2018年12月13日 15:16 掲載
旧車
【お台場旧車天国2018:その4】
第2次大戦やベトナム戦争時代の軍用車両のゴツさと、日米警察車両のレプリカ車の熱いこだわり!
11月18日に開催された国内最大級の旧車イベント「お台場旧車天国」。懐かしの大衆車に始まり、スーパーカー、クラシックカー、幻の名車、改造車、さらには珍車に迷車(?)まで、日本中から2輪・4輪の旧車約700台が集合した。
そのリポート第4弾は、米軍が払い下げた軍用車と、日米の警察車両のレプリカ車を紹介する。
【お台場旧車天国2018リポート一覧】
第1弾:これらを見たら運気が上がる!? バブルカーや黎明期の軽4輪など、マニアも驚くクルマをピックアップ!
第2弾:「ミゼット」や「ホープスター」など、3輪車を集めてみた!
第3弾:ウルトラ警備隊の「ポインター」に、公道走行可能な機関車「K-100」など!! あのドラマのクルマを集めてみた
第5弾:戦闘機型バイクに軽「カウンタック」!? 思わず目が点になるスゴイのを集めてみた!
在日米軍が戦車などの運搬に使用していた「M26ドラゴンワゴン改」
「M26ドラゴンワゴン改」。スペックは、全長7720mm×全幅3320mm×全高3480mm、戦闘時の車重は2万1980kg。「M26」は米陸軍の重量物けん引用大型トラクターとして第2次大戦から戦後にかけて活躍し、戦後、国内では進駐軍が持ち込んで使用した。
「M26ドラゴンワゴン」は、かつて米ワシントン州シアトルに拠点を置いていたというパシッフィック・カー&ファンダリー社が、米陸軍のために第2次世界大戦中の1943年から1945年にかけて量産した大型トラクターだ。装甲キャビン仕様の「M26」が753台、非装甲キャビン仕様の「M26A1」(戦後に電装系を12Vから24Vに強化した「M26A2」に改修される)が619台生産され、戦車や火砲などの重量物のけん引で活躍したという。
この車両は、長野市の重量物運輸業の白田組(はくたぐみ)が1960年に、進駐軍の払い下げ車両を扱っている東京のスクラップ業者から買い取ったもの。150t積みの重量物運搬用トラクターとして活用された。「M26」を使用した重量物の運搬は日通も行ったが、白田組はそれに先んじて日本で初めて民生使用したという。
この「M26ドラゴンワゴン改」は、キャビンを「M26A1」風に非装甲化している点が特徴。白田組では1968年以降使用されなくなり、50年間眠っていた。それを2017年8月に斎藤運輸工業社が譲り受け、同社の整備工場でレストア。50年ぶりにエンジンを始動させることに成功した。
「M26ドラゴンワゴン改」を後ろから。人の背丈の半分以上もあるような巨大なタイヤは迫力がある。エンジンは240馬力を絞り出すホール・スコット製6気筒ガソリンエンジン「Type440」が搭載され、整地での最高速度は時速41.6kmをマークした。
運転席。民生仕様のため、白田組が非装甲化のモデファイを行った。大型重量物の輸送で名を馳せていた白田組は、三菱電機から大型変圧器の輸送を依頼されるが、輸送可能な車両がなかった。「M26」なら輸送が可能なことから、1週間前に情報をキャッチすると真っ先に確認して即購入、改装を行って輸送業務を全うしたという。
ウィリス「ジープ」の1車種「MB」
フォルクスワーゲン「ビートル」の生みの親であるフェルディナンド・ポルシェ博士が、その「ビートル」を軍用車両として設計変更して誕生させた車両「キューベルワーゲン」。第2次大戦において、米軍は同車が小型・軽量であることを活かして偵察・連絡用途で活躍するのを目にすると、ウィリス社に同じコンセプトの車両を開発させる。その結果、誕生したのが頑丈で軽量な車体と、信頼性の高い水冷直列4気筒エンジンにより高い走破性を実現した「ジープ」だった。この「MB」はその一種で、"Model B"を表している。
今回はオリーブドラブの陸軍仕様「MB」が出展されたが、昨年は珍しいネイビーカラーの海軍仕様が、「キューベルワーゲンTYP82」と共に出展されていた。別記事『角張っていてゴッツい! タフ&ワイルドなオフローダーを徹底収集してみた!』で「お台場旧車天国2017」で展示されたミリタリー車両5車種をご覧いただくことが可能だ。
今回はけん引車両と共に展示された。フロントウインドーは前方可倒式。またボンネットフードも整備性を考慮してフロントウィンドウ側に90度以上開くことができる。
ウィリス「MB」を後方から。ボンネットフードがフロントウインドーにもたれるように90度以上開いている。
ベトナム戦争時代の人員・物資輸送車カイザージープ「M175」
ベトナム戦争時代に製造された人員・物資輸送車カイザージープ「M175」1968年式。カイザージープとは社名で、「M175」自体はピックアップトラックである。民生用の車種のボディパネルを使って作られた。2018年現在、日本国内には複数台があるそうだが、走行可能な状態なのはこの車両のみだという。オリーブドラブで塗装されているため、陸軍仕様かと思いきや、ドアには「US NAVY」とあり、海軍のものだったようだ。
第2次世界大戦中の70年前の車両に比べれば新しいとはいえ、この「M175」も50年の時の流れを経ており、立派な軍用車両のクラシックカーである。
手入れの行き届いたエンジン。降雨量が多く、湿度が高い日本は金属にとって錆びやすい過酷な環境であり、50年前に製造されたエンジンのコンディションを維持し続けるのは至難の業だ。
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続いては日米のパトカーのレプリカ車の共演!
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