【JNCAP2018】衝突安全性能評価試験・前期4車種+後期7車種、総合ランキング(動画あり)
国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)により、5月30日に発表された2018年度後期の自動車アセスメント「JNCAP」。後期に衝突安全性能評価試験を受けたのは7車種。前期の4車種と合わせて全11車種を、総合得点の高い順にランキングで紹介する。
JNCAP2019年度後期が2020年5月27日に発表されました。2019年度後期の衝突安全性能についての記事はこちらからご覧ください。また2019年度に衝突安全性能評価を受けた全16車種の衝突試験の動画については、こちらをご覧ください。
JNCAPでは、人気車種の安全性について、大別して2項目の評価試験が行われている。事故を未然に防ぐための「予防安全性能」と、実際に事故が発生したときに乗員や歩行者を守る「衝突安全性能」だ。今回は2018年度に試験を受けた11車種(前期4車種+後期7車種)を総合得点によるランキングで紹介すると同時に、衝突安全性能評価試験の様子をNASVA提供の動画で全車種を紹介する。
2018年度は評価方法が新しくなって100点満点に
2011~2017年度の衝突安全の評価方法は208点満点だったが、2018年度からは100点満点となった。今後、予防安全と統合する計画もあり、それに備えて2018年度は衝突安全がまず100点満点となったのである。
衝突安全は、大別して3種類の評価試験が行われる。「乗員保護性能」、「歩行者保護性能」、「シートベルトの着用警報装置評価」だ。従来は乗員保護と歩行者保護が100点ずつ、シートベルトが8点の合計208点満点だった。それに対し、2018年度からは評価方法のベースとなる社会損失額の基準が改められ、乗員保護が59点、歩行者保護が37点、シートベルト着用が4点となり、乗員保護に重きが置かれたのである。
そのほかの変更点としては、搭載用ダミーの変更や、側面衝突試験で側面衝突させる台車の質量が950kgから、現在のクルマの一般的な車重に合わせて1300kgに変更されたことなどがある。
試験内容は大きな変更はなし
試験内容自体の変更はない。試験内容の詳細は最終ページで紹介した。乗員保護、歩行者保護、シートベルトの着用警報はそれぞれ小数点以下2桁で表されるが、総合得点は小数点以下1桁で表される(小数点以下2桁目は切り捨て)。以下の通りの構成だ。
【乗員保護性能評価:59点満点】
●フルラップ前面衝突試験:0~21点
●オフセット前面衝突試験:0~21点
●側面衝突試験:0~15点
●感電保護性能評価試験(ハイブリッド車やEVのみ実施、点数なし)
●後面衝突頸部保護性能試験:0~2点
【歩行者保護性能評価:37点満点】
●頭部保護性能試験:0~32点
●脚部保護性能試験:0~5点
【シートベルトの着用警報装置評価:4点満点】
●シートベルトの着用警報装置評価:0~4点
2018年度に試験を受けた前期4車種+後期7車種一覧
前期・後期合計11車種は以下の通り。OEM車は含んでいない。「(後)」があるものが、後期の評価試験を受けた車種だ。
【トヨタ】
●カローラスポーツ (後)
●カムリ(OEM車ダイハツ「アルティス」あり)
●クラウン (後)
【ホンダ】
●N-VAN (後)
●オデッセイ
●CR-V (後)
【スズキ】
●クロスビー
●ジムニー (後)
【スバル】
●フォレスター (後)
【ダイハツ】
●ミラ トコット (後)
【三菱】
●エクリプス クロス
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いよいよランキング発表
衝突安全性能評価試験2018年度総合ランキング
ランキングで、過去最高得点を更新した車種には、「衝突安全性能評価大賞」が与えられる。2018年度は評価方法が100点満点方式に改められたため、最高得点を出した車種に与えられた。また「感電保護」とあるのは、ハイブリッド車やEVが受ける試験で、衝突後に車体が大きくダメージを負った状態で、乗員が高電圧部分に触れて感電しないことが確認されたものに与えられる。総合得点は以下の基準で★が与えられ、82.0点以上の車種には最高評価の「★★★★★(ファイブスター)賞」が贈られる。
【★の条件】
●82.0点以上:★★★★★
●72.5点以上82.0点未満:★★★★
●63.0点以上72.5点未満:★★★
●53.5点以上63.0点未満:★★
●53.5点未満:★
第1位:クラウン(トヨタ)
合計:96.5点 ★★★★★ 衝突安全性能評価大賞
乗員保護:57.11点 歩行者保護:36.51点 シートベルト着用:2.92点 感電保護
乗員保護、歩行者保護、シートベルトの着用でそれぞれ異なる得点ながら、トヨタ「クラウン」とスバル「フォレスター」が総合得点で同点。両車を比較した場合、「クラウン」は歩行者保護性能が高い。それを実現している機能が、「予防連携機能付きポップアップフード」だ。
ポップアップフードは、歩行者との接触事故においてボンネットフード後方を瞬時に持ち上げてフード下の空間を広げることで、ボンネット上に乗り上げた歩行者が頭部を打ち付けらた際に衝撃を緩和する。そして予防連携機能とは、衝突被害軽減ブレーキの作動に連携しており、ポップアップフードの作動をスタンバイさせる機能のことである。
そのフードを初め、フェンダーやカウルなどの前面パーツも、歩行者の頭部や脚部などへの衝撃を緩和する衝撃吸収構造である点も高得点につながった。
第1位:フォレスター(スバル)
合計:96.5点 ★★★★★ 衝突安全性能評価大賞
乗員保護:58.46点 歩行者保護:34.08点 シートベルト着用:4.00点 感電保護
「クラウン」と同点1位となり、共に衝突安全性能評価大賞を受賞したスバル「フォレスター」。「クラウン」と比較した場合、乗員保護性能が高かった。また、シートベルトの着用が4点満点で、これは11車種中2車種のみだった。
高い乗員保護性能の根幹をなしているのが、「スバルグローバルプラットフォーム」だ。その特徴のひとつが、キャビンを強固なピラーやフレーム類で囲むように結合し、衝突によるキャビンの変形防止を目的とした「新環状力骨構造」を採用していること。これにより、衝突エネルギーの吸収効率が従来よりも大きく向上。同時に、スバル車ならではの水平対向エンジンも乗員保護性能の高さに一役買っている。同エンジンは全高が低いため、前面衝突時にフロア下に潜り込みやすい。衝突時にエンジンがキャビンに入り込んでくると、生存空間を圧迫したり、脚部を損傷するなどの危険性があるが、水平対向エンジンはそれを防ぎやすいのである。
また歩行者保護性能については、ワイパーピボットなど、フロントウインドー支持部の硬いパーツがある部分を覆う「歩行者保護エアバッグ」が装備されている。「フォレスター」と「クラウン」のみが歩行者保護の得点が30点を超えた。
第3位:エクリプス クロス(三菱)
合計:89.7点 ★★★★★
乗員保護:56.96点 歩行者保護:29.96点 シートベルト着用:2.83点
「エクリプス クロス」は全方位での高い衝突安全性能を求めて、三菱の衝突安全強化ボディ「RISE」のコンセプトに基づいて開発された。フロント部分はオーバーハングが短いことから、スタイリングと衝突安全性能を両立させるため、エンジン下のサブフレーム、サイドメンバーなどの最適化が図られ、衝突時のエネルギー吸収効率が高められた。
またキャビン部分では、センターピラーおよびボディ下部のシートクロスメンバー断面の拡大、サイドルーフレールへの補強などを行うことで、側面衝突でも効率よくエネルギーを吸収できるように設計し、キャビンの変形を防いでいる。
リアもフロントと同様にオーバーハングが短いことから、スタイリングと衝突安全性能を両立させるため、サイドメンバーなどの最適化が行われた。その結果、衝突時のエネルギー吸収効率を高めることに成功している。
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次は第4~7位
第4位:カローラ スポーツ(トヨタ)
合計:87.8点 ★★★★★
乗員保護:57.85点 歩行者保護:27.48点 シートベルト着用:2.50点 感電保護
長い歴史を持つトヨタのエントリーモデル「カローラ」シリーズ。その12代目のスポーツモデルとして、先陣を切って登場したのが「カローラ スポーツ」だ。驚くべきは、高級車クラスに比肩する乗員保護性能の高さだ。同項目の得点だけで見た場合、2018年6月に同日発表された1位の15代目「クラウン」よりも0.74点高く、11車種中の2位だった。衝突安全ボディがしっかりと設計されているのがわかる。
また「カローラ スポーツ」は、「クラウン」と共にトヨタの”初代コネクティッドカー”であることも特徴だ。安全に関する機能として「ヘルプネット」がある。同機能は、エアバッグが作動するような事故が発生したときに自動的にオペレーターに通報されるというもの。また、ドクターヘリの出動判断などを行うために、事故状況のデータを自動送信する「D-Call Net」にも対応している。高級車並みの機能を備えているのだ。
第5位:CR-V(ホンダ)
合計:85.9点 ★★★★★
乗員保護:57.43点 歩行者保護:26.02点 シートベルト着用:2.50点
2018年度は、3車種が衝突安全性能評価試験を受けたホンダ車。その中で、トップとなったのがSUV「CR-V」だ。乗員保護性能が高く、同項目の得点だけで見た場合、11車種中の3位である。1998年以降、ホンダは衝突時の衝撃(G Force)をコントロールする技術である「G-CON」を導入した衝突安全ボディを開発してきた。「CR-V」は10代目「シビック」から採用されている新世代プラットフォームを採用しているが、同プラットフォームも「G-CON」のコンセプトに沿った開発がなされており、衝突時の衝撃を抑えるよう設計されている。
自動車メーカーはどこもJNCAPや海外のNCAP試験を実施しているが、ホンダではJNCAPでは実施されていない「後面衝突」と「ポール側面衝突」のふたつの試験も実施している(実施速度などは未公表)。後面衝突とは、試験対象車両が追突されたことを想定した試験。ポール衝突とは、電柱のような細くて頑丈なものに試験対象車両を側面から衝突させる試験で、当たったところから折れ曲がるような壊れ方をする。こうした自社での衝突試験を通じて、乗員保護性能を向上させているのだ。
第6位:カムリ(トヨタ)
合計:85.5点 ★★★★★
乗員保護:57.21点 歩行者保護:26.32点 シートベルト着用:2.00点 感電保護
「カムリ」の基本骨格では、それまでの車種よりも超高張力鋼板(ホットスタンプ材)の採用割合が拡大されており、軽量化と同時に衝突安全性の確保にも貢献した。また基本骨格の接合部には、先進溶接技術「レーザースクリューウェルディング」や「構造用接着剤」が採用されており、剛性が高められている。そのほか、衝突安全性能よりも操縦安定性への貢献が大きいが、ボディのねじれ現象を抑制するために「環状骨格構造」も採用された。
トヨタが自社内で行っている試験でも、JNCAPでは行われていない「後面衝突」試験が実施されている。こちらは試験実施速度が公開されており、時速55kmで衝突するという設定だ。
歩行者保護に関しては、トヨタ車は「歩行者傷害軽減ボディ」を採用しており、「カムリ」もそのひとつ。接触事故に備えて、ボンネットフードやフェンダー、フロントバンパーなどに歩行者の頭部や脚部への衝撃を緩和する構造が採用されている。
第7位:クロスビー(スズキ)
合計:85.2点 ★★★★★
乗員保護:54.02点 歩行者保護:29.25点 シートベルト着用:2.00点
現在のスズキ車の多くが採用しているのが、プラットフォーム(アンダーボディ)「HEARTECT(ハーテクト)」と、軽量衝撃吸収ボディ「TECT(テクト)」。「クロスビー」もその両方を採用している。
プラットフォーム「HEARTECT」の特徴のひとつが、従来は屈曲していた骨格を最短距離で滑らかにつなぎ、合理的かつシンプルな形状としたこと。衝突時のエネルギーをプラットフォーム全体で分散吸収しやすくするのが狙いだ。さらに、骨格同士が結合する部分は強度があることから、部品を固定するために利用しており、補強部品を削減。これによりボディ剛性の向上と軽量化を同時に実現した。そのほか、サスペンションパーツを骨格の一部として用いている点も「HEARTECT」の特徴のひとつとなっている。
一方の「TECT」は、ピラーなどには超高張力鋼板を、それ以外の多くの部分には高張力鋼板を採用し、こちらも「HEARTECT」と同様に衝撃の分散と吸収を実現している。プラットフォームとボディの両方で高い衝突安全性能と軽量化が両立されているのが「クロスビー」だ。
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続いて第8~11位
第8位:オデッセイ(ホンダ)
合計:83.9点 ★★★★★
乗員保護:55.30点 歩行者保護:26.61点 シートベルト着用:2.00点 感電保護
今回衝突安全性能評価試験を受けた11車種のうち、発売時期が最も古いのが5代目「オデッセイ」だ。他車が2017~2018年の発売に対し、同車のみ2013年である。つまり基本設計は2013年のままなのだが、それにもかかわらず2018年度の試験でファイブスター賞を獲得した。その原動力となったのが、ホンダの衝突安全の根幹をなす技術「G-CON」だ。同技術が発表されたのは1998年であり、それだけ時間をかけて進化してきている。
また、「歩行者傷害軽減ボディ」もホンダでは1998年に初搭載され、「オデッセイ」も当然のごとくその考え方に基づいて開発されている。例えば、どうしても構造上硬くなりがちなフェンダー。それを取り付ける金具をつぶれやすくすることで、歩行者が衝突した際の衝撃を吸収するようにしてある。同様にワイパーピボットも加害性の高い部品。衝撃が加わるとワイパーの付け根にあるシャフトが動いて衝撃を吸収する構造だ。
そのほか、ヘッドランプのクリアーパーツもどうしても硬くなってしまうが、装置下部に空間を持たせて変形しやすくしたり、フロントウインドー支持部は下側に空間を持たせてくぼみやすくしたり、ボンネットヒンジ部は折れ曲がりやすくしたりすることで歩行者が衝突したときの衝撃を逃がすようにしているのである。
第9位:ミラ トコット(ダイハツ)
合計:81.5点 ★★★★
乗員保護:50.34点 歩行者保護:28.24点 シートベルト着用:3.00点
軽自動車で初となる乗員保護用エアバッグ6点(運転席・助手席、運転席・助手席用サイドエアバッグ、前後席用カーテンシールドエアバッグ左右)を標準装備したのが「ミラ トコット」だ。また前席のシートベルト締め忘れを警告する機能を搭載しており、シートベルトの着用警報装置の得点だけで見た場合、3.00点は全11車中の第3位となっている。
また衝突安全ボディ「TAF(タフ)」の基本性能が高い。TAFは「Total Advanced Function body」の略であり、”総合的に衝突安全機能が進化したボディ”という意味の造語だ。ご存じの通り軽自動車は日本独自の規格だが、ダイハツではJNCAPだけでなく、欧州の衝突安全基準も余裕を持ってクリアできるよう開発。厳しい衝突実験でも、高い衝撃吸収性能と強固なキャビンにより十分な生存空間が確保されている。
歩行者への安全性も考慮されており、歩行者保護だけで見た場合は全11車中5位。万が一の歩行者との衝突事故に対し、ワイパーピボット、ボンネットヒンジ、フェンダー、カウルトップ(ボンネットフード後端)など、どうしても構造上ある程度の硬さを必要とする部分でも衝撃緩和構造や衝撃吸収スペースなどを設け、歩行者保護性能が高められている。軽自動車は規格上の問題などもあって普通車と同等の機能を搭載しにくく、得点が低くなりがちだが、健闘しているといえよう。
第10位:ジムニー(スズキ)
合計:81.4点 ★★★★
乗員保護:53.71点 歩行者保護:23.70点 シートベルト着用:4点満点
軽自動車でありながら本格的な4WDクロスカントリー車である「ジムニー」は、スズキの軽量衝撃吸収ボディ「TECT」を採用している。衝突時の衝撃を効率よく吸収分散するため、高張力鋼板を採用し、またはコンピューターによる構造解析も駆使して、安全性と軽量化の両立が図られた。一方で、4WDクロスカントリー車としての頑丈さが必要なことから、伝統のラダーフレームをこの3代目も採用しているため、スズキの衝突安全性能を高めたプラットフォーム「HEARTECT」は採用されていない。シートベルトの着用は4点満点。満点は全11車種中2台のみである。
フロント部分は歩行者保護構造。フロントバンパーは衝撃を吸収することで、万が一の接触事故でも脚部の傷害を軽減する。また、接触事故で歩行者がボンネット上に乗り上げてしまった場合に頭部の傷害を軽減するため、ワイパーピボット、ボンネットヒンジ、フードパネル、フェンダー、カウルトップ(ボンネットフード後端)などに衝撃吸収構造が持たせられている。
第11位:N-VAN(ホンダ)
合計:78.5点 ★★★★★
乗員保護:50.38点 歩行者保護:26.16点 シートベルト着用:2.00点
2代目「N-BOX」をベースに開発された「N-VAN」の基本骨格にも、ホンダの安全技術「G-CON」が導入されている。
ただし「N-VAN」は、「N-BOX」にはあった衝突安全性能上重要なパーツがひとつ外されている。同車は助手席側の開口部を大きくするため、助手席側のセンターピラー(Bピラー)がない「センターピラーレス構造」を採用しているのだ。衝突安全性能やボディ剛性はその分低下しているが、それに対する解決策がもちろん盛り込まれている。助手席側の前部ドアおよび後部スライドドアには閉じたときにセンターピラーの機能を果たす「ドアインピラー構造」が採用されているのだ。これにより、走行時はセンターピラーがあるのと同等の衝突安全性能が確保されているのである。
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試験内容の詳細
乗員保護性能評価:59点満点
【フルラップ前面衝突試験:0~21点】
クルマ同士の正面衝突を模擬した試験で、試験対象車が時速55kmでコンクリート製のリジッド・バリアに真正面から衝突。ドライバーのダミーは「ハイブリッドIII」の成人男性型「AM50」(※1)、助手席は同・成人女性型「AF05」(※2)。
【オフセット前面衝突試験:0~21点】
クルマの半分が対向車に時速55kmで衝突したことを模擬した試験で、時速64kmでアルミハニカム製デフォーマブル・バリアに、試験対象車が運転席側の一部(オーバーラップ率40%)でもって前面衝突。ドライバーのダミーは「ハイブリッドIII」成人男性型、後列助手席側に同・成人女性型。
【側面衝突試験:0~15点】
試験対象車の運転席側側面に、質量1300kgのクルマが時速55kmで衝突したことを模擬した試験。側突する台車の質量は1300kg。運転席のダミーは、横方向の動きが従来よりも人間に近づけて新たに開発された側面衝突試験用の「WorldSID」の成人男性型(※3)。
【感電保護性能評価試験】
ハイブリッド車やEVなどだけが受ける評価試験。衝突後に車体が大きくダメージを負った状態で、乗員が高電圧部分に触れて感電しないかどうかを評価する。全車対象の試験ではないので得点はなく、評価された場合はマークがつけられる。
【後面衝突頸部保護性能試験:0~2点】
後方から衝突された際に、ドライバーが頸部に受ける衝撃に対する保護性能を評価。停車中のクルマに時速約36kmで衝突されたことを模擬している(シートが時速20kmで急速に前方へ動く)。ダミーは「BioRID II」(※4)。
歩行者保護性能評価:37点満点
【頭部保護性能試験:0~32点】
時速50km相当で歩行者に衝突し、頭部がボンネットやフロントウインドーなどに打ち付けられることを模擬した試験。人の頭部を模したダミー「頭部インパクタ」を用いて、各衝撃点における頭部の傷害値が計測される。
【脚部保護性能試験:0~5点】
時速50km相当で歩行者の脚部が、フロントバンパーなどに衝突したことを模擬した試験。時速40kmで成人男性の脚部を模したダミー「脚部インパクタ」を用いて、衝撃点におけるヒザやスネなどの傷害値が計測される。
シートベルトの着用警報装置評価:4点満点
【シートベルトの着用警報装置評価】
シートベルトの着用警報装置とは、運転者以外の乗員のシートベルトの着用を促すことで、着用率の向上を図るものだ。試験では、同装置の警報の種類やタイミング、表示位置などの作動要件が確認される。2017年度まで実施されていた「後席シートベルト使用性評価試験」は、2018年度からは実施されなくなった。