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クルマ最終更新日:2020.12.27 公開日:2020.12.27

タイヤで発電するデバイス「TDK・インホイールセンス」とは?

TDK株式会社はタイヤとホイールで発電するデバイス「InWheelSense(インホイールセンス)」を開発している。タイヤの回転を利用して発電した電気でセンサーを作動させたり、インホイールセンス自体をセンサーとして使うこともできる。

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「インホイールセンス」とは

TDK|InWheelSense(インホイールセンス)|発電|タイヤ|ホイール|イメージ画像

出典:TDK株式会社

 CEATECH AWARD 2020(※)において「ニューノーマル時代のデジタルまちづくり部門」のグランプリを受賞した「InWheelSense(インホイールセンス)」が注目されている。インホイールセンスはTDK株式会社が開発中の技術で、EHモジュール(エナジーハーベストモジュール)と呼ばれる環境発電デバイス(※1)と、それを制御するコントローラーを組み合わせたもの。

※CEATECH AWARDとは、IT技術とエレクトロニクスの展示会「CEATECH」の開催に合わせて実施される表彰式。展示される技術、製品、サービスの中から、学術的および技術的観点、市場性や将来性などの視点から、イノベーション性が優れているものを審査、選考し表彰するもの。

TDK|InWheelSense(インホイールセンス)|発電|タイヤ|ホイール|EHモジュールの大きさ

EHモジュール(エナジーハーベストモジュール)の大きさと設置イメージ。 出典:TDK株式会社

 EHモジュールは、圧力を加えることで電圧が発生するピエゾ素子(※2)の圧電効果(※3)を応用したもの。タイヤが回転するたびに加わる車体の荷重を利用して発電する。これによって、可動部であるためバッテリーやセンサー類を設置することが困難とされていたタイヤやホイールに、バッテリーレスでセンサーを設置することが可能となる。

 TDKによると、クルマが時速105kmで直進走行している時、1台のEHモジュールで平均連続出力1mWの発電ができるという。また、ホイールのリム部分にデバイスを挟み込むように装着するため、ホイール外周に複数のデバイスを装着することが可能である。それにより、さらに多くの電力を発電することも可能となるため、温度センサー、空気圧センサー、加速度センサーなど複数のセンサーへ給電をすることができるという。 

※1 環境発電デバイス:太陽光や照明光、機械の発する振動、熱などのエネルギーを変換して電力を得る機器。
※2 ピエゾ素子:水晶や特定のセラミックなど、圧電体に加えられた力を電力に変換する電子部品。圧電素子とも呼ばれる。
※3 圧電効果:圧電体に圧力を加えることで生じるひずみに応じて電圧が発生する現象のこと。

インホイールセンスは何に使う?

TDK|InWheelSense(インホイールセンス)|発電|タイヤ|ホイール|走行状況による電圧の変化

直進、旋回など、走行の状況によって出力電圧の波形に変化が現れる。 出典:TDK株式会社

 また、インホイールセンスは、ホイールの外周上にEHモジュールを装着し、中心部にコントローラーを設置。取り出された電力波形により、クルマの速度や加速度の変化を容易に計測することができる。その計測結果を利用することで、今後、車両の状態や路面状態のリアルタイム検知、タイヤメンテナンス性の向上など、さまざまな用途への活用も期待できるという。

TDK|InWheelSense(インホイールセンス)|発電|タイヤ|ホイール|インホイールセンス評価キット

インホイールセンス評価キットは、EHモジュール5個とコントローラー1個で構成されている。 出典:TDK株式会社

 このようにインホイールセンスは、タイヤやホイール内で発電してセンサーなどに電力を供給することができるだけでなく、それ自体もセンサーとして使える画期的な技術だ。TDKによると、インホイールセンスは既に、実用レベルに到達。既存のホイールに装着し、ワイヤレス通信によるデータ収集が行える「インホイールセンス評価キット」の貸し出しを実施しているという。

【InWheelSense(インホイールセンス)概要】
外形寸法:125×28×19mm(18インチホイール用)
重量:25g

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