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クルマ最終更新日:2020.01.17 公開日:2020.01.17

日本でシェア電動キックボードは流行る? ドイツで体験してみた

今、新たなモビリティサービスとしてシェア電動キックボードが話題だ。アメリカはもちろん、ヨーロッパ各地で導入が進んでいる。電動キックボードとは一体どんな乗り物なのだろうか。一足早くドイツで体験してきた。

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ドイツ・フランクフルトの市街地にズラリと並んだ、Lime社のシェア電動キックボード

ドイツ・フランクフルトの市街地にズラリと並んだ、Lime社のシェア電動キックボード

シェア電動キックボードってなんだ!?

 昨年9月にドイツ・フランクフルトを訪ねると、駅前には無数のシェア電動キックボードが整然と並んでいた。ここ数年、日本でもようやくシェアサイクルのサービスが増えてきたが、いま欧米では駅から目的地までのラストワンマイルを結ぶ、新たなモビリティサービス(MaaS)として注目を集めているそうだ。

 ドイツでは2019年4月に公道での電動キックボードの利用を可能にする道交法が可決されたこともあって、すでに街にはスーツを着た男性から若い女性まで多くの人が利用していた。スマートフォンさえあれば簡単にサービスを利用できるので、観光客だけでなく地元民にも便利な足として重宝されているようだ。

 フランクフルトではグリーンやオレンジにペイントされた数多くのシェア電動キックボードが走っており、複数の事業者が参入している。中でも積極的にサービスを展開中なのが米国企業のLime社だ。現在25か国、100以上の都市でライドシェアリングサービスを提供している。

電動キックボードはスマートフォンのアプリを使って利用する

電動キックボードはスマートフォンのアプリを使って利用する

手軽さこそ普及のカギ!?

 シェア電動キックボードとは如何なる乗り物なのか。早速、Lime社の電動キックボード(以下、Lime)を試してみた。使い方はこうだ。

■その1
アプリをダウンロード

■その2
個人情報、クレジットカードを登録

■その3
近くにある電動キックボードを見つける

■その4
電動キックボードの二次元コードをスキャンし、ロックを解除。

以上!

 利用開始までに掛かる時間も、アプリのダウンロードを入れても3~5分程度と短く、この手軽さも魅力ひとつなのだろう。

 Limeは、右手に親指で操作するアクセルレバーが、左手に前輪のブレーキレバーが備わる。後輪はタイヤカバーを足で踏んで速度を落とすという原始的な仕掛けだ。また、スタート時に誤ってアクセルをオンにしても急発進しないよう安全機能が備わっており、ボードに乗り軽くキックしてはじめて走り出す設計となっている。

Limeの電動キックボードは、右手のアクセルレバーを前後させ操作する

Limeの電動キックボードは、右手のアクセルレバーを前後させ操作する

爽快感は抜群!

 実際にドライブしてみると、想像通りとても楽しい乗り物だった。ソロリソロリとアクセルを回す。グンッ!と電動車特有の力強さがダイレクトに体に伝わってきたかと思うと、そのままスーッと滑らかに走り出した。うおー、これは気持ちがいい!

 キックボードに乗ったことがなくても、自転車に乗れるなら運転は簡単だろう。一旦慣れてしまうと自在にコントロールできるようになる。バッテリーがボード直下に内蔵されていることもあって安定感は抜群だ。

電動キックボードのステアリング中央にはメーターパネルが備わり速度を表示する。地図等の表示は行われない

電動キックボードのステアリング中央にはメーターパネルが備わり速度を表示する。地図等の表示は行われない

 シェア電動キックボードは基本的に自転車専用道を走ることが前提とされている。フランクフルトの街並みは、車道、歩道、そして自転車専用道がキチンと整備されているので走りやすい。調子に乗ってグングン加速させると、あっという間に最高速度の20kmに到達した(自転車と同等速度)。ちょっと速すぎる気もするが、爽快感は抜群だ。

 Limeは返却方法も簡単。停めたい場所にLimeを移動させ、後はアプリを開いて「Lock」ボタンをタッチ。どこに停めたのか分かるように写真を撮るように指示があるので、撮影し送信すれば完了だ。指定の駐輪場はなく、サービス利用可能範囲内であればどこでも自由に乗り捨てできるので大変便利である。

返却時は写真上のようなアラートが出る。場所が分かるよう撮影しアップロードして返却完了となる

返却時は写真上のようなアラートが出る。場所が分かるよう撮影しアップロードして返却完了となる

Lime使用後は、時間・距離・料金を記したログがアプリに表示される

Lime使用後は、時間・距離・料金を記したログがアプリに表示される

気になる料金体系

 操作方法と乗り方を一通り覚えたら、今度は夕食を兼ねてLimeを使って、ちょっと遠出してみることにした。フランクフルト駅前のホテルを出発し、マイン川に架かる観光名所「鉄の橋」を目指す。グーグルマップで調べたところ、最短ルートで約2.2km。車なら約11分、自転車なら約7分で着くという。

 Limeの料金設定はサービス地域によって異なるが、フランクフルトではロック解除に1ユーロ、その後1分毎に0.2ユーロが課金される。

 今回は途中寄り道をしたり、道に迷いながら走ったため36分もかかってしまった。かかった費用は8.2ユーロ(約1,000円)。あれ、思ったより高くないか!?

 ちなみに同区間でタクシーを利用した場合かかる費用は、初乗り料金が2.8ユーロ、0~12km区間の1km当たりの料金が1.75ユーロなので、約6.3ユーロ(約770円)ほどになる。寄り道して時間がかかったとはいえ、タクシーより全然高い。道をよく知る地元民にとっては、自転車のように短い時間で移動できて割安感があるのかもしれないが、旅行者のような人間にとっては、一種のアトラクションと考えたほうが良いのかもしれない。

 Limeの利用料金が割高な設定になっているのは、運用コストの高さにも原因があるようで、電動キックボードのバッテリーが切れた場合、運営者は路上に放置された車体をトラックで回収し、充電、そして設置という作業を日々繰り返しているのだという。どこにでも乗り捨てできるというメリットを享受している分、料金に跳ね返っているという訳だ。

写真奥に写るのが「鉄の橋」。同行取材した鳥塚部長も颯爽と楽しげに走っていた

写真奥に写るのが「鉄の橋」。同行取材したボスも颯爽と楽しげに走っていた

日本導入に向けての課題

 さて欧米で普及が進むシェア電動キックボードだが、日本で展開する可能性はあるのだろうか? 実は今回ドイツで試乗したLimeは、現在KDDIの出資を受けて福岡で実証実験を行っている。日本でも間もなく導入!と言いたいところだが、しかし実際はそう簡単ではない。

 というのも日本における現行の道交法では、電動キックボードは原動機付自転車(原付)の扱いとなるため、原付免許はもちろん、公道走行にはナンバー装着が必須であり、ヘルメットの着用、さらには自賠責保険の加入など、導入に向けてのハードルはかなり高い。

 日本での導入について同社は、法改正を訴えかけていくと同時に大学やショッピングモール等の特別地区での運用を目指す、としている。

後輪はタイヤカバーを直接踏んで速度を落とす

後輪はタイヤカバーを直接踏んで速度を落とす

 一方、フランクフルトで利用する場合、ヘルメット着用の義務もなければ保険もない。そのため特に旅行者は、現地での事故に細心の注意が必要だ。

 ドイツで体験したシェア電動キックボードは、間違いなくスマートで、私たちの生活の可能性を広げてくれる新時代のモビリティだと感じた。日本で導入に向けてどう課題を解決していくか、今後の展開に注視しつつ、日本の公道で安全に走れる日を楽しみに待ちたいと思う。

果たしてシェア電動キックボードは、日本で流行るだろうか?

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