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クルマ2021.06.01

トヨタ、FCEVではなく水素エンジン車で富士24時間レースを完走!

2021年5月22日、スーパー耐久第3戦・富士24時間レースに、水素エンジンを搭載したトヨタ カローラスポーツ、通称「水素カローラ」が参戦。国内唯一の24時間レースで358周して完走を果たした。

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水素充填回数35回、充填時間4時間!

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水素エンジンはGRヤリスの直列3気筒エンジンがベースとなっている 写真:トヨタ

 2021年4月22日、トヨタは、水素エンジンの技術開発に取り組んでいることを発表。同時に、5月22日~23日のスーパー耐久第3戦富士24時間レースに、水素エンジンを搭載した車両で参戦することを表明した。

 その車両は、カローラスポーツに、GRヤリスのエンジンをベースにした水素エンジンと、4WDシステムを搭載したもので、通称「水素カローラ」。エンジンは、燃料の水素に合わせてインジェクターなどを変更し、4本で180リットルに及ぶ水素タンクを搭載している。カローラスポーツのガソリンタンクは43~50リットル、同じ水素を燃料にする同社のFCEV「MIRAI」のタンクが141リットルなので、いかに大きなタンクを積んでいるかが分かる。また、搭載位置も従来の後席下ではなく、後席とラゲッジスペースの間の車内で、高さは天井に届きそうなほど大きい。外見はカローラスポーツだが、中身は水素に関する機器でまったく別の車だ。

 この水素カローラが、トヨタの社長である豊田章男がチームオーナーであるROOKIE Racingから富士24時間レースにエントリー。ドライバーは「MORIZO」こと豊田章男、井口卓人、佐々木雅弘、松井孝允、石浦宏明、小林可夢偉というメンバーだ。

 デビュー戦となった富士24時間レースは、予選が雨で中止となる波乱から始まったが、決勝は天候が回復。水素カローラは、深夜に電気系のトラブルによる部品交換で約4時間のピットインがあったものの、358周して無事に完走。その内容は、水素充填回数が35回、水素充填時間が4時間、走行時間が12時間であった。

 充填回数が多いのは、一充填の航続距離が60km程度と短いため。このため、富士スピードウェイを13周前後するとピットインすることになる。ちなみに、水素カローラよりタンクの小さいMIRAIのカタログ上の一充填走行距離は約750km。なぜこれほどの差があるかは、今回はサーキットをスポーツ走行したこともあるが、充填圧力が異なっていたのではないだろうか。水素タンクの場合、タンクの容量(体積)は同じでも、充填圧力によってタンク内の水素の量は異なってくる。

 充填場所は、ピットレーン外にある移動式水素ステーションまで移動して行う。1回の充填時間は圧力調整をしながら7~8分かかっていた。さらに時間をかければ充填圧力を高くでき、航続距離も長くなるが、この充填時間での圧力が、航続距離と充填時間のバランスが最もよかったのだろう。

 今回の水素カローラ参戦の目的は、過酷なレース環境で試して、さらに開発を進めることだったという。そのため、少しでも多くのデータを収集するために、勝つよりも完走が重視された。そういう意味では、トラブルも収穫のひとつだったといえそうだ。今後も、各サーキットで移動式水素ステーションの設置場所などが確保できれば、スーパー耐久への参戦継続を予定している。

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移動式水素ステーションで充填中の水素カローラ 写真:トヨタ

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富士24時間レースでは、エンジンの状態を計測する機器を通常のレース車両より多く搭載していたため、車重が重かった水素カローラ。今後これらの計測機器が少なくなれば航続距離が延びるかもしれない 写真:トヨタ

同じ水素燃料でも、FCEVではなく、エンジンにした理由

 トヨタには、同じ水素を燃料にする車としてFCEVのMIRAIがある。それなのに、なぜ今回は水素エンジン車を開発したのだろうか。これは、CO2の排出ゼロを目指すカーボンニュートラルへの選択肢を増やすためだという。カーボンニュートラル実現のためには、EVだけでなく、エンジン車も残しておきたかったということだ。実際、今回のレースでは、水素エンジン車であればわずかな部品の変更で対応できることを実証できたことになる。

<水素カローラの走行動画>

<動画で聞く水素エンジンの音>

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