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最終更新日:2019.10.18 公開日:2019.10.18

高速道路の工事や点検を安全にする新製品がすごい!【ハイウェイテクノフェア2019】

高速道路に関わる新技術や製品などを展示するイベント「ハイウェイテクノフェア2019」が東京ビッグサイトにて開催された。その中から、道路工事や点検時の注意喚起のために開発された「LED警告灯」と「超音波スピーカー」を紹介しよう。

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発炎筒の10倍光が届くLED警告灯「ピカッチ」

ハイウェイテクノフェア2019|ピカッチ(電池式)|LED警告灯

ハイウェイテクノフェア2019に展示された超高輝度LED警告灯「ピカッチ(電池式)」。

 中日本ハイウェイ・メンテナンス中央株式会社が展示した超高輝度LED警告灯「ピカッチ」は、高速道路上での維持修繕工事や点検など、車線規制の注意喚起のために開発された製品。

 これまで車線規制の注意喚起には、発炎筒が使用されていたが、車線規制に気付かずに作業区域へ進入する車による事故が多数発生。発炎筒よりも遠くから視認できるような警告灯が必要とされていた。そこで開発されたのが同製品である。

ハイウェイテクノフェア2019|ピカッチ(充電式)|LED警告灯

ハイウェイテクノフェア2019に展示された超高輝度LED警告灯「ピカッチ(充電式)」。後方に2つのバッテリーを搭載している。

ハイウェイテクノフェア2019|ピカッチの設置例

ピカッチの設置例。オプションのアタッチメントを使用すればさまざまな場所に設置することができる。

 その特徴は、LEDを使用しているので点滅パターンを切替できること、本体が辞書ほどのサイズなので持ち運びが容易なこと、電池やバッテリーで作動するので発炎筒に比べて長時間使用できる(※)ことなど、いくつかあるが、中でも優れているのはその光の強さだ。

  ※発炎筒の燃焼時間は約5分。ピカッチは、電池式で約10時間。バッテリー式で約20時間使用可能。

ハイウェイテクノフェア2019|高速道路の交通規制で使用されているピカッチ

高速道路の車線規制で使用されているピカッチ。

 標準的な発炎筒の輝度は160カンデラ。それに対し、ピカッチの輝度はそれを遥かに超える3286カンデラなのだという。

 開発の担当者によると「発炎筒の光が届く距離は晴天時に約100mで、それ以上離れると視認できなくなります。しかし、ピカッチの光が届く距離は約1kmです」という。

 発炎筒よりも遠くから視認できるようになることで、ドライバーにいち早く車線規制を警告することができる。つまりドライバーが車線規制に気付きやすくなり、事故が起こりにくくなることで、作業員が安全に工事や点検などが実施できるようになるというわけだ。同製品は、NEXCO中日本管内を中心に約500台が導入されているという。

点滅で速度制御するLED警告灯「BLINKs」

ハイウェイテクノフェア2019|名古屋電機|走光型運転支援システム|BLINKs(可搬式)

ハイウェイテクノフェア2019に展示された「BLINKs(可搬式)」。

 名古屋電機株式会社が展示した「BLINKs(可搬式)」は、高速道路の大規模改良工事や修繕工事の交通規制において誘導・注意喚起を行うために開発されたLED警告灯。

 ポリカーボネート樹脂の白くて細長い筐体の下部に穴が筒状に開いていて、工事現場などでよく見かける三角コーンの上に設置できる。このため、設置用の脚部などを用意する必要がなくなるため可搬性に優れている。

 また、同製品は複数台を組み合わせて使用することを前提としており、操作機から発信する無線信号でまとめて制御することが可能である。同製品のすごいところはこの制御にある。なんと1台1台の光の点滅に時間差をつけることで光が進んでいるように見せることができるのだ。

 「ドライバーは無意識に光を目で追いかけ、その進むスピードに追従するように運転するという特性があります。それを利用して、光の進むスピードを調整することで、車のスピードを制御する狙いがあります」と同社の担当者は語る。

 つまり工事による車線規制の入り口付近では車のスピードを落とすために、光の進むスピードを遅くする。逆に出口付近では、車のスピードを上げるために光の進むスピードを速くする。そうすることで、車の流れがスムーズになるようにコントロールできるという。

ハイウェイテクノフェア2019|名古屋電機|新東名高速・清水JCT付近に設置された常設型「BLINKs」

新東名高速・清水JCT付近に設置された「BLINKs(常設式)」。清水JCT手前の下りカーブの速度超過対策として設置。

 同製品の常設式は、すでに新東名を中心とした高速道路に設置されている。これらは道路のサグ部での渋滞の速度回復、下り坂などの速度超過対策として設置されているそうだ。

超音波でピンポイントに警告するスピーカー
「USIMPACT(ウルトラソニックインパクト)」

ハイウェイテクノフェア2019|USIMPACT(ウルトラソニックインパクト)|自立型

ハイウェイテクノフェア2019に展示された自立型「USIMPACT(ウルトラソニックインパクト)」。

 中日本高速道路総合サービス沖縄株式会社が展示した「USIMPACT(ウルトラソニックインパクト)」は、高速道路の維持修繕工事や点検による車線規制において注意喚起を行うためのスピーカーである。

ハイウェイテクノフェア2019|USIMPACT(ウルトラソニックインパクト)|スピーカー部

USIMPACTのスピーカー部にアップ。円形の細かな部品が並んでいる。

 USIMPACTは通常のスピーカーとは違い、超音波を発することが特徴。黒くメッシュがかかった部分がスピーカー部で、よく見てみると通常のスピーカーとは構造が異なり、円形の細かな部品が整然と並んでいるのが分かる。

ハイウェイテクノフェア2019|USIMPACT(ウルトラソニックインパクト)|超音波素子のアップ

USIMPACTに使用されている超音波素子。

 これは「超音波素子」という電子部品で、1つ1つから人間の耳では聞こえない高い周波数(約20kHz以上)の音、つまり超音波を発することができるという。超音波には指向性(※)が鋭いという特徴がある。同製品は、その指向性をより鋭く形成し、超音波を限られた狭い範囲に真っすぐ放射することができるという。

 ※指向性:音、光、電波などの波が発信源からの方向によって強さが異なる性質。

ハイウェイテクノフェア2019|USIMPACTを使用した注意喚起のイメージ

USIMPACTを使用した交通規制の注意喚起のイメージ。

 同製品から放射された超音波は、そのままでは人間の耳で聞くことはできないが、超音波が障害物にぶつかり、その障害物が振動することで音が発生するのだという。例えば、高速道路を走行中の車両に向けて超音波を放射すると、超音波が車両のボディなどに当たって振動、その振動によって可聴音になるという具合だ。ちなみに現在は「ピポパ、ピポパ」という電子音の警告音が聞こえる。

ハイウェイテクノフェア2019|USIMPACT(ウルトラソニックインパクト)|ガードポスト型

ガードポスト設置型のUSIMPACT。

ハイウェイテクノフェア2019|USIMPACT(ウルトラソニックインパクト)|車載型

路面清掃など路肩を走行しながら行う移動規制作業時に標識車に設置する車載型のUSIMPACT。

 超音波を利用するメリットは2つある。

 1つ目は、騒音を低減できること。通常のスピーカーで警告音を発した場合、広い範囲に音が放射され、周辺地域の騒音となってしまう。しかし、同製品なら超音波の放射方向にある障害物に当たらない限り聞こえづらいので騒音になりにくい。筆者も実際に展示されたデモ機の後方や横方向で聞いてみたが、放射方向以外ではほとんど聞こえなかった。

 2つ目は、警告音が聞き取りやすいこと。例えば、同製品が放射した超音波は、車両のボディなどに当たって、その箇所が振動して可聴音になる。そのため自分のすぐ近くで警告音が鳴っているように聞こえるのだ。また、通常の音と超音波は波長が違うので、車の走行音などの騒音で警告音がかき消されてしまう心配もないという。

 同製品はこれまでに、全国の高速道路の工事や点検における交通規制で実証実験を実施。早ければ11月には導入予定だという。


 ドライバーと作業員の安全を守り、工事や点検が円滑に進むように開発された製品はどれも興味深い。交通規制時の事故を減少させるために、これらの製品でより早く、確実に注意喚起をすることは効果的だろう。

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