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クルマ2022.03.02

EVは走行中にワイヤレス充電できる?東京大学と三井不動産が実験してみた!

電気自動車(BEV)への走行中ワイヤレス給電のプロジェクトを実施中の東京大学と三井不動産は、首都圏最大級の屋外ロボット開発検証拠点「KOIL MOBILITY FIELD(コイル モビリティ フィールド)」での実証実験に成功した。EV走行中にワイヤレス給電することのメリットとは何なのだろうか。

神林 良輔

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EV化によりバッテリーの共有不足が懸念

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走行中ワイヤレス給電の実証実験の様子。写真=東京大学大学院新領域創成科学研究科、三井不動産株式会社

 地球温暖化の一因である二酸化炭素(CO2)は、世界全体で約317億トン排出され、そのうち運輸部門における排出割合は23%に及ぶといわれている(※1)。日本国内に限ってみても、総排出量11億800万トンのうち自動車が排出するのは約16%(※2)。この比率はとても大きく、CO2排出の問題を解決するために、自動車から排出されるCO2を低減する必要がある。

 欧州では今後、自動車によるCO2排出量をさらに厳しく制限する規制が予定されており、その動向を踏まえて世界中の自動車メーカーが車両の電動化を進めている。

 ところがEVが増産されると、今度はバッテリーの供給が追いつかなくなるという問題が浮上してくる。現在のEVのバッテリーにはリチウムイオン電池(LIB)が使用されているが、LIBの原料には希少金属が使われていることもあり、EVの製造台数に対して、バッテリーが足りなくなる恐れもある。

※1 国際エネルギー機関(IEA)レポート(2014年)
※2 国土交通省 運輸部門における二酸化炭素排出量(2019年)

EVのワイヤレス給電に成功

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実証実験が行われたKOIL MOBILITY FIELDの外観。 写真=東京大学大学院新領域創成科学研究科、三井不動産株式会社

 LIBの供給不足を解決するためには、バッテリーを大容量化しなくてもEVの航続距離を延ばすことができればいい。つまり、1台に搭載するバッテリーの量を抑えて、バッテリー不足を防ごうというわけだ。さらに、重量物のバッテリーを減らせるので車体の軽量化を実現でき、車両価格を下げることにもつながる。

 そのような考え方を実現するため、東京大学大学院 新領域創成科学研究科の藤本・清水・藤田研究室の藤本博志教授が三井不動産と共に開始したプロジェクトが、EVへの走行中ワイヤレス給電の実用化に向けた研究だ。その研究の一環として、東京大学と三井不動産は、首都圏最大級の屋外ロボット開発検証拠点である「KOIL MOBILITY FIELD(コイル モビリティ フィールド)」において実証実験を実施。昨年10月に、走行中のワイヤレス給電に成功した。これは、民間の開発フィールドでは初の成功であると発表された。

 この技術が実用化すれば、1台に大量のバッテリーを搭載する必要は減りそうだ。一方で、ワイヤレス給電方式にも課題はある。まず、路面に装置を埋め込むという大がかりなインフラ整備が必要となり、実現には費用と時間を要する。また、走行中の給電となると、電気代の安い夜間に充電というわけにはいかなくなる。社会全体でも、EVの走行が増える日中に電力消費が大幅に増加するため、発電の問題も出てきそうだ。

 ワイヤレス給電方式が採用され、技術的に完成したとしても、こうした課題があるため、どのように社会に実装していくかは検討の必要がありそうだ。

 東京大学は、国立研究開発法人 科学技術振興機構来社会創造事業の研究プロジェクト「電気自動車への走行中直接給電が拓く未来社会」を推進している。三井不動産は協力研究機関として参画していたが、2021年10月からは共同研究機関となって連携を強化し、両者により同プロジェクトが進められている。

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