電車の混雑率ランキング最新版が発表!最も混むのは東西線。
国土交通省は7月18日、昨年度の都市鉄道における混雑率調査の結果を発表した。三大都市圏(東京・大阪・名古屋)における輸送人数は微増 。東京圏での平均の混雑率は163%(前年163%)で横ばい。大阪圏は126%(前年125%)。名古屋圏は132%(前年131%)で1ポイント増であった。混雑率1位は2017年度と変わらず、東京メトロ東西線・木場→門前仲町間だった。
【インデックス】
・全国の電車混雑率ランキング(区間別)ワースト40
・大阪圏・電車混雑率ランキング(区間別)ワースト15
・名古屋圏・電車の混雑率ランキング(区間別)ワースト15
電車の混雑率ランキング(区間別) ワースト40は東京圏に集中!
同調査結果は、通勤通学時間帯の鉄道の混雑状況を把握するため、国交省が毎年実施しているもの。混雑率は、その路線が最も混んでいる時間帯1時間の平均である。
それではさっそく電車の混雑率ランキングを見ていこう。1位は、東京メトロ東西線・木場→門前仲町間で199%(前年199%)と前年から変化はないものの、昨年に引き続き最も混雑する電車となった。同路線は、混雑率を180%以下にすることを目標に南砂町駅、茅場町駅、木場駅などにおいて改良工事を進めている。なかでも南砂町駅のホーム新設、ホーム1面拡幅、線路新設による2面3線化工事に注目だが、完了は2027年度の予定。混雑率の改善にはまだ時間がかかりそうだ。
2位は、JR横須賀線・武蔵小杉→西大井間で197%(前年196%)。3位は、JR総武線各駅停車・錦糸町→両国間は196%(前年197%)と1ポイント下げた。前年のランキングの2位と3位が入れ替わった。
4位は、JR東海道線・川崎→品川間で191%(前年187%)と4ポイント増で昨年の5位から順位が上がった。5位は、日暮里・舎人ライナーの赤土小学校前→西日暮里間で189%(前年187%)と2ポイント増。
6~10位の区間は、いずれも混雑率が下がった。7位のJR南武線・武蔵中原→武蔵小杉間は184%(前年189%)と5ポイント減らし、前年の4位から順位を3ランク下げた。9位の東急田園都市線・池尻大橋→渋谷間は182%(前年184%)で3ポイント減らし順位を1ランク下げた。
混雑率トップ40のなかで最も混雑率を下げたのは、37位の東急大井町線・九品仏→自由が丘間で155%(前年166%)。前年より11ポイント下げ、順位も前年の22位から15ランク下げた。同路線では、昨年3月のダイヤ改正で急行列車を7両編成に統一し、朝ラッシュ時の急行本数を増強。急行停車駅のホーム延伸と新型車両の導入も合わせて実施した。このようなハード面の対策が功を奏したのだろう。
このように混雑ランキングでワースト40にランクインしたのはいずれも東京圏の電車であった。では大阪圏と名古屋圏の混雑率はどれくらいなのだろう。
大阪圏・電車の混雑率ランキング(区間別)ワースト15
次に大阪圏の混雑率ランキングを見てみよう。1位は、大阪メトロ御堂筋線・梅田→淀屋橋間で151%(前年146%)と5ポイント増やし、前年の2位から1ランク上げて大阪圏で最も混雑する電車となった。同路線は、大阪のビジネス街を走る主要路線の1つで、混雑率ランキングの上位常連である。
2位は、阪急神戸本線・神崎川→十三間で147%(前年147%)と混雑率に変化はないが1位に押されるかたちで1ランク下げた。3位は前年と変わらず阪急宝塚本線・三国→十三間で144%(前年144%)だった。
全国の混雑率ランキングでワースト40にランクインしたのは、すべて首都圏の区間で40位でも混雑率152%だった。一方、大阪圏ではワースト1を除く全ての区間で150%以下であり、首都圏に比べると比較的余裕がある状態だといえよう。
また、首都圏ではワースト15までにJRが9つランクインしているが、大阪ではワースト15にJRの路線が1つも入っていない。つまり大阪圏では、私鉄の方が混雑している。同じ駅に乗り入れる路線があれば、JRを選ぶと快適に移動できるだろう。
名古屋圏・電車の混雑率ランキング(区間別)ワースト15
つづいて名古屋圏の混雑率ランキングを見てみよう。1位は、名鉄本線(西)・栄生→名鉄名古屋間と名鉄犬山線・下小田井→枇杷島分岐点間が144%(前年143%)と同率で並んだ。
前年のランキングで上位2路線と同率で1位だった名鉄本線(東)・神宮前→金山間は143%(前年143%)と変化ないが、上位2路線が1ポイント増加したので3位。前年4位だった名鉄常滑線・豊田本町→神宮前間は143%(前年142%)と1ポイント増加して3位となった。
名古屋圏では1位から6位まで全てに名鉄の名前が並んでいる。また、ワースト15の中にJRは2つしか入っていないので、大阪圏と同様に私鉄の方が混雑しているようだ。
名古屋圏はクルマ社会のイメージが強いが、大阪圏よりも混雑率140%を超える路線が多いというのは意外な印象もある。
混雑率による車内の状況
上図を見てみよう。国交省によると、混雑率200%は「体がふれあい相当圧迫感があるが、週刊誌程度なら何とか読める」程度。180%は「折りたたむなど無理をすれば新聞を読める」程度。150%は「広げて楽に新聞を読める」程度。100%は座席に着く、吊革につかまる、ドア付近の手すりにつかまることができる定員乗車となっている。
今回のランキングで1位となった東京メトロ東西線・木場→門前仲町間は混雑率199%なので、ここでいう週刊誌程度なら何とか読める混雑具合であるといえる。しかし、この混雑率はあくまで1時間の平均なので、乗る電車の便や車両によって実際はもっと混み合っていると感じるられる場合も多いだろう。
東西線・南砂町駅の増設工事や大井町線のダイヤ改正など、鉄道各社も対策を進めているがハード面での対策には時間と費用がかかる。一方で働き方改革などが進展していけば通勤ラッシュ時間帯を避ける「オフピーク通勤」やインターネットを利用して自宅などで勤務をする「リモートワーク」などの普及による効果も期待できる。混雑率を改善するには、このような利用者や企業による取り組みがさらに求められるだろう。