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最終更新日:2020.01.24 公開日:2020.01.24

自賠責保険料引き下げ後の料金を解説。4月に3年ぶり約16%の値下げ。

金融庁は、2020年4月から自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の保険料を平均16.4%引き下げることを発表した。自家用車の保険料(2年契約、沖縄・離島除く)は4280円下がり、2万1550円。軽自動車(同)は3930円下がり、2万1140円になる。これは交通事故の減少による保険収支の改善を反映するものである。

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自賠責保険の引き下げが決定

交通事故のイメージ写真。 ©toa555 – stock.adobe.com

 金融庁は1月22日、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の保険料に関する審議会を実施。自賠責保険料を平均で16.4%引き下げることを決定した。これは2017年4月の保険料改定以来3年ぶりである。

 そもそも自賠責保険とは、自動車および原動機付自転車の所有者に加入が義務づけられている損害保険。自動車損害賠償保障法によって定められており、加入していなければ車検が通らず、公道を走行することができないため「強制保険」ともいわれている。

 自賠責保険の補償対象となるのは、交通事故の被害者の身体への傷害や後遺障害(※)、死亡による損害。治療費をはじめとする諸経費に対して保険金が支払われる。補償範囲の概要と限度額は以下の通りだ。

【自賠責保険の補償範囲】
・傷害による損害
 治療関係費、文書料、休業損害および慰謝料が支払われる。
 限度額(被害者1名につき) 120万円
・後遺障害による損害
 障害の程度に応じて逸失利益および慰謝料等が支払われる。
 限度額(被害者1名につき) 
 ①神経系統の機能や精神・胸腹部臓器への障害で介護を要する障害
  常時介護を要する場合(第1級) 4000万円
  随時介護を要する場合(第2級) 3000万円
 ②上記以外の後遺障害 75万~3000万円
・死亡による損害
 葬儀費、逸失利益、被害者および遺族の慰謝料が支払われる。
 限度額(被害者1名につき) 3000万円

※後遺障害とは、自動車事故により受傷した傷害が治ったときに、身体に残された精神的または肉体的な毀損状態のこと。傷害と後遺障害との間に相当因果関係が認められ、その存在が医学的に認められる症状。
参考:国土交通省WEBサイト「自動車総合安全情報・自賠責について知ろう」

なぜ自賠責保険料が引き下げられるのか?

 自賠責保険料はなぜ引き下げられるのだろうか。

 自賠責の保険料は、毎年1月に実施される「自動車損害賠償責任保険審議会」において、「ノーロス・ノープロフィット」という原則に基づいて決定されている。ノーロス・ノープロフィットとは簡単にいうと、利益にも赤字にもならないように運用するという意味。この原則に基づいて保険料を算出し、審議した結果が料金に反映される。

交通事故死者数の推移(1948~2019年)。 出典:警察庁の統計をもとに作成 

 警察庁の統計によると、2019年の交通事故死者数は3215人と減少。3年連続で統計以来最少となった。また、事故による負傷者数も減少しており、2019年では46万715人(前年より6万5131人減)となり、15年連続で減少している。自賠責保険は、交通事故が発生した後に被害者に対して支払われる保険金なので、人身事故そのものが減少すれば、当然保険金の支払額も減少する。

 金融庁は、この減少により「自賠責の保険収支が改善して黒字化していること」、「保険契約者への還元に活用される滞留資金の残高が増加傾向にあること」を反映し、保険料を引き下げて収支が見合う料率水準とする方針だ。

2020年4月からの自賠責保険料

 改定後の自賠責保険の基準料金を見てみよう。自賠責保険料は、離島以外、離島、沖縄、沖縄の離島の4つの地域で異なるので、ここではまず、離島・沖縄以外で2年契約の場合の基準料金を取り上げる。

2年契約の自賠責保険基準料金(沖縄・離島を除く)。 出典:金融庁資料をもとに作成

 改正後の自家用車の自賠責保険基準料金は4280円下がり、2万1550円。軽自動車(軽自動車・検査対象車)は3930円下がり、2万1140円。原動機付き自転車は1000円下がり、8950円。250cc未満の自動二輪車の自賠責保険料は2060円下がり、1万160円。250cc超の自動二輪車の自賠責保険料は1840円下がり、9680円になる。このように車種ごとに改定率は違うが、全車種平均で16.4%の割り合いで自賠責保険料が引き下げられる。

保険期間別の自賠責保険の基準料金改定表(離島・沖縄を除く)。赤枠内のみ引き上げられる。 出典:金融庁資料

 なかには引き上げとなる車種もある。引き上げとなるのは被けん引自動車(被けん引軽自動車も含む)で110~130円上がり、5140~5170円となる(2年契約の場合)。しかしながら、営業用車両も含めほとんどの車種において引き下げとなるので、これから自賠責の支払いを控えているドライバーには朗報だろう。


 前述したように、自賠責保険はすべての自動車に加入義務がある強制保険なので期限切れには注意が必要だ。特に車検のない250cc以下のバイクは更新を忘れる可能性がある。自賠責保険に未加入のまま公道を運転した場合、即座に免許停止処分となり、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が課されるなど、厳罰に処せられることになっている。

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