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最終更新日:2019.04.26 公開日:2019.04.26

大学の自動車部ってどんなところ?慶應大学の自動車部を訪ねてみた。

全国の約50大学(現在活動中の部)に存在する「体育会自動車部」という部活をご存じだろうか。体育会自動車部のなかには、戦前に作られた部も少なくないという歴史のある部活である。いったいどんな活動をしているのだろうか? 名門自動車部「慶應義塾体育会大学自動車部」を訪ねてみた。

雨輝・加藤久美子

ほぼ毎月、全国各地の競技大会に参戦

平成30年度全日本学生自動車運転競技選手大会で団体優勝した時の記念写真。

慶應義塾大学體育會自動車部は、平成29年度から2年連続で優勝を果たした。

 慶應義塾体育会大学自動車部(以下慶應自動車部)は、大学自動車部の多くが加盟する「全日本学生自動車連盟」の発足時(昭和27年)からの加盟部の一校である。1931年にモーター研究会として発足し、今年で88年を迎える歴史ある自動車部だ。

 1931年というと日産自動車の前身である「ダット自動車製造」が495㏄の量産小型乗用車「10型」の第1号を完成させたころ。自動車がまだまだ市民の生活に根差していない黎明期からこの部は存在していたのだ。驚きである。

 ちなみに、同社のブランド名が「DATSUN(ダットサン)」となったのは1932年である。

 全国各地でほぼ毎月開催される、ジムカーナ、ダート・トライアル、フィギュアの三種目の競技大会へ出場していて、平成29・30年度は全日本学生自動車運転競技選手権大会で団体優勝、全日本学生自動車連盟年間総合杯(男子団体の部)でも優勝した。個人部門での優勝、上位入賞も多く、数々の輝かしい戦績を残している強豪である。

 また、東京・神奈川にある大学では珍しくキャンパス(日吉)敷地内に練習場(通称:イタリア半島)を有しており、ここで週4~5日、車の整備や運転の練習、競技出場のための練習を行っている。

自動車部に入ったきっかけは?

取材に応じてくれた自動車部の部員。右から上野正貴さん(商学部4年)、香川学斗さん(理工学部2)、由利直輝さん(経済学部3年)。由利さんは、高校時代も自動車部だったという。

 現在、慶應自動車部の部員は24年の合計13名。今年の新入生からは10名の入部を予定しているそうだ。自動車部の魅力はどんなことだろうか? 部員それぞれに話を聞いてみた。

 主務・ウェブ担当の上野さんは「大学から同じスタートラインで始めることができる競技が多く、1年生から各競技の大会に参加できることも魅力ですね。大学で何か新しいことを始めてみたい、慶應義塾体育会で結果を残したいという理由で入部した部員もいます」とコメント。

 次に、香川さんは「海外生活の長い父の影響で車好きになり自動車部へ入部しました。アメリカにいたころはフィアット・X1/9に乗っていました」という。お父さんの影響とはいえ、フィアットとは随分渋いチョイスだ。

 由利さんは「私が通った慶應義塾高等学校には、自動車部があります。高校での部活に続いて、さらに技術を究めたいという思いがあって大学でも自動車部に入部しました」という。

 なんと、大学だけかと思っていたが、高校にも自動車部があったとは驚きである。ちなみに、高校の自動車部も大学と同じ「イタリア半島」で活動していたのだとか。

練習場にはピットがあり、整備全般も学べる。

部車はホンダ車が多い。競技車両の整備やメンテナンスも自動車部員の大切な活動の1つ。

 慶應自動車部の凄いところは、キャンパス内に練習場やガレージ、リフトのあるピットまでが備わっていること。都内の他大学だと、ガレージだけが構内にあり、練習場は離れた場所にあることが多いという。この場所で普段はどんなトレーニングを行っているのだろうか?

 上野さんによると「ここでは運転の練習をしたり、競技車両の整備をしたりしています。自動車競技では、体幹などを鍛えることも重要ですが、筋トレは自主練習です」とのこと。

 ちなみに、部費は月1万円で主に遠征費に使われるそうだ。(年1回の合宿費用は別途)

 上野さんは「コストを抑えてモータースポーツの技術や整備の方法を修得し、競技にも参加できることは、大学自動車部の大きな魅力です」とコメント。

 確かに、個人でモータースポーツに取り組みたくても、車両、ガレージ、リフトなどを揃えることはなかなか難しい。大学の自動車部の設備を使うことで、手軽にモータースポーツを楽しめると考えれば安いものだろう。車好きの学生にとって大学自動車部は、魅力あふれる場所だった。

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