのは、ご機嫌斜めのサイン。尾をピンと上げているときは、楽しいとか嬉しいというサインになります。尾を丸めて足の間に入れるのは、怖がっているとき。尾を左右に少しだけ降るのは、興味があるものを見つけたとき」だそうです。一度よく観察してみてください。
気まぐれなので急に怒りだすこともある
ネコは、どんな性格の動物なのでしょうか?
「イヌのように見た目で分かるような感情表現はせず、そっと甘えてくることが多い動物」です。ネコから送られるサインを見逃さないことが、ネコと仲良くなる重要なポイントです。
最後に「ネコあるある」についても伺ってみました。
それは「甘えてくるので、体をなでていると、急にネコが嫌がり、怒りだすこと」です。 ネコは気まぐれな動物なので、直前までご機嫌で甘えていても、気に入らない部分をちょっとだけ触ったり、なですぎたりしただけで、いい加減にしろと怒りだすことがよくあります。ネコと付き合っていくには、そんな気まぐれを良く理解しておく必要があるんです。