「フレンズ」が大ヒット! 80年代後半を駆け抜けたバンド「レベッカ」
紅一点のボーカル・NOKKOのキュートでパワフルな歌声が多くのファンを魅了し、80年代後半の国内音楽シーンを代表するバンドとなった「レベッカ」。2019年の10月23日には、レベッカの代表的な2つのライブ映像が初のBlu-ray化。この発売を記念しての上映会が開催されるなど、彼らのサウンドが今、改めて注目されている。
「フレンズ」のヒットで大ブレイクしたレベッカ
レベッカは、後にレッド・ウォーリアーズのメンバーとして活躍する木暮武彦が1982年に結成したバンド。NOKKOが加入したことで女性ボーカルバンドとして始動した。1983年にはCBS・ソニーのFITZBEATレーベルのオーディションに合格し、翌1984年4月21日にメジャーデビュー。ライブハウスを中心に徐々にファンを増やしていくが、レコードセールスでは苦戦する。
メジャーデビューしたとはいえ、駆け出しの当初は観客がたった4人だったこともあったという彼ら。メジャーデビューからわずか1年足らずで、レベッカを立ち上げた木暮武彦とドラマーの小沼達也が音楽性の違いから脱退するなどの紆余曲折もあった。だが、全国のライブハウスや学園祭を回るうちに人気は急上昇。NOKKOの魅力を前面に押し出したスタイルで、スターダムの階段を一気に駆け上がっていった。
当時はまだ女性ボーカルのロックバンドは数少なく、ハイトーンでありながらも力強いNOKKOのボーカルは、日本の音楽シーンに鮮烈なインパクトを与えた。中でもレベッカならではの世界観を確立したのが、4枚目のシングルとその直後にリリースされたアルバムだった。
LP時代ならではの曲構成も魅力「REBECCA Ⅳ~Maybe Tomorrow~」
その4枚目のシングルこそが、後にレベッカを代表する1曲となる「フレンズ」。1985年10月21日にリリースされたこの曲が大ヒットを飛ばす中、11月1日にアルバム「REBECCA Ⅳ~Maybe Tomorrow~」が発売され、こちらもレベッカの名を世に知らしめた1枚となった。
レベッカが大ブレイクするきっかけとなった「フレンズ」も収録されたアルバム「REBECCA Ⅳ~Maybe Tomorrow」。写真提供:ソニー・ミュージックダイレクト
このアルバムには、TVドラマで使われた「フレンズ」の他にも、CMタイアップ曲など耳慣れた曲が多数収録されている。また、十代の女子目線のリアルな歌詞とキャッチーなサウンドは、後に巻き起こるガールズポップの全盛期を切り開くことになった。しかし、このアルバムのもうひとつの魅力として注目したいのが、LPレコード時代ならではのA面・B面を意識した曲構成だ。
A面の1曲目はロックチューンの「Hot Spice」。長いイントロでじわじわとテンションを上げるも、盛り上がりのピークで曲が寸断されて2曲目「プライベイト・ヒロイン」に切り替わるギミックなど、オープニングからインパクトのある構成がリスナーを虜にする。さらに「フレンズ」の姉妹曲とも言えるバラード「Cotton Time」、珠玉のポップナンバー「76th Star」が展開。これに続く5曲目は、意外なことにボーカルなしのインストルメンタル「光と影の誘惑」となる。
なぜアルバムの中間にインスト曲が入っているのだろうか。85年当時はまだまだLPレコードが主流の時代。この曲がA面の最後を締めくくる大きな役目を果たしているのだ。
当時のアルバムは、LPレコードのA面が終わり、盤を裏返してB面に再び針を落とすという流れも含めての曲順が考慮されていることが多い。ビートルズ最後のスタジオアルバム「アビーロード」を例にとっても、A面のラストは「I Want You (She’s So Heavy)」で余韻を残しつつ、B面に針を落とすと「Here Comes The Sun」の清らかなイントロが流れて新たな展開が始まるといった具合だ。
「REBECCA Ⅳ~Maybe Tomorrow~」も、A面のラストを幻想的なインストにすることで、余韻を残しながら「フレンズ」の収録されたB面へ繋げていく役割を果たしている。アルバムのラストを飾るのは、タイトルにもなっている「Maybe Tomorrow」。ライブの終盤で歌われることも多いバラード曲で締めくくられている。LPレコード時代の古き良きドラマチックな構成が実に心地いい。
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最新技術で蘇ったレベッカのライブ映像!
今、レベッカを体験するならこの2枚!
アルバム「REBECCA IV ~Maybe Tomorrow~」は、オリコン1位を獲得。当時の国内ロックアルバムとしては異例のミリオンセラー(累計130万枚超え)を記録した。レベッカはその後も「RASPBERRY DREAM」「MONOTONE BOY」「MOON」などヒット曲を次々にリリース。これ以降のアルバムは、すべて80万枚以上のセールスを達成している。
1991年に解散するまで、日本のロックシーンの先端を駆け抜けたレベッカ。今も時折メンバーが集結して再結成ライブを行っているが、ブレイク当時の生き生きとした彼らの姿もライブ映像で楽しむことができる。今回、最新のレストア&リミックスで蘇ったのが「REBECCA LIVE ’85 -Maybe Tomorrow Complete Edition-」と「BLOND SAURUS TOUR ’89 in BIG EGG -Complete Edition-」の2本。以下にそれぞれを詳しく紹介していこう。
「REBECCA LIVE ’85 -Maybe Tomorrow Complete Edition-」
「REBECCA LIVE ’85 -Maybe Tomorrow Complete Edition-」は、アルバム「REBECCA IV ~Maybe Tomorrow~」発売後に開催されたツアーを収めた映像作品。1985年12月25日に渋谷公会堂で演奏された全18曲105分が完全収録されている。写真提供:ソニー・ミュージックダイレクト
「REBECCA IV ~Maybe Tomorrow~」がアルバムチャート1位を獲得し、バンドがブレイクした直後のツアー映像がこちら。このライブをレベッカのベストアクトとして挙げるファンも多く、ボーカルのNOKKOをはじめ、メンバーの初々しい姿が楽しめる。
このツアーは過去にも映像作品としてリリースされているが、今回発売されるのはライブ全編を「完全収録」したもので初のBlu-ray化となる。これまでカットされていた演奏シーンや曲間のMCまで余すことなく収録されているのがうれしい。中でも注目はボーカル・NOKKOのMC。赤裸々な元カレについてのエピソードや「こんな大きいところでやれるなんて! 1年前とは大違いだよ」と、満面の笑みで何度口にする姿が印象的だ。
Blu-ray品番:MHXL-78/価格:5000円(税別)
「BLOND SAURUS TOUR ’89 in BIG EGG -Complete Edition-」
30年の月日を経て、東京ドームで演奏された全18曲を完全収録した「BLOND SAURUS TOUR ’89 in BIG EGG -Complete Edition-」がついに商品化! 写真提供:ソニー・ミュージックダイレクト
今から遡ること30年前の1989年7月17日。完成したばかりの東京ドームに約5万人を動員したライブ映像の完全版が登場。ファン待望の映像作品として満を持してのリリースとなった。保管されていた映像素材を当時の撮影監督が全編再編集。最新技術を駆使しHD映像化を行い、音源もマルチテープからリミックスされている。
こちらはドーム公演ならではの大掛かりなセットをバックに、ダンサーとフォーメーションダンスを踊るNOKKOの姿が大きな見どころ。Blu-ray版には特典映像として、東京ドーム公演の直前に収録されたリハーサルの様子と、各メンバーへのインタビュー映像を収録している。1989年に撮影されて以来、30年にわたり保管されていた映像には、NOKKOをはじめとするメンバーの当時の表情がたっぷり詰まっている。
Blu-ray品番:MHXL-77/価格:6000円(税別)
DVD品番:MHBL-342/価格:5000円(税別)
いずれも当時のレベッカの魅力がたっぷり詰まったライブ映像作品。この時代にレベッカというバンドが放っていた輝きをたっぷり堪能することができる。