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最終更新日:2019.04.10 公開日:2019.04.10

無印良品が「溶けにくいアイス」を限定販売。本当に溶けないのか実証してみた!

気温が上がり、暖かい日が増えるほど食べたくなってくる「アイス」。しかしアイスが食べたくなるような暖かい日ほど溶けやすくなるという欠点があり、溶けるまでに食べきらなくてはいけない。ところが、そんなアイスの美味しさを長く楽しめるよう、無印良品から「溶けにくいアイス」が発売された。溶けにくさの秘密を紹介しよう。

溶けにくいアイスとは?

一番手前が「溶けにくいアイス マンゴー&キウイ」。前から2番目が「溶けにくいアイス ピーチ&パイン」

 株式会社良品計画(東京都豊島区)は4月4日、溶けにくいアイスを無印良品銀座店にて先行発売した。同商品は、無印良品の限定60店舗で4月27日から発売される。ちなみに、常温で30分前後も形が崩れないのだという。

溶けにくさの秘密!

 なぜ溶けにくいのか無印良品に聞いてみた。

 無印良品によると「溶けにくいアイスの秘密は、いちごから抽出した”ポリフェノール”にあります。アイスの製造過程で、氷の結晶のもととなる水分にポリフェノールを加えています」ということだ。

4月4日にオープンした「無印良品 銀座」。ビル1棟まるまるが無印良品で、ホテル、ジューススタンド、ベーカリーなども併設した複合施設。

 ポリフェノールを加える……といわれてもぜんぜん分からないので、アイスクリームの構造について調べてみると、次のようなことが分かった。

 通常のアイスは、牛乳やクリームなどの「油脂分」「氷の結晶」「空気の泡」の3つから構成されている。その溶け方はこうだ。

アイスの構造|溶けにくいアイスの構造|ポリフェノール入りアイス|無印良品

ポリフェノールには、通常混ざり合いにくい「水分」「油脂」「空気」を結びつける「界面活性剤」の働きがある。
※上図は、アイスの構造を簡略化したイメージ。縮尺、密度などは考慮していない。

 温度が上がると、まず氷の中でも結晶化した部分が溶けて水になる。空気よりも水の方が熱伝導性が高いので、氷が溶けてできた水によって「油脂分」も溶け出して流動性が高くなる。そうすると、アイスは形を保てなくなり、「空気の泡」がつぶれて崩落する。

 しかし、溶けにくいアイスは、製造過程で氷の結晶のもととなる水分にポリフェノールを加える。そうすると、ポリフェノールによって、水分、油脂、空気の結びつきが強くなる。それを凍らせると氷の結晶と空気の泡を油脂が膜状に取り囲む状態になるのだという。温度が上がっても氷の結晶が溶けてできた水と空気の泡が油脂分に取り囲まれて構造が保たれやすく、結果、形が崩れにくいのだ。

 【参考文献】
 1.特許公報(B2)気泡済み冷凍食材の製造方法 太田 富久 2014.10.8
 2.一般社団法人 日本アイスクリーム協会 教えてアイスクリーム王子
 3.Goff HD et al. (1997) Colloidal aspects of ice cream–A review. International Dairy Journal 7: 363-373.

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実際にアイスを買って試してみた!

なんと30分以上垂れなかった!

 溶けにくさを実際に試すため、先行発売されている無印良品銀座店に行って溶けにくいアイスを購入してきた。手に持って指に垂れてくるまでの時間を計測してみよう。

 上写真が、購入した溶けにくいアイスである。ちなみに、アイスをショーケースから取り出して15分ほど経過した状態だ。

 実は、無印良品銀座店は4月4日にオープンしたばかり。筆者が訪れた4月5日も大盛況でレジにも行列ができていた。そのため、アイスをショーケースから取り出した瞬間から計測をスタートした。

 「ピーチ&パイン」を袋から取り出してみたが、全く溶けている様子はない。自宅まで持ち帰る場合を考慮して「マンゴー&キウイ」は、袋のまま常温に置いてみた。ちなみに、この時の気温は22℃ほど、晴天の日向である。 

 上写真は、30分経過した状態。左のピーチ&パインは、表面に少し水分が出て輝いて見えるが、全く崩れていない。右のマンゴー&キウイは、若干表面が崩れてきているようだ。こちらは、日向のバルコニーに直置きされている。下からの熱の影響もあるので当然だろう。

 続いては、35分経過した状態。左のピーチ&パインは、表面にかなり水滴が出てきた。少し振ってみると、プルプルとした弾力を感じる。どうやら溶けにくいアイスは、溶けても崩れずにムース状になるようだ。右のマンゴー&キウイは、随分と形が崩れてきたのでここでリタイヤ。美味しく頂いた。

 37分を過ぎたところで、残ったピーチ&パインに異変が。表面の果物ピューレが垂れてきたのだ。下のクリーム部分は、形をとどめているが、表面はもう限界である。

 そして38分を過ぎたところで、ついにピューレが指に到達。こちらもここでリタイヤ。筆者の胃袋に納まった。

 アイスが指に垂れるまでの記録は38分11秒。アイスがこんなに溶けずに形をとどめているなんて驚きである。ちなみに、この時の食感は、ムースやババロアのように柔らかい個体。なめらかな口当たりに、酸味のある果実ピューレが良いアクセントとなって美味しかった。食べ進んでいくと、棒に近い部分はまだ凍っていた。

 溶けにくいのはいいが、凍った状態が不味いのではという心配もあるかもしれない。でも心配ご無用。通常のラクトアイスより少し口どけ滑らか。シャリシャリとした部分も感じられるちょうどいいバランスだった。表面の果実ピューレは、素材の味を感じるほど良い酸味である。

 アイスの溶け具合に急かされて、下側をすくったり、溶けた部分からなめたりした経験を、多くの人が持っているだろう。このアイスならば、そんな苦労をせずに、落ち着いてゆっくりと味わうことができそうだ。溶けにくいアイスは、「マンゴー&キウイ」と「ピーチ&パイン」の2種類。価格は1個190円(税込み)。

※ちなみに、実験は以下の条件で行ったものですが、さまざまな条件で結果が変わる可能性はあります。
日時:2019年4月5日 14時20分ごろ
場所:東京都中央区
天候と気温:快晴、21.7℃(気象庁発表)

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